2017.05 会津鶴ヶ城と五色沼ブルー 2日目 その2 | あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

カメラの蒼生≪あおい≫と一緒にまわった、ひとりとひとつの旅のきろく。

青い沼地は、そのまま青い天へと通ずる。

天空の鏡は、いつでもありのままに人の心と世界のことわりを映す。

曇りのない青に心臓を包まれて、溺れるように息をする、 福島県・五色沼の旅。

*その1~五色沼ブルー~はこちら  

 

数種類の色を持つ不思議な赤沼を抜けて、しばらく森の中を歩いていく。

やがて木々の隙間に、忽然と姿を現す空の絨毯。

透き通るほど深い蒼色に息を呑みます。

 
 空の落下。
 
天空の世界がそのまま落ちてきてしまったかのように。
絵の具でも作れるかどうか定かではないほどの鮮やかさが、目に眩しい。
五色沼探勝路で、二番目に大きいここは、弁天沼
 
空を映す鏡のような湖はよくあるけれど、
これほど発色したコバルトブルーはあまり見ない。
惑星なのか、自ら光る恒星なのか、区別がつかない。
内なる水に底知れぬ神秘の波長を蓄えた、まるで魔法の色。
 
水が綺麗で、ミネラルが豊富なためなのか、
倒木が腐らずにそのままの形で、化石のように残されている。
 
空間閉鎖。 
 
横たわる白い木は、生命の終わりなのか、継続なのか、
どちらを示しているのか見たままでは分からない。
ただ、そのままの姿を、透明なアクリルケースに大事にしまっておくように
閉じ込めて、保存している。
水面から突き出る枝の鋭さは健在だけど、やがて小鳥たちの止まり木に
なるのかもしれない。
 
美しい青の階層を堪能しながら、弁天沼の周囲をぐるりと回って、
南側へと出ると、木々が途絶えて白い草原が広がる、開けた土地になる。
ここも絶景スポット。
 
 天色の早春。
 
輝くターコイズブルーと、磐梯の山々の稜線がくっきり。
残雪が春を待ち侘びて、雲と共に解けていく。
ずっとこの場所で呼吸をしていたいと思えるほどに、瞳を染め上げる青色です。
 
別れが惜しくもありますが、弁天沼を離れて次の湖沼へ。
次は森の中にひっそりと水を湛える、青沼です。
 
翡翠の溜り。 
 
また弁天沼とは少し色合いの違う、成分の違う、翡翠石を割ったような水たまり。
緑色が濃く出ていて、下に敷かれた青と絶妙に交ざり合う。
ともすれば、南国の珊瑚礁のような色でもあり、
鉱物の複雑に入り交じった、金属的な色味でもあるのかもしれない。
なんでこんな色になるんだろう…って、この日だけで何度目かの疑問(笑)
全ての湖沼が固有の色を持っていて、それが自分にしかできないことだと
胸を張っているように。
こんなに近くにいるのに、誰にも染まらない自分だけの色。すごい。
 
探勝路はもうそろそろ終わり。3.6kmなんて微塵も感じさせないほどあっという間。
こんなブルーをずっと見ていられるなら、疲労なんてどこかに吹き飛びます。
探勝路の桧原湖側の出口付近にあるのは、最後の湖、柳沼
 
 目覚める触手。
 
うねりの深い木々の枝が水面に反射して、
魔の森のような、意思を持った動きをしている。
手を取り合えるのかどうかは、もう少し様子を見ないと。
 
そして近くに咲く、水の綺麗な証でもあるこの白い花。
 
清楚可憐な使徒。 
 
水生する水芭蕉たちが、足元で可憐に懸命に、春の訪れを告げる。
大丈夫、ちゃんとその声明は皆に届いている。
ほかにもふきのとうなんかも咲いていました。雪の下で冬をこらえる強い植物。
命の開花の季節です。
 
さて、帰りの電車の時間までまだ少しあったので、
いったん、バスで探勝路の東側入口へと戻り、再び毘沙門沼のほとりへ。
午後になって日差しがさらに強くなり、人出もボートも増しました。
 
 おやすみボート。
 
毘沙門沼のグラデーションブルーの美しさは相変わらず。
いつまでも見ていられる。目に入れすぎて、瞳がこんな色に染まればいいのに。
 
午前中に行けなかった、湖の東側のほとりまで、降りてみます。
水面ギリギリの高さまで行くことができます。
草の絨毯になっていて、訪れる人は皆、思い思いにのんびり日光浴。
春を体全体で味わう。
 
味わうと言えば、お腹が空いたので、毘沙門沼の売店でモツのごろごろ煮を購入。
プラスチックカップいっぱいに、味噌煮込みがごろごろ。
400円くらいでかなりの量だったのでw コスパ良すぎ!!と慄きつついただく。
熱々で美味しかったです~!とにかくコスパ高い!
 
そんなこんなで、水面の際に立つ。
水に触れれば、まだ光の届かない雪解けたばかりの冷たさが
指先を絡めとって、冬を忘れないでと教える。
澄んだ水、澄んだ空気。
磐梯山が見守るおひざ元。
 
山の恵み。 
 
山がもたらす恩恵も恐怖も、全てを受け入れて共にある、そんな土地です。
湖沼群はいつも、高い山の頂上を見つめて忘れない。
そんな畏怖の念も感じられます。
 
高原ならではの、面白い植物たちもいました。
たとえばこんな樹!
 
 隠れ家。
 
穴の開いた太い幹は、誰かの策略なのか、偶然の産物なのか。
小人だったら、ここに住めそう…というか、ここをねぐらにしたい。
鳥たちか、リスなのか、きっと住まいにするでしょうね。
今はまだちっちゃな新芽だけど、夏が来る頃には頭上を無数の葉たちが覆い、
ちょうどいいお昼寝の日陰になる。最高の隠れ家。
 
自然たちの奇跡を、引きずり込まれるほど深い蒼色に映して見せてくれる
五色沼の湖沼群。
まさにワンダーな世界です。
想像を超える青の階段が、待っています。
きっとそれは、季節によっても、日によっても色を変える。
今日その日にしかないブルーを探しに、また何度でも訪れたい場所。>
 
最後におまけ。バスの発着する猪苗代駅のホームは、
春の喜びに満ちていて。
 
桜待合室。 
 
電車が来るまで、たくさんの人が顔を上に向けて写真を撮っていました。
お見送り、ありがとう。