2017.06 小樽・札幌 夏の香り 1日目 その1 | あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

カメラの蒼生≪あおい≫と一緒にまわった、ひとりとひとつの旅のきろく。

季節は着実に歩みを進めて、北の大地にも夏を届けようとする。

坂道を通り抜ける風は、それに抵抗するかのように北の冷気を少しだけ含んで、

冷たい。

それでも視界の端に咲く鮮やかな紫色の花を目にすれば、春と夏の押し合いは、

徐々に一方に傾きかけていることを知る。

梅雨など一切気にしていない、爽やかな北海道の旅。

初日は歴史ある港町、小樽を歩きます。

 
 月とハート。
 
東京→新千歳空港まで、スカイマーク線。
機体の翼の先端にある、赤いハートがトレードマーク。
空にハートが浮かんでいる姿はいつ見てもテンション上がります。
左上に、ぽっかりと薄く浮かぶ、地球みたいな月が見守る。
 
さて、無事に空港に降り立ったあとは、電車に揺られて1時間強。
北の大地、西側の足のような半島の付け根に位置する、
大正ロマンの雰囲気漂う郷愁の街・小樽に到着です。
 
時は止まらず。 
 
正確には降りたのは「南小樽」駅。ここから市街地に向けて歩いてみます。
南小樽のホーム、すごく情緒があって…初夏の強い陽射し、濃い陰影、
止まらずに時を刻み続ける、いつからあったのか分からない丸時計。
生まれる前から、もうずっとそこにあったかのように自然に、当たり前に。
人気のないホームには、電車が静かに滑り出す駆動音だけが響きます。
 
余談ですが、本州にいると北海道の土地の大きさの感覚がつかめず、
電車でかかる時間とか容易に見誤りがちです(笑)
さすが、北海道はでっかいどう…と言うだけある…。
 
さて、小樽は坂の街でもあります。
駅の辺りは少し標高が高くて、港へ向け下っていく感じ。
傾斜のある風景は、写真のような平面に奥行きをくれて、とてもありがたい。
 
 坂道を転がる。
 
起伏に合わせてなだらかに駆けていくコンクリート、
両脇に沿う建物たちの整列具合。
この季節ならば、自転車で風を切るのがベストだろう。
髪が乱れるのも、服がバタバタはためくのも気にせずに、一気に転がっていきたい。
 
日なたの熱が高まって、確実に夏が近づいているのに
海から吹く潮風は、まだまだ首をすくめさせるようなひんやり度合い。
その風から、吸い込む空気から、踏みしめる大地から、北海道を感じる。
やっぱりちょっと、大らかで包み込むような雰囲気があるというか。
厳しい冬を耐え抜いて、優しさと温かさの溢れる土地となる。
 
そんな気持ちのいい街、小樽の目抜き通りをしばらく歩くと、
やがて交差点の手前に、訪れたかった建物・その1が見えてきます。
 
赤レンガの館。 
 
こんなレンガ造りの建物が小樽にはたくさんあります。
ここは、小樽オルゴール堂。この建物は、明治45年に建てられたそうで、
当時の洋館のレトロな空気を、そのまま纏っています。
かわいらしい、ミニチュアのようなつくり。
 
さて、ひとたび足を踏み入れれば、繊細で儚いオルゴールの音色に包まれて、
メルヘンの世界に迷い込んでしまったかのような感覚。
繊細な精密機械が、歯車を回して、弾くように音を生み出していく。
ポロン、という、一雫の音階は明瞭で、水滴の波紋のごとく広がる。
目を閉じて、耳を澄ますと…。
 
 幾億の音色。
 
木造りのあったかい館の内側に、視界に収まらないほどのオルゴールたち。
キラキラと部品が輝いて、くるくると回って、旋律を空に描き出す。
幻想の街。
 
テーブルことに、様々な形のオルゴールが所狭しと陳列しているのですが、
これはほんとに欲しかった。。
 
機械のこころ。 
 
ネジやクギ、機械工具の部品で組み立てられた小さな生命体。
彼らはロボットに分類されるのかもしれないが、表情も動きもあって、
どちらかと言えば、生き物に入れてあげたい。
楽器を演奏し、踊りだし、友達と遊んでいる彼らの姿は、
紛れもなく生きている。
ひとり相棒に連れていきたい…。肩とかに乗せて。
 
こちらは、遊園地を再現した大きなオルゴール。
アメリカンな移動式遊園地っぽい装飾がかわいいです。
 
 夢は音に乗せて。
 
これ、実際に観覧車と同じように回ります。
回りながら、どこからか優し気な音色が聴こえてくる。
メリーゴーランドや、飛行機型の乗り物なんかもあって、まるでおとぎ話。
自分がちっちゃくなれたら、ここで思いっきり遊べるのになぁ。
 
小樽オルゴール堂の本館には、2階のフロアもあって、
質の良い木で作られた精巧なものや、螺鈿細工が施されたものなど
高級な箱型オルゴールが並んでいます。
2階は吹き抜けになっていて、階下を見下ろすとまた素敵な風景が。
 
キラキラ、降る。 
 
木目の見える床、その上に無数の星が降る。
キラキラのオルゴールに、キラキラの電飾、それは夜空に瞬く星の輝き。
流星群を眺めているように、この時間はゆっくりと過ぎていく。
 
あとほかの見どころは、オルゴールや、そもそもの「人類と音」の
歴史展示コーナー。
昔から、音楽は人の活動の源の一部になっていて、欠かせない存在。
コミュニケーションの手段でもあり、心を整わせるツールでもあり。
まるで友達です。
 
 音と友達。
 
昔の蓄音機がたくさん飾ってありました。
機能もさることながら、この“形”にものすごく美意識を感じて、
デザインセンスに脱帽します。
お洒落!ほしい!と誰もが思ってしまうであろう憧れの対象。
ひとつ、家のリビングに置いてあったら、毎日音楽と一緒に生きていける。
レトロで素敵です。
 
さて、風光明媚な小樽の旅は、まだまだ続きます。
素敵なキラキラしたものが、たくさんある北の街です。
*その2~潮風とスイーツ~はこちら