ジュリエッタ・シミオナートの後継者として20世紀 中後期のイタリアオペラ界において最も重要な地位を占め数多の名演を残した世紀のメゾ・ソプラノ、フィオレンツァ・コッソット。ここに提示した歌唱は彼女の初来日時【NHK招聘・イタリア歌劇団来日公演】の歌劇「ファヴォリータ」《ドニゼッティ作曲》の中で歌われるアリア 愛しのフェルナンド”である。洗練された佇まいと完璧にコントロールされたベルカント唱法の融合!まさに見事の一言である。メゾ・ソプラノならではの力感に満ちた低域からドラマティカルで輝きに溢れた高域まで決して波状しないその歌声は時としてエレガントで柔和でもある。とかくメゾ・ソプラノはパワーで聴かすタイプが多い様に思われがちだがコッソットの歌唱は違う。気負いのないナチュラルで何よりも美声である事は特筆ものだ。とうに現役を退き昨今はその動向も定かではないが きっと今も次世代の才能を世に送り出す為に尽力しているに違いない。名バイプレーヤーとして ならした夫君のバス歌手 イヴォ・ヴィンコ共々我が国における世界最高水準のオペラ公演をリードした名歌手中の名歌手 フィオレンツァ・コッソット 。若かりし頃 私が体験したオペラ鑑賞の深き感動の記憶は まさに彼女のステージのあの素晴らしいパフォーマンスの思い出がその支柱である事に間違いはない。いや!本当に素晴らしい体験をさせてもらった。あの時代に心から感謝である。
(ルチアーナ筆。)
歌劇「ファヴォリータ」この時の公演は相手役のフェルナンドをこれ又、スペインの偉大なテノール アルフレート・クラウス(故人)が演じ コッソット共々 最高の歌声を聴かせた。私はそれをまるで昨日の事の様に記憶している。これ程見事な公演は正直その後お目にかかった事がない!。
レオノーラ・ディ・グスマン”
【フィオレンツァ・コッソット】