moonlight”。 | ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

40年以上に及ぶ音楽家としての筆者の活動と
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広く芸術、エンターテイメント等に独自の論評を
加えて参ります。現在小説 愛のセレナーデと、
クロス小説 ミューズの声を随時掲載中です。
こちらもご覧頂ければ幸いです。

現在最もその実力、実績において秀でた存在 マエストロ”ダニエル・バレンボイム。彼のタクトから導き出される数々のオーケストラの諸作品は作曲年代や楽想 はたまた民族性を超越した常にどんな場合においても最高の峰を築き上げる規範とも言える優れた演奏に他ならない。そしてそのバレンボイム!。余りにも有名であり周知の事ではあるが世界に名だたる偉大なピアニストでもあるのだ。ベルリンでは行われた一連のベートーヴェン・ピアノソナタ全曲演奏はその全てにおいて熟達した孤高の音楽性に溢れ完璧なテクニックと共に まさに音楽史上に輝くピアノ音楽の【バイブル】としての この作品群の価値を今更ながら改めて我々に指し示した歴史的名演となった。14番・ ソナタは俗に「月光」の名で著名だが、これは作曲者自身の命名ではなく単なるニックネームぐらいに考えていた方が良い。それにしても バレンボイムの意気揚々とした音楽の壮大なイメージは【さすが】と言うしかない。【悟りの境地】とでも言うのか 若くして天才の名を欲しいままにした巨匠の円熟した妙技をここから垣間見る事は容易な事だが、ここまでの域に達する真の芸術家の本質は我々 凡人には想像も及ばない。只々 感服する以外に言葉はない。
(ルチアーナ筆。)
ピアノ.ダニエル・バレンボイム。
ベートーヴェン作曲
ピアノソナタNO14 Cis-moll 「月光」。