四、法身と業熟体
「宿業の身」とは現在生きている我々のことを言っているのです。それは、迷いのままの心のはたらき(エネルギー)が、或る「縁に触れて」(熟して)現れた我々(宿業の身=業熟体)なのです。
しかし、この「宿業の身」にも佛の種子が宿されているのです。そこでお釈迦さんは禅定により三昧(精神統一)に入ることによって、宇宙のはたらきである「法」が「宿業の身」に顕わ(はっきり現れる)になり「悟りが得られる」と説いているのです。
三昧とは、一事に心を集中することです。坐禅・念仏・お題目などに集中することによって佛(悟りを得た人)になれると言うのです。
これは私が訳した「安般守意経解読書」にも書いてあります。「安般守意経」には呼吸を整えて行う精神統一によって、身・口・意による悪業(体や口や心で犯した悪い行為)が除かれると説かれております。
「安般守意経」は紀元一五〇~年ころの古い経典で原始佛教の思想が含まれて、その内容はお釈迦さんの説かれたものに近い内容であろうと思います。
悪業が除かれると、この「宿業の身」は「法身=悟れる身」になれると言うのです。
ここで重要なことは、その悟り「宇宙の法則・如来・法」が「宿業の身」に顕わになるのは心身の修行に応じて深まって来るものであって、それは決して自己が得たものではなく「法」の方から与えられるものであると言うことであります。
自分が悟ったように思っていますが、実は機(縁)が熟したときに宇宙生命から悟らされるのであるというのです。
そして、自己に「法(真理)」が満ち満ちてくると、それは自己の体より宇宙に放散されるものでもあるのです。
すなわち、菩提心(慈悲の心)となって、たとえば、ボランティアのように与える行為となって現れてくると言うのです。
与えられると言うことは、お釈迦さんは「縁」と言う言葉によって説かれています。「縁」が無ければ如何なる「因」があっても、それは現れないと言うのです。
また三昧による法の力について「涅槃経」にはお釈迦さんが「月愛三昧(月を念じる精神統一)」によって不治の病を患っていた王様の病気を癒したと書かれています。
これは、三昧(精神統一)による「法」のはたらきは、他のものにも及ぼすと言うことを教えているものです。
それは自分自身の奥の奥なる根源、すなわち、佛性は、また同時に宇宙の根源と一体のものであるからなのです。
虚空の何処からか作られてくるものを呼吸と言う営みで取り入れて生命が保たれているように、我々生命の働いている力は宇宙から与えられてきているとしか考えられないのです。
生きるために必要な水も空気も自分で作らなくても自然に与えられ、食糧という命の綱とも言える大切なものも、基は、何時か、何処からか与えられたものなのです。
私流に言えば心に起きる喜怒哀楽の変化は体にも変化を与え、喜べば体は緩み、怒れば体は硬くなり、悲しめば体は萎れ、楽しければ体も喜びを表すように、体から発散される「気=雰囲気」は四方に拡散されてすべてのもの、人に影響を与えることになります。これが「自我」であり、この行為の積み重なったものが「宿業の身」ということになります。
ちょっと難しい説明かもしれませんがこれらは私の考えでもありますので不明な点があればまた解説いたします。
心の問題については、『心の世界』『気功療法の応用』にも書いてあります。瞑想の極意も書いてあります。
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内容
戦前=軍国主義教育
戦中=軍隊(旭川―釧路―東京=東京大空襲―長野―終戦)
戦後=昭和21年(神戸=MPと遭遇)-昭和22年(東京=進駐軍の横暴)
戦後海外で活躍した旧軍人など。