社長になる男13のつづき。
STさんの下なら「やりやすい環境で働けるのではないか」と考えるのは甘え&現実逃避だと思った。
結局オレはその年の8月に会社を辞めた。
せっかく「自分の課に来い」と誘ってくれたYZ課長には、謝罪しお礼を言った。
会社を辞めた後もSTさんのことが気になっていた。
あんなに仕事のできる男はオレの人生で見たことがなかったからだ。
そして古巣のブラック企業のホームページを数ヶ月おきに見ていた。
4半期ごとに人事発令が発表される。
そこでSTさんの名前をよく目にした。
STさんは数年後に統括部長という、部長の中のトップになっていた。
さらに数年後、執行役員になっていた。
凄いスピードで出世階段を登っていた。
執行役員の上というともうあまりポストが存在しない。
またあるときホームページを見ると、幹部名簿からSTさんの名前が消えていた。
魔が差して女子社員にセクハラしてクビになったのかと思った。
つづく。