先に簡単な言葉でこの試合を説明するとしたら、讃岐はYS横浜を内容で圧倒した。「内容で圧倒した」そう言っていいだろう。
ボール支配率は63%。
シュートは9本と2桁には乗せられなかったが、代わりに相手のシュートは僅か3本に抑え込んだ。
多分、讃岐は主体的にボールを保持して圧倒しようとした。
ただ…その一方でYS横浜は割り切ってドローでもOKと思っていたのではないか…と。
ご存知の通り、YS横浜は発掘した若きエース福田翔生を夏の移籍でJ1湘南に引き抜かれている。
得点王争いに参戦していた彼を獲得するには応分の移籍金が発生しているはず。J1から引き抜かれたのは初めてだと思うので、恐らくだがその額はYS横浜史上最高額だったんじゃないだろうか。
この移籍金を使ってクラブを強くしたいはず。
そうなるとYS横浜の今季のJ3残留は至上命題となった気がする。
健闘が光っていた星川さんを解任して倉貫監督に切り替えたのもJ3残留のための秘策のように思えてくる。
とにかくしぶとく勝ち点を積み重ねるため、アウェイ戦ならドローでもOK、その代わりホームは勝利に向けて全力を傾ける…そう考えていても不思議ではない。
今節は司令塔の中里崇宏が累積警告で出場停止。
ドローでOKと考える方がむしろ自然なのかもしれない。
YS横浜は讃岐の圧に押されて守備的になったのではなく、自主的に5バックを布いたように感じられた。
とはいえ、讃岐は攻守に渡って見事だった。
守備はさほど機会はなかったものの、4-4のブロックで完全シャットアウト。
流れのなかでは失点がなかった。
ハイプレスは機能していて、高い位置で刈り取ることこそできなかったものの、プレスをかければかなりの高い確率でボールを回収できていた。
攻撃の部分で目立っていたのは川西翔太か。
ボールを握って攻撃にいく讃岐の羅針盤は間違いなく彼だった。
川西クンがボールを持つと、流れるようにボールが繋がった。それは何かボールを運ぶ設計図のようなものが川西翔太の脳内にパッと浮かんでいるかのようだった。
加えて緩急とスペースを自在に操っている…まさに時空の支配者。
足下に出しがちな讃岐のパスにあって、川西翔太のパスの多くはスペースに向かって蹴られ、周りの選手たちが操られるように動いていた。
33分頃、今村勇介から最終ラインを経由して、VOの位置まで下りてきた川西翔太にパスが出る。
サッと見渡した川西クンは右サイドへと展開。
川﨑一輝がこれを前向きで受けた。
一輝はそこからミドルレンジのスルーパス!
これが走り込んできた江口直生に繋がった!!
シュートぉ!!
絶妙なタイミングで通ったパスだったが、シュートコースがずれてしまい、僅かに枠を捉えられなかった。
くぅぅぅ惜しい…
34分頃、スローインを受けた岩本和希が繰り出した目の覚めるような鮮やかなサイドチェンジから下川太陽が左足を振り抜くっ!!
痛烈なミドルシュートが襲ったが、コースが甘く、児玉潤がガッチリとキャッチした。
もうちょい高めの軌道だったら…
36分、右WBの柳雄太郎を岩本和希がファウルで倒してしまい、FKを与える。
このFKをCF道本大飛が蹴り、PA手前でトラップした左WBの松村航希がシュートを放つとこれがゴールに突き刺さってしまう。
試合後に松村はこんなコメントを残している。
「サインプレーではなくて、FKがたまたま目の前に来て、思い切り振り抜いたら入った感じです」
たまたま来たボール。
たまたま蹴ったシュート。
これがYS横浜に願ってもない先制点をもたらした。
その後、讃岐は左SHでスタメン起用の高橋尚紀が華麗なドリブルテクニックを披露しながら中央に斬り込んでスルーパス!
これを受けたか!と思ったが赤星魁麻はこれをトラップできなかった。
この日赤星魁麻はハイプレスなどで奮闘したが、肝心のシュート前のトラップでミスが多く、結局シュートは0本に終わってしまう。
いやぁ…マズい。
このままズルズルいかないでくれ…
讃岐は1点ビハインドで後半を迎える。
<つづく>
※読みやすさを考慮して、選手名は敬称略としました。ご了承ください。
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