小学校に上がる前、小学生のお母さまからのご相談・ケアのご依頼も頂きます。
実際、お子さまにお会いしてみると、これが子どもの身体なの?
というくらい緊張しています。
このまま成長して、女の子であれば、お産や育児が本当に大変なものになります。
実際、この握力では、赤ちゃんを抱っこするだけでも大変だろうな・・という
お母さんもいらっしゃいます。
そんな場合、もれなく口腔機能の獲得も十分とは言えない。
食べることに関するご相談も、多いですし
生まれたばかりの赤ちゃんの口の歪みや、口の中の左右差。
以前より、多くなっている感覚は拭えません。
授乳がうまくいかないとか、おっぱいトラブルでお越し頂く場合も
赤ちゃんの姿勢や口や舌が原因のことも。
<ものを食べる事も学習と経験が必要です>
ものを食べたり飲み込んだり、ということは、子供のころから自然に
できるようになると思っている方も多いのでは? 私もそうでした。
「口から食べ物を食べること」=摂食
「食べ物を飲み込んで胃に送ること」=嚥下
この機能は、経験を重ねて学習することによりできるようになるのものです。
摂食・嚥下機能、つまり『食べる機能』には、舌、唇、頬など、多くの器官が複雑に働いています。
なかでも舌は、食べ物を口に取り込んで噛み砕き、飲み込むまでの動きで、重要な働きを持っています。
① 捕食
食べ物を認識し → 口に入れる (この時は、唇と歯を使います)
→ 捕食したものは舌で受け取り → 温度や形や大きさ、硬さなどを瞬時に感じ取る。
② 咀嚼
口に入れた食べ物が咀嚼が必要な場合、歯で咀嚼する
→ 舌は食べ物を歯と歯の間に移動させる働きをする
→ 歯で食ベ物を噛み砕く時に、舌で食べ物を保持
→ 何度か咀嚼をすると、粉砕された食べ物が口唇の隙間や舌の上に落ちてくるので、
舌はそれらの食べ物を集め、反対側の歯に食べ物を移動させ、再度咀嚼できるよ
うに動く。
③ 嚥下
食べ物が十分細かくなる → 舌は口腔内の食べ物を集めて咽頭に送り込む
→ 咽頭から食道へ(舌によって押し出される強い筋力が必要)
(出展:「摂食・嚥下障害の評価法と食事指導」金子芳洋、向井美穂編 医歯薬出版株式会社2001)
大人の捕食の際
唇はしっかりと閉じ
舌は上あごの前の部分に固定され、
上下のあごはしっかりとかみ合わされ、
飲み込むときは息を止めているはずです。
これは
赤ちゃんの乳児嚥下から成人嚥下への大事な関門です。
捕食の時、唇で食べものをはさみとります。
食べものが下の唇に触れると、上の唇が降りてきてはさみとります。
↑
これができるようになるために、
今の授乳の仕方で大丈夫ですか?
・赤ちゃんは、自分でおっぱいに吸い付く能力を持っています
・触覚、味覚、嗅覚、視覚、聴覚を効果的に活用して、赤ちゃんは おっぱいを飲みます。
赤ちゃんにプレゼントされている反射という動きは、不随意に何度も繰り返されることで神経系に込み取られていって、その後、筋肉も随意的に動くように発達していきます。
そのために、お母さんが快適な姿勢をとれて授乳でき、それを維持でき
赤ちゃんも向き癖やねじれがなく、身体が整い機能的に使えることは大事な要素です。
母子の身体を整えることの意義がここにあります。
詳しくはコチラ ➡ 赤ちゃんの発達と舌の動きの関係
赤ちゃんの頭を押して無理やり乳首をくわえさせたり(お母さんは前かがみ)
乳首を持って赤ちゃんの口に入れたり
横抱きでお母さんの肘が、身体から離れて(脇をしめないで)引き寄せられていると
赤ちゃんの顎が引いてしまい吸着が上手くできないし
顔がおっぱいに埋もれていたりして、赤ちゃんは嫌がります。
浅のみになります。
赤ちゃんは、後頭部を押されると、頭をのけぞらせて
乳房から離れようとしたり、乳頭を噛んだりします。
お母さんは、自分のおっぱいが嫌がられていて
やっぱりミルクが好きなのかな?と自信を失ってしまうことになりかねません。
お母さんが、乳首を入れてくれるまで
口を開けたまま、待っている赤ちゃんも見かけます。
それでは
捕食の時の唇で食べものをはさみとる、
食べものが下の唇に触れると、上の唇が降りてきてはさみとる
という機能につながりません。
<離乳の初期>
唇を使って食べ物を取り、口をふさぎながら食物を
口の中に取り込むことを覚えます。
唇を閉じて、息を止めてごっくんと飲み込むことができるようになります。
捕食機能獲得の時期です。舌は、前後運動です。
上顎の前方部の口蓋皺壁の付近は、口腔内のセンサーともいわれるべき
非常に敏感な部分です。
口腔内に取り込まれた食物
↓
はじめにここで舌と挟み込むことによって物性を感知し
↓
大脳にその情報を伝達
↓
その後の処理の動き(嚥下・押しつぶし・咀嚼)を決定する
舌は、前後運動
成人嚥下は離乳の初期食で繰り返し、練習されることによって獲得されていきます。
それからだんだん、上下の唇を意図的に閉じることができるようになり
食べ物をこぼすことが少なくなります。離乳の中期に近づく段階です。
<離乳の中期>
やがて舌は上下運動ができるようになる
↓
舌と口蓋で食物を押しつぶす機能の獲得
↓
最初に覚えた口腔の前方部に取り込む動きに伴い、少し形のある
軟らかい食物を押しつぶし
↓
舌の中央部を陥凹させて食塊を形成し
↓
咽頭へ送り込むことができるようになってくる
マ・パ・バなど音声を出し始める(言葉のはじまり)
<離乳の後期>
口の機能が全部使えるようになる(すりつぶし機能獲得期)
唇、頬、舌、顎を全部使って、
食物をすりつぶす、かみつぶす、まぜあわせることを覚えます。
「カミカミ」ができるようになる時期です。
まだ奥歯が生えていない時期には繊維などは噛み切れませんが、生
える前からこの動きは発達します。
そして舌を使って、食べ物を左右に動かすことができるようになります。
<手づかみ食べ>
食べ物を口に持っていく動作を学ぶ時期です。
最初は、手を口に・・ではなく、つかんだ食べ物に顔を寄せて口に入れます。
手の動きが上手になると、食べ物を正面に運び口に入れられるようになります。
手づかみすることにより食べるものの形や温度・硬さ・どのくらい口に入れるかの適量などをを学習します。
食具(スプーンやフォーク)食べの前に、十分手づかみ食べをさせることが大切です。
<前歯でかみとる>
口の中に、たべものを適量入れるために、前歯でかみとる事が必要です。
咀嚼が、上手にできるためには、このかみとりができなければなりません。
呼吸も大事です。
「息を吸って→止めて→ゴクンと嚥下して→吐く」といった具合に、
呼吸リズムの繰り返しです。
ビールをグッと飲んだ直後に「ハー」と感嘆のような息を吐きますね。
一連の呼吸の流れが分かると思います。
呼吸は何が担っているかというと、
口やノドばかりでなく、肺を取り囲む胸筋、背筋、腹筋も活躍しています。
そしてそれは、骨盤~骨盤底筋と連動します。
このように、ただ1回の嚥下も、人体が総出となった協調運動です。
そして、食べ物としての認知、食べたいという意欲、人との関係性、環境も
大事な要素です。
だからこそ、口腔機能の発達と、赤ちゃんの時からの全身の発達・脳の発達との関りは、切っても切れないものなのです。
舌が前後・左右・斜めに動くためには、どんな粗大運動の発達が必要か?
その粗大運動・姿勢の時、舌はどう動くか?飲み込みやすいか?
実際に体験して、ご自身の身体で体験すると、よくわかります。
口腔機能の発達は、乳児期から始まっています。もっと言えば胎児期から。
胎児期から、お腹の中で指しゃぶりをしたり羊水を飲み込んだりして
準備をしています。
9週半では、下顎を下げることにより口を開けたり
12週~12週半ころでは、刺激が繰り返すと嚥下反応が起きる
妊娠25週~28週になると屈曲姿勢が増強してきて
口腔内の陰圧を高くなります。
↓
そうすると口唇を楽に閉じ、羊水を嚥下
↓
哺乳・嚥下の発達を促す
↓
指しゃぶり・手遊び・眼球運動促進・鼻呼吸パターンが成熟します。
お母さんの子宮が狭かったり、歪んでいたりすれば
屈曲姿勢がとりにくく、これが上手くいきません。
下の写真は、お母さんのケア前後の胎児の写真。
↓
ケア終了後、お腹の緊張がとれ、腹囲も2~3cm減少した後の写真
明らかに顎が引けています。唇も閉じていますね。
お母さんの子宮が狭かったり、歪んでいたりすれば
屈曲姿勢がとりにくく顎がひけなかったり、手足が正中にもってこられません。。
屈曲姿勢は、四つ這いの姿勢の際、股関節の位置に、ちょうどフィットした位置です。
それにより股関節周囲が鍛えられます。
ということは、母親の身体が整っているかは
妊娠やお産のためだけではなく、赤ちゃんの一生にとって
大きく影響するということです。
食べる機能を身につける・・赤ちゃん、今のままで大丈夫?②へ続きます。
①②は、赤ちゃんの発達と舌の動きとの関係 の関連記事です。
合わせてご覧ください。