子どもを信じてるから。
週イチ非常勤の私立高校。
9月の新学期。
最初の授業は?
NHK『プロフェッショナル』。
名探偵コナン青山剛昌特集。
これ、生徒にウケがいい。
ファンが多いから。
コミック全巻揃えてる猛者も。
もちろん、生徒ウケだけを狙ったわけではない。
きっかけは、Tくんとの進路相談。
「就職しても一生同じ会社とかムリです。」
「いろんな仕事を転々としそうで。」
「やっぱりこんなのって、ダメですか?」
自分を認めながらも。
他人の目を気にしてる。
ひとつのコトを長年続ける。
いまだにそうかもね。
日本の価値観では。
けど、同じコトを長期間続けるって、ホントにいいの?
最近の記事のノリでね。
表面事象にとらわれず。
これも抽象度をあげると、イイかもね。
って思ってたら、NHKが特集を。
『名探偵コナン』30周年記念ってことで。
タイムリーでしょ。
作者の青山さん。
『コナン』を続けられた秘訣とは?
もちろん、番組内でもそのことを質問される。
> ここまで来たら、ファンのためとしか言えないですね。
ホントにそうかな?
解釈の仕方としては、そうとも言える。
けど、あまりしっくり来なかったの。
感覚的に一致しない。
では、なんだろう?
ピピッときたのが、このひと言。
「信じてますね、子どもを。」
毎週の連載は、どのような流れで製作されてるのか?
まずは、青山さんが大まかなストーリーを。
続いて、犯罪トリックのアイデア出し。
専任の編集者さんが2人。
事前に収集したネタを披露。
最新の科学実験とか。
手品のネタなど。
そのなかで、青山さんがピピッときたアイデア。
そのまま採用するのかと思えば。
何と実験するのだ。
ホントにそうなるのか?
その日は、ティーバッグ。
中身を出して筒状にして燃やすと、
人魂のように空中をただようと。
早速、自宅のお風呂場で実験。
ホントに燃えながら宙に浮いた。
ヨシ、これなら使えると。
また、トリックで数珠を使うとなれば。
そのまま仏具屋さんに足を運ぶ。
数珠について、細かく質問。
トリックでの使い方が不自然でないか?
実証性を担保する。
「子どもは頭がいいので。」
「手を抜くと子どもだましというか、舐められちゃう。」
「子ども扱いしない。」
例え、すぐに理解できない内容だとしても、
「面白いと感じたら調べるし、理解しようとする。」
「難しいこと描いても、ちゃんと描けば。」
「そのほうが子どもは楽しんでくれる。」
青山さん自身、
そんなお子さんだったのだろう。
「信じてますね、子どもを。」
表面的には、読者である子どもを。
深読みすれば、青山さん自身の「子ども」を。
「相手に自分を観る」だからね。
誰しも相反する両極性を備えている。
「大人」な自分もいれば、
「子ども」な自分もいる。
「大人」な自分は、左脳主義。
論理的に思考を使う。
社会でうまく生きていく知恵。
「したほうがいい」「ねばならない」に。
車に例えれば、「運転技術」。
「子ども」な自分は、右脳主義。
直観的に感覚を使う。
自分が自分であり続ける表現。
「いまこれしたい」に。
車に例えれば、「燃料」。
子どもは、何時間でも遊べる。
遊び疲れない。
大人は、大してカラダを動かしてないのに。
すぐに疲れる。
子どもは、無邪気。
邪気がないので、気がめぐる。
自然界からエネルギーが供給され続ける。
生命エネルギーであり、人生の「燃料」。
「燃料」も「運転技術」も。
どちらも必要。
「大人」と「子ども」のバランスが大事。
けど、私たちは「大人」過多になりがち。
かしこくなるけど、エネルギー不足。
わかっちゃいるけど、気が乗らない。
頑張ってムチ打たなければ、動けない。
青山さんが30年連載を続けられたのは、
「子ども」な自分を信じ続けられたから。
先輩漫画家、あだち充さん曰く、
「天才中学生が、そのままマンガを描き続けてる」
専任編集者曰く、
「純粋すぎるくらいピュア」
「けど、マンガを描かせたらテクニックがハンパない」
60歳にして、無邪気。
「子ども」な自分。
表舞台でいまも活躍。
ピピッときたのが、こちら。
「空のささやき」
大島英明 Kindle電子書籍
> 思い込みや願望を
> 手放してしまうと
> 無気力になったり
> つまらなくなってしまうと
> 考えている人が多いです
> しかし
> そのような雑多なものの奥は
> 子供の頃感じた
> 無邪気な喜びで満ちています
> 今までは
> 様々な思考や
> 思い込みの声が騒がしくて
> 喜びの歌が
> かき消されていただけなのです
累計発行部数2億7千万部。
世界32ケ国で出版。
ファンは、子どもだけではない。
「信じてますね、子どもを。」
「子ども」な自分を刺激された大人も。
忘れかけたからこそ、
信じ直したい。
「相手に自分を観る」
『コナン』に子どもな自分を観る。
そんなファンに支え続けられたからこそ。
「30年」の答えは、そこに。
私は、そう観じたの。
さて、あなたの「大人」と「子ども」。
バランスは、いかが?
「ねばならない」でお疲れでは?
今日は、ここまで。