時代を分かった世紀のプリマ”。 | ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

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40年以上に及ぶ音楽家としての筆者の活動と
その経験から得た感動や自らの価値観に基づき
広く芸術、エンターテイメント等に独自の論評を
加えて参ります。現在小説 愛のセレナーデと、
クロス小説 ミューズの声を随時掲載中です。
こちらもご覧頂ければ幸いです。

マリア・カラスとレナータ・テバルディ共に20世紀中期から後期にかけイタリアオペラの世界で傑出した存在感を持って君臨したプリマドンナである。そのレパートリーの中核は期せずして同じ傾向にあり 互いに大きく深く影響し合い双璧と呼ばれたその活躍ぶりは常に世界のオペラファンの間でもカラス派 テバルディ派とで分かれ両者の歌唱芸術に付いて 時にホットな論争すら繰り広げられたものだ。私は幸いにもカラス最初にして最後の来日公演を聴いているし又、テバルディに付いてはフランコ・コレルリと共にリサイタルで来日した際の歌声を聴いている。(いずれも絶頂期の歌声からは到底望むべくもない衰えを感じさせる状況ではあったが…。)そこには一口では言い表せない程の真の芸術家にしか醸し出せぬ矍鑠たる自信・確信がみなぎっていた。カラス、テバルディ共に既にこの世には無く20世紀と言う【映像の世紀】が今や かの一時代を分かった二人の正に不世出の名歌手の足跡を物語るのみとなっている。ここに提示するのはカラス、テバルディ共々最も得意としたレパートリー プッチーニの歌劇「トスカ」のタイトルロール 第二幕でのアリア 歌に生き恋に生き”である。

【マリア・カラス】

【レナータ・テバルディ】