2017.04 大英博物館展と千鳥ヶ淵桜 その2 | あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

カメラの蒼生≪あおい≫と一緒にまわった、ひとりとひとつの旅のきろく。

千の鳥が舞う、城の囲い。

春の祝いに手を伸べる、枝垂れの桜たちを見に、

黄昏の堀を歩く。

*その1~知の博物館~はこちら

 

上野から移動してきたのは、皇居外苑のひとつ、千鳥ヶ淵

お堀に沿って一斉に咲くソメイヨシノは、東京の桜名所のひとつと名高い。

満開の便りを耳にして、千鳥ヶ淵緑道には夕暮れ時にも関わらず

人が行列を成していました。

 

それもそのはず、この景色。

 

 染めたい紅。

 

空も張られた水もすべてを薄紅色に染め上げたいと言わんばかりに。

淡いピンク色のヴェールが網膜を優しく、艶やかに覆う。

桃源郷のような景色に、一瞬にして吸い込まれてしまう。

 

堀にかかる橋のたもとで見つけた、これも季節の共演。

 

 違う個性。 

 

個性という言葉は時に甘美で、時に悪魔のよう。

探すものなのか、悩むものなのか、なんだかよく分からない。

けど、ありのままでいることが個性と言うなら、それがいい気がする。

春にたくさんの色があるのと同じ。

 

欄干から先を見渡せば、静水に波紋を投げる浮舟たち。

 

 桜流しボート。

 

この季節はお堀にボートが浮かびます。

真下から、爛漫の桜たちを眺めるのもさぞ風流でしょう。

桜に全身を包まれてしまうような気分になるのかな。

青、赤、緑、多様な色合いのボートが行き交うのを目で追ってしまう。

 

カメラをずっと向けていたら、いつの間にかすとんと日が落ちて、

代わりに月の光のような薄く細い明かりが灯る。

 

 点々。 

 

ぽつぽつと提灯、まるで蛍。優しく温かな光。

照らされる花たちもボートも、全てが絵画のように溶けていく。

夜桜とはまだ呼べない、黄昏桜。肉眼でも目の端をしっかりと捉える存在感。

春の宴はまだ続く。

 

光と言えば、こんな光もありました。

 

 Spotlight.

 

頭上から真っ直ぐに降る電灯は、一本の桜の木の階層を赤裸々に映し出す。

ふわりと夜空に舞う細い枝の一部分を、定規を当てたかのように直線的に切り取る。

そのパートだけの厳しさ、そのパートだけの美しさがあります。

 

千鳥ヶ淵緑道を抜けて、お堀の外の公園へと歩いてみました。

直下には首都高、休日の暮れ、家路を急ぐ多くの車たちのヘッドライトが

そのまま未来へ突き抜ける、桜の明日を描く。

 

桜の未来。 

 

きらきらして、目に痛くて、瞬く間の儚さもある、パステルカラーの綺麗な風景。

流れていく車もトラックも、帰るところへ走っていく。

その様を桜と共にずっと眺めているのも、また楽しい。

 

夜も深まると、水面に映るライトアップが反射して、空すら明るい。

千の鳥たちは、今日もどこかの止まり木に身を休めて、花に囲まれて眠る。

 

 紅色の夢。

 

きっと夢も薄紅色で、春を迎えた喜びを皆と祝い、宴を催す。

長く水面に伸びる明かりが、いつまでも終わらない宴会を指し示す。

大都会の真ん中、幻のようで、悠久のような、春の夢。

 

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