10/26午前中、台風と秋雨前線の影響で荒れた空模様であった東京某所にて首都圏を代表するハイエンド・オーディオ店の毎秋恒例の視聴会が行われた。そこへ出向いた。(27日も引き続き。)海外の名だたるオーディオメーカーが言わば社運をかけて作り上げたプリアンプ、パワーアンプ、CDトランスポート、DAコンバーター、PCオーディオ関連機器、アナログプレイヤー、フォノイコライザー、そしてスピーカーetc。息を飲む様な感覚を想起させるハイクォリティー。コンポーネント構築の多角的なアプローチにより大きく変化する再生音、壮大な空間感。レコード演奏の究極が理想的な佇まいでそこに存在する様は、まさに圧巻としか言いようが無い。まぁ~個々のプレゼンにはかなり閉口させられた部分もあり、そこはメーカーの責任ではなく。店の責任大だが、そうしたネガティブな要素を全て受け入れても尚余りある程の機器そのものの持つ特色、パフォーマンスには完全に脱帽せざるを得なかった。そうした中、特筆すべき機材多々あれど、やはりスピーカーに関しては何しろ音の出処である訳で、他の機器とは意味合いが違って来るのは当然と言えよう。私がこの日特に注目したのはソナス・ファベールのアイーダ並びにJBL.DD67000・エベレストの二機種であった。価格は各々、前者が¥12000000。後者がその半額¥6000000である。途方も無い金額であり又、途方も無い再生能力を持つ超弩級製品だ。とても一般的価値観の範疇からは遥かに逸脱した高度な趣味性、孤高のサウンドを呼び起こすそんな音楽の世界はここまで追求して来て始めて構築出来るのか…っと思うと一瞬気が遠くなる。まぁ~そんな所である。しかし、私自身今まさにハイエンド・オーディオの所有者である事には変わりは無い。ある意味少々くたびれても、十年二十年と精魂込めて調整を施して来たかつての名機達が今の最新ハイエンド機に遥かに劣る物とはなり得ない。その時々に投入されたテクノロジーはやはり絶対的価値をもち続ける。容易に陳腐化はしないのだ。私の愛機であるスピーカー、マッキントッシュ・XRT22などもその典型だ。抜群の定位感、広いレンジに端正にそして深々と再現されるステレオフォニックな空間感。この音を悪く言えるものなら言ってみろ…と大見得を切りたくなる程、現在も尚、優れたパフォーマンスを維持してくれている。贅沢と言えば確かに贅沢な趣味の世界だが私などは仕事とも絡む一面もある。手元には貴重な音源或いは映像等、数多の資料が山積みだ。これらを最高の状態で保持、再生させるには、それなりのシステム構築は課題として考慮されなければならない。ハイエンド・オーディオは贅沢な趣味と言う範疇を遥か大きく超え、今や私には最も必要不可欠なものとなっている。CDもアナログも又今後大きく展開するであろう高度通信・伝送、データ再生等オーディオを取り巻く環境は益々、多様化と同時に最先端テクノロジーの主要な発展課題の詰まった世界となって行くだろう。私はそれに振り回されはしない。冷静に今我が手中にあるシステムにどう磨きを更にかけて行くかを起点に新しい機材をどの様にそこへ取り込んで行くかに主眼をおく考えだ。ハイエンド・オーディオこそ美と夢を描く素晴らしい世界なのだ。いやしくも音楽に携わって生きている者はここに着目しないで、どうするのか!。弛まぬ努力と感性を持って優れた機器を使いこなし独自の音楽感、価値観を構築するかの甚だ難しく、又やり甲斐のある世界…。これこそハイエンド・オーディオだ。それは自ら演奏を修練して行くレッスンプロセスにも通じるもの。私はそう心得ている。ここにも確かな本物が存在する。一度は眼を耳を傾けて頂きたい。
(ルチアーナ筆。)
来たる11/2.3.4。東京国際フォーラム
にて、インターナショナル・オーディオショー2012”が開催される。
入場無料で内外のハイエンド・オーディオ製品が一同に会する。
とっておきのイベントだ。最高のレコード演奏を聴きたい放題…。
どうぞ、ご興味をお持ちになられましたらご来場あれ…。一応個々の製品の価格を見て眼を回さない様にご注意だけは申し上げておく。老婆心ながら…。