ミューズの声”5。 | ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

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40年以上に及ぶ音楽家としての筆者の活動と
その経験から得た感動や自らの価値観に基づき
広く芸術、エンターテイメント等に独自の論評を
加えて参ります。現在小説 愛のセレナーデと、
クロス小説 ミューズの声を随時掲載中です。
こちらもご覧頂ければ幸いです。

昨日、私、熱を出してしまって、一日中、寝込んだんです。風邪を引いた訳じゃないんですけど朝起きたら立ち上がれなくて…!。頭はガンガン吐き気も凄いし、とても学校行ける様な感じじゃなくて…。だってですよ。その前の日私、田代先輩にとことん付き合わされちゃって、下宿に戻ったのは深夜二時頃だったんです。それから着替えてそのままバタンキューです。シャワー浴びるの、朝起きたらで良いや…なんて思いながら、そして起きたらそんな感じで…!。疲れたんですよ。一昨日は…。先輩達のオペラ衣装の選択、調達を田代先輩と何とかこなして、その後先輩とご飯だったんです。「時間ある…?。」なんて聞かれちゃって「はい!」って答えて「付き合えません。」なんて絶対言えないですもの…!。焼肉食べたんです。田代先輩ってお金持ちなんですよね。全部先輩のおごりなんでそれは断然嬉しかったんですけど。先輩、お酒も強いんです。何種類もあるカクテルを次から次へと飲んでも全然平気なんです。そこへ行くと私、全然お酒ダメなんです…っというより私まだ18、未成年なんですから…。ダメで当たり前でしょう。でもこの日はいけない子しちゃったんです。でも青林檎のサワーを一杯だけですよ。飲んだの…!。例によって市澤先生に関わる話、まぁ~良くここまで想像を巡らせる事が出来るな~と思う程です。田代先輩の想像力、恐るべしです。とにかく青林檎のサワーを一杯飲んだだけで二日酔いでもないでしょうけど、何故か私昨日は完全にダウン!。おまけに熱まで出しちゃって散々でした。でも今日はもう復活、だって今日のゼミは休めませんもの。市澤サヤ先輩が来られるんです。「キャ~どうしよう!」サヤ先輩って私達と入れ替わりで卒業だったので実質、まともに会ってお話する事が出来るなら今日が実際初めてって事になるんですよね。最もサヤ先輩って大学に入る前に既にコンペティションでグランプリを取っていて有名だったんで今日は私、緊張して又、熱でも出なきゃ良いけどなんて思ったりもしているんです。ふぅ~!そんなこんなで学校の正面の入り口までやって来ました。「菜緒~、おはよう。昨日はどうしたの…?。」
わぁ~田代先輩だ。「ちょっと風邪引いたみたいで昨日はちょっと熱もあって…。」とっさにそんな事言ってしまいましたが心の中では「君のせいだろうが…!」っと叫んでいました。それにしても田代先輩は屈託がありません。「ふ~ん、そうだったんだ…。」それで終わりです。やれやれ…!。時間は刻々と過ぎ去ります。午前中の講義が終わり昼下がりの中央キャンパス三階、いつものオペラ研究室、私達は星野正樹先生と市澤サヤ先輩の到着を待っています。いらっしゃいました。星野先生の後について…。ゼミの開始です。
星野「え~今日のゼミはアンサンブルという事で進めますが、諸君も既にご承知の通り、当初お見えの予定だった市澤まゆ美先生がお越し頂けなくなり誠に残念ですが、予定はそのまま実施する事になります。今日はその代わり、私のレッスン生でもあって何んか雰囲気が変ですが、(笑)娘さんの市澤サヤさんに視察に来てもらいましたので宜しく。」
サヤ「みんな、暫く~。うむ!。でも初めて会う子もいるかな…?。まぁ~、だんだん仲良くなれば良いね。それから、いきなりだけれど今日、最初に一つ報告しとく事があるので聞いてくださ~い。」菜緒「わぁ~サヤ先輩…綺麗!見てるだけで感動…!。」私、心の中でそうつぶやくのがやっとです。ヤダ~
泣きそう!!。サヤ「マーママ、あっ!いけない!。え~と母の事ではごめんなさいね。それで母の病気なんですけど、今、携帯に連絡入って、乳癌でした。一応報告しておきま~す。はい!まぁ~そう言う事で…。」
菜緒「え~え~嘘~!。でもこんな大事な話、なっ何んでこんなにあっさりと!」心の中でみんな同じ事、叫んでいる様な雰囲気です。流石の田代先輩も顔、凍り付いたみたいで…。(続く。)ルチアーナ作