この風景は、強く根付いていて、
いつでも春が来たことを思い出させてくれます。
ずっと変わらずに美しい春の訪れ。
誰にでもそんな景色が心の奥底にあると思いますが、
自分にとっては家の近くのこの場所がそのひとつ。
ソメイヨシノが満開になると、わたあめのようにふわふわ。
桜並木とそら。
石神井川の川沿いは、数キロメートルにわたって
ソメイヨシノの木が植わっており、春には一斉に
花を咲かせます。
淡く白く、ときおりピンクが沿道を埋め尽くして、
空へ昇っていきそうなほど。
毎年見にきて、毎年感嘆の息がもれる。
川べりに桜の幹がはみ出して、
高い塀に桜の影が規則正しく落ちていく様子が
また綺麗で。
かげおとし。
川自体は普段は水量もなく、特別綺麗な川というわけでも
ないですが。。
散った花びらが川面を流れていきました。
旅路が始まる。
もっと風が強く吹いたら、たくさんの花弁が空に川に舞い、
川が白くなります。
桜の散り際は儚くて寂しいと言いますが、同時に美しいですね。
川沿いを歩けば、頭上は桜いっぱいに覆われます。
頭上から降る花。
クモの巣みたいに張り巡らされた桜のすきまに
小鳥を発見。
春のよろこび。
この時期になるとぼんぼりが幹のふもとに飾られて、
夜には点灯し、夜桜を楽しむこともできます。
にこりと笑う。
見上げて歩いていると、手を伸ばせば届きそうな高さに
一輪だけ、咲いているものが。
空の方ではなく、人の方に顔を向けてくれているこのさくら、
微笑んでくれているような気がしました。
どんな桜もきっとそれぞれ美しいですが、
ソメイヨシノのいい意味での庶民感というか、親しみやすさは
安心しますね。
限りなく白に近い薄紅色も空に映えます。
可憐。
毎年、地域の人を楽しませ、笑顔にしてくれる
石神井川の桜並木。
有名なお花見スポットほどではないと思いますが
地元のひとたちが、昔からこの風景を愛している感覚は
なんとなく、自分にもあって分かります。
今までそうだったように、これからも何年も何年も、
自分がいなくなってからも、この景色は変わらずに
続いていくんでしょうね。
続いていってほしいなぁ。
毎年、春が来ればここにきて、ここに来れば春が知れるように、
そのままでいてほしいです。
この先も、また。