今回は、赤ちゃんの舌の動きと姿勢や発達の関係のお話。
来院理由(主訴)は、
・乳首トラブル(亀裂・白斑・痛み)
・乳腺炎を繰り返す
・授乳が上手くいかない
・赤ちゃんが嫌がる
・母乳分泌は十分なのに、ミルクが必要
(赤ちゃんが上手く飲み取れていない)
・3か月頃になって、今まで母乳は足りていたのに足りなくなった気がする
(授乳間隔が短くなった・ミルクが必要になったなど)
それぞれ違った主訴の様ですが、根本的な原因は、ほぼ同じ。
お母さんの おっぱい自体に問題があるわけではなく、赤ちゃんの身体の都合。
上手く飲み取れない場合、
赤ちゃんの身体が使いにくい状態
⇒ お母さんが授乳しにくい
理由は、向き癖・反り返り・後頚部の緊張
⇒ 肩甲帯の緊張(伸縮性が低い)
そこから波及して、背中・側腹・骨盤・股関節と、筋肉や骨が
身体が機能的に働く位置にない状態になっています(アライメントが適切でない)。
赤ちゃんの頭と体幹の軸がずれている状態。
これでは、無理やり乳首の方を向けられると、赤ちゃんの体幹は
お母さんの身体と、ちゃんと向き合えない。
でも、赤ちゃんの身体全体がお母さんの方をむいて、お互いが密着するように・・
と、指導されます。 それができれば苦労はないです。
赤ちゃんやお母さんのアライメントが崩れていると、それができない。
だから、母子の身体のアライメントを整えて、フィットするように調整します。
そうすると、授乳は楽になります。
なんだか不安そうな表情ですね。でも調整されながらもカメラ目線^^
調整後は、顔が変わったと、どのお母さんもおっしゃいます。
そして、「痛くない!!」と。 授乳も楽になります。
この赤ちゃんも、上手に上唇で乳首を取り込み、上手に哺乳できました。
この写真の赤ちゃんではありませんが
キーキーと甲高い泣き声もしなくなります。
ここまでは、以前の記事にも書いています。
今回は、赤ちゃんの舌のお話。
赤ちゃんの哺乳時の舌の使い方 ↓
舌を上手く使えていないと
上手に巻きつけられずに、乳首と赤ちゃんの口の中がピタっとはまらず陰圧になっていません。
舌小帯といって、舌の下にある帯状のヒダが短いと
舌が上口蓋(上顎)に届かず、乳首を上手く巻き込めない。
程度にもよりますが、哺乳障害がある場合は、舌小帯を切る手術もありますが
現在は、賛否両論。
舌小帯 ↓
https://blogs.yahoo.co.jp/jfhcq196/57872248.html からお借りしました。
舌小帯が短いことも、大きな要因ではありますが、ここではそれ以外の場合。
赤ちゃんの肩甲帯が緊張していると、肩が上がったような姿勢になります。
お母さん方を見ていても、肩を下げられない(動かない)人は多いです。
ちょっと、その姿勢を大げさにマネしてみてください。
舌の位置は、どうなりますか?
肩が上がって緊張していると、舌も奥の方に引っ張られて緊張します。
それに加えて、反り返って頭が後ろに落ちていると、頸の後ろは、短く緊張します。
反り返りが無くても、頭が後ろに下がった状態で抱っこやおんぶしている様子をよく見ます。
これは、本当にダメです!
ますます、頸や肩甲帯が緊張します。
そんな状態で、抱っこやおんぶされている赤ちゃんを見るたびに
悲しくて仕方りません。
大人が、そんな状態で何かにくくりつけられているのを想像してみてください。
苦しいでしょう? 呼吸しやすいですか? のみこめますか?
肩が上がって頸も緊張していると、舌は奥の方に引っ張られて緊張する
⇒ 舌を上顎の方に上げられない
⇒ 前に出して乳首をとらえられないので飲み取りにくい
⇒ 哺乳しにくい
赤ちゃんを調整する前は、舌小帯さえ見えていないケースも
肩や肩甲骨・頸の後ろの緊張がとれると、舌も解放されて
上に上がるようになって、舌小帯も見えてきました。
頸の後ろも伸びています。
この時期に気が付いて改善できればいいのですが
上手く授乳もできてしまって、体重も増えているので気が付かない場合もあります。
それは、なぜかというと
乳児では喉頭の位置が高く、喉頭蓋と軟口蓋の先端(口蓋垂)は
重なり合っている程に接近しています。
気道は食道と分離され、喉頭腔が鼻腔と直結しているため、
乳汁は口腔から直接食道へ流れていっているだけです。
なので、どんな姿勢ででも、飲めてしまうから。
お母さんの母乳分泌が良いと、出てくる母乳を上手に吸えなくても、どんどん流れていきます。
これを上手に飲んでると勘違いしているだけ。
成長とともに咽頭腔が拡大し、喉頭の位置も下がっていくため、
乳児嚥下から、成人嚥下へと変化していきます。
これまで、口唇・舌・顎が一体となって動いていた反射にもとづく動きから,
それぞれが独立した随意的な動きへと変わっていきます。
生まれ持った動きではなく、獲得していかなければならないものです。
だから、4か月~6か月ころ、急に飲むのが下手になったという
赤ちゃんもいます。
肩甲帯や後頭部の緊張が強いままだと
頸の後ろを伸ばせないので、飲み込む機能が獲得しにくい。
肩が下がって、頸の後ろがすっとのびて手で身体を支えられる。
この姿勢こそが大事です。
この機能を上手く獲得できないまま成長していくと
どのような影響があるか・・次回。
左右差があっても、この姿勢はとりにくいです。
ここをとばして代償の筋肉を使って次の段階に行くと
飲み込む機能を獲得しにくいかもしれません。
離乳食が進まないということで、またお知らせが来るでしょう。
赤ちゃん講座では、受講者の方に体験して頂きながら
飲み込みやすさも感じてもらいます。
ですが、これ、できていない大人も多いんです。
自分の身体で感じて、はじめて肩を下げるという事が
どんなことかが、わかったとおっしゃるお母さんも多いです。
今日から、京都へ出張です。
続きは、帰ってから。
母と子のサロンLactea
https://www.lacteamw.jp/