Times Square Portraits by William Coupon | takasanのブログ

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去年のいつ頃だったか、僕はYouTubeで一本の動画を見つけました。
それは、随分昔に名前を知った、ある写真家のニューヨークでの活動を記録した動画でした。

 

被写体への短いインタビューと写真家の撮影シーンが淡々と流れるだけの、5分程度の動画です。抑揚の欠片もありません。視聴回数もごく僅かです。
多くの人が、すぐに飽きてブラウザの「戻る」ボタンを押すかもしれません。

 

でも僕は違いました。今に至るまで何度も、食い入るようにこの動画を見続けています。

 

紹介されている写真は、一見ふざけた写真にも見えるし、どれも驚くほど地味です。

 

でも、背景を理解するにつれ、じわじわと写真からにじみ出るエスプリ・・・
明らかに問題を抱えながら生活している被写体に対して、馴れ馴れしくもなく突き放すこともない絶妙な距離感・・・
かける言葉が少なくても、写真を観ればひしひしと伝わる写真家の優しい眼差し・・・

 

これらは「日本のポートレート」に食傷気味だった僕に、清涼剤のように沁みてきました。

 

同時に、「虚飾」という言葉が僕の全身に突き刺ささります・・・
「テーマに勝る技術」、「目的を凌ぐ手段」、これらは皆「虚飾」を生むだけです。
そんな事はもう分かっているはずなのに、それでもカメラだライティングだレタッチだとむやみに喚いてきた自分が、実に滑稽に思えるのです。

 

・・・

 

とても万人に勧められる動画ではありませんが、それでも下にリンクを貼りますね。
むしろ「William Coupon」でググって、一枚でも写真を観たほうが、唸る人が多いかも。

 

実は、若き日のドナルド・トランプも彼の被写体になっています。超格好いいです。(笑)
今回紹介した動画の内容を考えると、何とも皮肉ですが。

 

 


#正直こんなに直球で一人の写真家を紹介するとは思ってもいませんでした。でも、これほどの写真家が日本では「全く無名/無視されている」のが、本当に残念なのです。