白鳥の歌”出会い・そして修練の時14。 | ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

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40年以上に及ぶ音楽家としての筆者の活動と
その経験から得た感動や自らの価値観に基づき
広く芸術、エンターテイメント等に独自の論評を
加えて参ります。現在小説 愛のセレナーデと、
クロス小説 ミューズの声を随時掲載中です。
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談話室中央の丸いテーブルを挟み、私と相対しているサヤは、改めて珍しく背筋を伸ばし私の話を真剣な眼差しで聞こうという姿勢に見て取れた。
私はこれが最後とばかり一気に話始める「ここからの話は非常に肝心な事柄だからね。心して聞いて欲しい…。いいね!。」サヤ「はい!。」
「でね…。君はある意味、昨日の昨日まで言ってみればホームレスだった訳だろう!。だけれど今日からはもう違うんだ。私達夫婦が君の身元引き受け人になった訳だし当然住所不定でもない。ここが君の住所、住まいという事になる。だからね。そういう意味において君もこれからは堂々と胸を張って日々生活をして欲しいんだ。ただしね。私は事情があってね。歌う仕事を辞めなくてはならなくなったとさっき君にも言ったけれど実はそれが自慢する訳じゃないんだけれど世の中の色々な人達に大きな影響を与える可能性があるという事を踏まえていて欲しいんだ。その為にも私達は当分、世の中に目立たぬ様、心がけなくてはならないんだ。だからね、君がさっき言ってくれた私も働いて頑張るというあの話だけれどとてもありがたい事ではあるけれど逆に少し待って欲しいんだよ。私達夫婦の周辺で今色々な動きがあるとね。諸々の人達に、もしかすると迷惑がかかる可能性があるのでね。サヤちゃんを巻き込むつもりはないんだけれど、暫くはここで静かに生活して欲しい…。頼むよ!。」私はなるべく穏やかにサヤに懇願する様に話を進めた。
「うん、分かった。いいよ!。じゃ~私、当分遊んでる!。あ~っ心配しないで…。又、街へ行って怒られる様な事は絶対にしないから!だってさ~この家、広いじゃん。まだまだ冒険したい所あるし、フゥフゥ」やれやれ。これで当分、じっとしていてくれれば私達としては御の字だが…!。心で私はそうつぶやいた。しかしサヤの話方は何でこうも粗野で下品なのだ。今日の今日では仕方ないが言葉使いに気をつけると自ら言ったのはついさっきの筈ではないか…!。「さあ~、それから…!。」私のきっかけに「えぇ~まだ何か話あんの…!。」そう言う仏頂面は似合わない!。サヤの性根を治さないとこの子の将来はない!私がそれを見届ける事は決してないが私は今日から妻と共にこの子の親代わりだ。
責任は果たさねばならない…。
(続く。)
ルチアーナ作