Ψ(さい)のつづり -70ページ目
日が暮れるまでには
まだまだ時間が
あるけれど
少しずつ
陽射しが和らいで
来た頃
自転車を
漕いでみたら
笑っちゃうくらい
氣持ちがいい
風が
髪を
ふわふわに
整えてくれる
飛ぶ鳥の雲があって
本物の鳥もいれば
鉄の鳥も
飛んでいて
漕ぐスピードが
助走するみたいに
ぐんと上がる
こんなにも
すてきな
空を
ひとりじめ
だって
誰も
空を見上げていないから
刻一刻
一瞬一瞬
どんどん表情が
変わっていく
空を追いかける
ちょっと待って
遠回りして
見晴らしの良い
ところで
眺めるから
自転車は
しばし
押していこう

むかしむかし
宇宙からながめた
瑠璃色の星が
あまりにきれいだったので
その星の仲間になろうと
思った
ちいさなちいさな
お星さまが
いました
ちいさなちいさな
お星さまは
力自慢の神様に
お願いして
えいやっと
瑠璃色の星めがけて
投げてもらいました
ちいさなちいさな
お星さまは
うわ~いと
飛んでいきました
ところが
瑠璃色の星に近づくと
熱くて
熱くて
自分がまっかっかに
燃え始めたので
おどろきました
だって
瑠璃色だから
ひんやりしてると思ったから
燃えて燃えて
ちいさなちいさなお星さまは
どんどん
どんどん
さらにさらに
ちいさくちいさくなってきて
自分が
なくなっちゃうかもしれないと
心配しながら
飛んでいきました
けれど
なんとか
途中で
燃え尽きずに
火の玉ボールになって
ぽすんと
瑠璃色の星に
ぶつかりました
瑠璃色の星は
あら
なんだか
くすぐったいわ
そうして
ちいさなちいさな
お星さまは
瑠璃色の星と
ひとつになりました
ぽすんとぶつかった
場所では
最初は
じわじわじわじわ
次第にこんこんと
美しい水が
湧き出てきました
いまでも
その
美しい泉は
大切に
大切に
お守りされています

たべることは
いのちをいただくこと
いただきます
は
日本固有の言霊
いただくことで
からだはつくられ
こころは癒される
たべものを
おいしくいただけるよう
愛をこめて
丁寧に
手を加える
台所は
くだもののような
カラフルな
ひかりあふれる聖域

また
一から
やり直し
いや
ゼロから
出直しだ
何度でも
何度でも
這い上がる
うまく
いかなかったことは
うまく
いったこと
以上に
意味があるはずだから
大人になって
かく
大恥は
子どもの頃の
失敗の
100万倍の
ダメージがあるけれど
大声あげて
泣くわけでもないし
そんなに単純でもない
ただ
はっきりしているのは
もっと
もっと
精進しなさい
ということ
と
うまくいかない
セルフイメージの
払拭が
甘い
ということ
ここで
自分を責めたり
卑下するのは
簡単
だけど
それじゃあ
今までと
何も変わらない
一筋縄ではいかぬからこそ
おもしろい
だから
心機一転
今日から
また
新しい
自分を
はじめよう
昨日の夏至の太陽を
得て
鳳凰のように
舞いあがる
仕度を

遠くから
雷鳴がきこえる
茶色く日焼けしてしまった
紫陽花に
水を恵んでくださるのだろうか
灼熱の
太陽が
極まったとき
もたらされる
恵みを
受け取れるよう
こうべを垂れた
ひまわりのように
うつむきがちに
祈る
ミツバチが
飛び交い
集めた
はちみつの
ように
黄金色の
エネルギーが
降り注ぐ
昨日と今日は
まったく違う
今日と明日も
まったく違ったものに
なるだろう
いちにち
いちにち
という
間に
折りたたまれた
力を
ケイトウが
受け取り
次の準備にとりかかる
何もかもが
時間をかけて
きちんと
用意されて
美しく
展開されていく
屏風絵


