【連載10】「どうしようもないどん底人生」を前に騒ぐアスリートの血。目指せてっぺん!

右足と脳機能を失っても、挑戦し続ければ道は開ける。
人生の目標を実現していく、夫婦の起死回生ストーリー。
ノンフィクション小説「逆境のトリセツ」

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さらに問題点が噴出した。届く郵便物を見て愕然とした。

「これ、税金の督促じゃない? これって何年も前の病院の請求書? 弁護士から届くってどういうこと?」

極めつけは、カード会社からの督促が、それも四通も届いた。内容を見て思わず叫んだ。

「カードローンの利息が十四%ってどういうこと?」

「毎月ちゃんと返している」

「返している人の利息が十四%って、毎月いくら返しているの?」

全部を広げて紙に書き出し計算してみた。

「一年間で利息分さえも返済できてないじゃない。借金が雪だるまのように膨らむってこういうことだよね」

いろいろと聞いても、のらりくらりで覚えていない。過去のことや事故のこと、問いただしても覚えていない。一体どうなっているんだろう。

「あなたは、自分の人生をどう考えているの?」

完全に説教だったが、私の説教にまともな回答は返ってこなかった。放り出そうにも、身体障がいがあり、手助けする人もいそうにない。すべてを調べて、解決方法を探してみるくらいはいいかなと思い、震える手を抑えながら、手伝うことにした。どうしようもないどん底人生としか思えなかった。

「どん底だから上がるしかないか。どん底をマネジメントして、てっぺんが見えたらどんなだろうね」

アスリートの血が騒ぎはじめた。


本連載は、突然の事故、右足切断、記憶障害、脳機能の低下。途方もない試練を乗り越える裏には、小さな気づきと大きな愛情があった。夢を見つけ夢を掴む姿を描いた、試行錯誤の記録。※本記事は、 谷口正典氏・益村泉月珠氏の書籍『逆境のトリセツ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

https://life.gentosha-go.com/articles/-/13161?page=3

 

 

▼逆境のトリセツは、ノンフィクション小説です。

 ぜひ、全編ご覧ください!