社長になる男12のつづき。

2004年5月の晴れた午後、ST部長、YZ課長に会いに「東京の東の事業所」に行った。

「東京の東の事業所」は、バカでかい高層ビルの中にあった。

オレが在籍している、そしてST部長やYZ課長がかつて在籍していた「東京の西の果て事業所」のチンケなビルとは偉い違いだった。

24階の受付の内線電話でYZ課長を呼び出した。

10分ほど待つと、ST部長とYZ課長がやってきた。

ST部長「よおー**!ひさしぶり~」

YZ課長「**!お疲れ!」

オレ「お疲れ様です。お忙しいのにお時間頂き申し訳ありません。」

ST部長「そうだよ!俺は部長だぞ~、もうじき本部長だぞ~!」
「おめえの相談にのってる暇なんかねえんだぞ~!がはははは」
「嘘、嘘だよーん。コーヒー飲むか?」

ST部長は自販機で缶コーヒーの「BOSS微糖」を3本買ってオレとYZ課長にくれた。

24階の喫煙所は眺めが良く、東京タワーが間近に見えた。

ST部長はくわえタバコで話しだした。
「おめえ、辞めるんだってな。ま、うちの会社も色々あるからな。」

YZ課長「**は、もし再びST部長の下で仕事できるなら、うちの会社に残ってがんばり直したいと言ってるんですよ。な?」

オレ「はい、もしSTさんの下でもう一度仕事させて頂けるなら、またイチからがんばる気持ちです。」

ST部長「おめえがそう言うなら、仕事なんかナンボでもあるけどよお。おめえ本当にそれでいいのか?」

ここでオレは以下のような光景が頭に浮かんだ。
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ホノカ「ユイはどこの高校受けるの?」

ユイ「あたしはB高校。B高でダンスやりたい。B高のダンス部って、すっごい熱いんだって。」

ホノカ「えーっ!B高のダンス部楽しそ~。いいなあー!」

ユイ「ホノカもB高、受ければいいじゃん!一緒にダンス部入ろうよ!?」

ホノカ「そしよっかなー!私もB高受けよっかなあー!」
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30歳過ぎの男がこんな理由で将来決めて大丈夫か?オレ大丈夫か?

友達と同じダンス部に入りたいから志望校を決めるとか、それに近いノリで将来決めて大丈夫か?

もしSTさんが青森事業所に転勤になったら、オレも青森事業所についていくのか?

自分の情けなさに寒気がしてきた。

つづく。