俺は愕然とするしかなかった。
サトミの悲しみや絶望、苦しみや憎しみは俺たちの予想を遥かに上回ったところにあるようだ。
「…本当にゴメン」
俺が呟くと、サトミは溜め息とともに言った。
「だから、謝らなくて良いって言ってるでしょ? しつこいわよ」
すると、イチハラがペタリと土下座して叫んだ。
「ゴメン! 許してくれ! 俺はお前のことが好きだったんだ! だから、イジメちゃって…」
…え? そうだったの?
俺もタカポンも唖然とした。
サトミは盛大に溜め息を吐いてから言った。
「…さっきから何度も言ってるよね? 謝らなくても良いって。許さないから。土下座もするなって言ったよね? 謝罪の形態の一つでしか無いから無駄だって」
そこで更に大きな溜め息を吐くと、サトミは不機嫌そうに続ける。
「…好きだからイジメた? あんた自分が今何を言ったのか、解ってるの?」
…え?
サトミの言葉の意味が解らず、俺は思わずタカポンの顔を見る。
タカポンは首を傾げつつも呟いた。
「…数十年越しの愛の告白?」
「は?! そんなロマンチックなものじゃないでしょ?! 昔の恋心に免じて許してくれって言ってるだけで、結局のところ謝罪じゃない!」
呆れと不機嫌がない交ぜになったしかめっ面でサトミが言う。
「それに、もう一つとんでもないこと暴露しているんだけど?」
「え? 何を?」
俺は思わず聞き返した。
続く