「や、闇が現れた!」


ぜいぜいと荒い息を吐きながら叫ぶ。


「あっちに……!」


子供が震える指で森の方を指差した。


闇王はすぐさま駆け出した。


森へ向かう途中、遠くに黒い闇が見えた。


それはまるで生き物のように森を飲み込みながら広がっている。


その手前では子供たちが必死に逃げていた。


「闇の侵食速度は遅いようだな」


闇王はさらに速度を上げる。


もうすぐ追いつける。


そう思った瞬間だった。


一人の子供が木の根に足を引っ掛けて転んだ。


他の子供たちはそのまま走り去り、闇王とすれ違っていく。


転んだ子供の背後には、迫り来る闇。


「助けて!」


子供は恐怖のあまり立ち上がることもできず、ただ悲鳴を上げた。


黒い闇がその小さな身体を飲み込もうとする。


間一髪だった。


闇王は子供の腕を掴むと、闇とは反対の方向へ力いっぱい投げ飛ばした。


次の瞬間――


闇が闇王を飲み込んだ。