ザワザワザワ
ガタンゴトンガタンゴトン
ピーーーー
私はとある駅まで歩いて来ていた。
目は虚ろ
何を見ても何も感じない
改札口を通ったところで、あるリュックを背負った中年男性と私の肩がぶつかった。
ドンッ
「あ、すみません」
私は正気を取り戻した。
ハッ!
「止めよう」
そう、私は電車に飛び込むつもりでいた。
正気の沙汰ではない私は、踵を返し、再度元の改札口を抜けて、自分の住んでいる街の駅に佇んだ。
その瞬間、私は高知に戻っていた。
「あぁ、懐かしい。あそこの公園で休みましょう」
ホッと安堵したのも束の間・・・
いつもの騒がしい都会の駅に様変わりしていた。
私は、立ちすくみ、涙を浮かべながら、職場から紹介された心療内科へと走って行った。
診察では、「3ヶ月休養して下さい」と言われていたが、見習い期間だったので、それは出来ないと言った。
もう頑張る気力どころか、生きること事態、無理な状況だった。
数日後、経営者に退職する意向を伝えた。
彼とは別れていたし、仕事も辞め、心身共にボロボロ状態だった。
当時、私に好意を抱いていた男性に、大変助けられ、救われた。
打算的だと感じてから直ぐお断りした。
綺麗なマンションから、賃貸料の安いアパートに引っ越すことになった。
お金も底尽きてくるのが怖かった。
こんな気力で引っ越すなんて大丈夫だろうか?と思いつつ、何とか頑張った。
駅から遠い、小さなせまいアパートに身を置いた。
退職して、引越した後、又動けなくなった私に「孤独」が多い被って来た。
ベッドの上で布団を、頭から被り、声を押し殺して泣いた。
身体を丸くして泣いていると、誰かが、
後ろから優しく包み込んでいる感触があった。
とても落ちついて、癒され、感動した記憶がある。
不思議な体験だった。
割と早いうつの再発だったのは、ぼんやりとした不安が底にあったのが原因だと思った。
そして、医療関係の仕事の退職を無事に終えたのだった。
続く