時には二足歩行のクマの肩に乗り、高い木になった果実を採ることもあった。
そうして十分に食べ、眠り、休息を重ねた結果、失われていた体力は徐々に戻っていった。
そして数日後――。
闇王はクマに尋ねた。
「人里の場所を知っているか?」
するとクマは耳をぴくりと動かした。
「あう!」
そう鳴くと、闇王に背を向け、腰を落とす。
「乗れってことか?」
闇王が背中に乗ると、クマは力強く歩き始めた。
ズンズン――。
ズンズン――。
広大な森を抜ける。
その先には、再び果てしない砂漠が広がっていた。
だがクマは迷うことなく進み続ける。
まるで目的地を知っているかのように。
砂嵐が吹き荒れても、その巨体はびくともしない。
闇王は振り落とされないようクマの頭にしがみついた。
それでもクマは止まらない。
ズンズンと力強く前へ進み続けた。
やがて砂漠を抜けると、今度は広大な草原が見えてきた。
そこでクマは足を止める。
「アウアウ!」
鳴きながら前方を指差した。
その先には、人が暮らしていそうな緑豊かな大地が続いている。
「あっちに行けばいいんだな」
「アウ!」
クマは大きく頷いた。
闇王はクマの背中から降りる。
そしてしばらく無言で見つめ合った。
命を救ってくれた恩人。
いや――恩熊と言うべきだろうか。
闇王は少しだけ口元を緩めた。
「世話になったな」
クマは嬉しそうに鳴いた。
「アウー」
草原の風が二人の間を吹き抜けていった。