いわきはどちらかと言えば攻撃→守備、あるいは守備を重視しているような雰囲気があった。
最優先すべきは前半を0で抑えること。そして讃岐の攻撃、守備を"品定め"するような不気味さがあった。
いわきのシュートは勢いこそなかったがいいカタチを創れていたり上手く抜け出せていたりしていた。
(こうやって攻めていけば攻略できそうだな…)
そんな確認作業を行っているような不気味さ。
その不気味さが怖かった…
その怖さの裏にはいわて勢の走力があった。
前節の岐阜戦、岐阜の柏木陽介あたりは前半の終わり頃にはもう両膝に手をついて苦しげに呼吸が乱れていた。
岐阜の選手たちは個の力があるので一時は同点に追いつくほど食い下がった。しかし最後には体力をすべて吸い取られるように力尽き、その走力とスピードの速いパスワークの前に屈していた。
【讃岐※】
15 岩本和希 → 20 下川太陽
※脳震盪による交代のため交代枠にはカウントせず
いわきも1枚交代枠を使用。
【いわきHT】
34 古川大悟 → 17 谷村海那
後半、先にシュートを放ったのは讃岐だった。
西本雅崇のクリアボールがロングカウンターのような恰好になり、松本孝平が抜け出してシュートまでいく。
いい入り…と思われたが、いわきも負けていない。
宮本英治から左サイドの山口大輝にパスを出し、山口は有田稜へとスルーパス!
有田がグラウンダーのクロス、そこに谷村海那ーーーっ!!
しかしこのシュートは素早く田尾佳祐が反応。
シュートを食い止めた。
バシィッ!っと体をぶつけて田尾のファインプレーを讃える溝渕雄志。
この直後、いわきは下川太陽を3人で包囲してパスミスを誘いボールを奪うと谷村海那がドリブルから一気にシュート。讃岐守備陣のブロックで何とかピンチを切り抜ける。
この後、讃岐はクリアボールを溝口雄志が収めてカウンターを発動。
松本孝平がスルーパスに抜け出す!
さらに相手GKの坂田大樹が飛び出しているのを見るやループシュートを狙う。
このシュートは今一つミートせず、意図するところへは飛ばなかったが、判断としては面白かった。
後半が15分ほど経過し始めた頃、いわきが徐々にボールを握るシーンが目立ち始める。
谷村海那が、嵯峨理久がミドルシュートを放って讃岐ゴールを脅かす。
さらにいわきの左サイドを深くえぐって谷村海那のマイナスのパスから有田稜の強烈なシュートが繰り出されたが枠を外してしまいノーゴール。
ノーゴールだったが崩されていた。
防戦一方となった讃岐は少しずつ足が止まり始めていた。
暑さも徐々に讃岐勢のスタミナを奪っていく。
そんな時間帯だった。
いわきの右サイドをえぐった岩渕弘人からマイナスのパスを受けた嵯峨理久が柔らかいクロスを放つ。
溝渕雄志が懸命にこのボールをクリアしようと大きくジャンプするが届かない…!
その背後で山口大輝がしっかりヘディングを合わせた。うーん、いわき先制…
いわきは足を攣った山口大輝を下げる判断。
【いわき①】
14 山口大輝 → 7 杉山伶央
激しく照り付ける太陽が両軍の体力を奪っていく。
あのいわきの選手でさえ足を攣ってしまう厳しい状況下でも讃岐ベンチは動かなかった。
疲労からか、ミスを連発する讃岐勢。
ベンチサイドに憤りを覚える…
ここからはいわきのゴールラッシュ。
2点目はスローインを宮本英治がインターセプトし、谷村海那が杉山伶央へパスを出そうとしたところでボールが谷村海那の前にこぼれてきた。あとは流し込むだけ。
3点目はコーナーキックの流れから。いわきの右サイドでボールを繋がれボールはフリーの宮本英治に渡り、正確で丁寧なクロスが入ってくる。
これに家泉怜依がヘッド!
一度は高橋拓也が弾いてみせたが有田稜に詰められてしまった。
64分、72分、75分…立て続けに点を許してしまった讃岐。
3点目を献上した直後、高橋拓也が悲し気に佇んでいた。
讃岐のベンチが動いたのは、このタイミングだった。
今更感の強い交代…
【讃岐①】
50 溝渕雄志 → 26 小山聖也
17 後藤卓磨 → 28 中村駿太
しかしこの直後、西本雅崇からいとも簡単にボールを奪うと有田稜がこの日4点目となるシュートを突き刺した。
これで2試合で8失点。
ちなみに過去、2試合で8失点したことは一度だけ。
2018年の第5節、第6節。
第5節 1-6 千葉
第6節 1-2 大分
しかし万遍なく4失点したのはJ参入以来初めてのことだ。
試合はいわきが控え組の試運転に使い始めたことで勢いが若干弱まり、何とか1点を返す。
最終ラインで右から左に展開、長谷川隼が左WBにポジションを動かした田尾佳祐へパスを出す。
大外のレーンでパスを受けた田尾佳祐は嵯峨理久の背後のスペースを突いてスルーパスを発射。
サイドに流れた下川太陽が抜け出し低い弾道のクロスに松本孝平が飛び込んで1点返す。
下川太陽にとって、これはJ初アシストとなった。
何やら大声で味方を鼓舞する松本孝平。
このシーンだけでも来場した讃岐のファン・サポーターは僅かばかりではあるが心を潤す一撃ではあった。
しかし無情にも試合終了となる。
あまりにも反撃が遅すぎた。
2試合連続4失点という結果も、12試合勝ちなしという現実も重くのしかかる。
敗戦数も17を数え、もう痛みすら感じなくなるほどにやられまくっている。
今季もこのまま、弱さを露呈したままで終わってしまうのだろうか…
最下位はもう、讃岐の肩に手をかけている。
※読みやすさを考慮して、選手名は敬称略としました。ご了承ください。
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