イイケン先生かく語りき -182ページ目

太郎への遺言:第1話「なぜ後継者が必要か?

事業承継の秘伝書「太郎への遺言」を不定期に連載します。
お楽しみに!



すでに初老をとうに過ぎ、年輪を重ねた彼の顔は、倅「太郎」を直視していた。

「私にはお前に残すべき十分な財産はない。
 今、お前に勝るものは
 豊富な経験と、永い間培ってきた知恵だけだ。
 それを宝だと思ってくれるなら、これから
 そのすべてをお前に伝えたい…」


そんな言葉から、この連載は始まっていく。

後継者とは、どんな意味か分かりますか?
文字通り、事業を承継する予定の人、あるいは事業を引き継いだ人という意味にほかなりません。

何で後継者が必要なのか、簡単に言っておきましょう。

会社に限らず「事業」とは、たった一人で成り立っているわけではないのです。
どんな商売であろうとビジネスとして事業を運営(経営)する人と、
そのビジネスを享受する人、つまりお客様がいて初めて成り立つわけです。

でも、それだけではないかもしれません。
一緒に働く従業員とその家族がいます。
商品を売るために仕入れが必要です。
仕入先の会社やそこの従業員、
事業所を持つために銀行からお金を借りれば、お世話になる人はまた増えることになります。
会社を作れば(法人設立)、その会社に元手となる資金を出した人(出資者)も重要な関係者になります。
お母さんや妹のことも忘れてはなりませんね。

一つの事業を継続すると言うことは、多くの人の関わりの中で行われているんです。

もし事業が失敗して倒産となった時は、
色々な人に、多大な迷惑がかかってしまいます。
もう、嫌になったからといって、勝手に止めてしまっても、結果は同じでしょう。

そんなことを考えると、事業は限りなく継続していかなければならないのです。
これを「ゴーイングコンサーン」と言って、企業の社会的責任を求めているのです。

お父さんは「人間」だから、いずれ死んでなくなります。
でも、会社はなくすこと、出来ないんです。
お父さんに代わって、誰かがこの責任を引き継いでいかなければなりません。
その責任を継承する人、
これを後継者と呼んでいるのです。
だから常に、後継者は必要になります。

中小企業の場合、家族で一生懸命やっているパターンが多いでしょう。
社長がお父さんであれば、後継者は何となく長男、
そんな事業承継であるならば、多分それが、30年くらいの周期になるのでしょうか?

でも、本当は「何となく」ではダメなんです。
多くの関係者に、きちんとした貢献をするために、
しっかりした事業承継をやらなければならないと思っています。

そのために、太郎へ、いくつかのミッションを手紙を通して伝えていきます。
お父さんからの、最後のメッセージとして読んでください。

「中小企業金融円滑化法」、本当に機能しているのだろうか?

前内閣の亀井大臣が、肝いりで実施した「中小企業金融円滑化法」、確か、こんな内容だった。

資金繰りが苦しくなった中小・零細企業や、所得の減少により住宅ローンを返せなくなった個人を救済するため、借り手から申請を受けた金融機関は、
できる限り返済条件の見直しに応じるよう努めなければならない(努力義務)というもの。
返済条件の変更内容は、返済猶予や金利減免、返済期間の延長、債権放棄など様々で、
金融機関が借り手と協議して決定する。
なお、この法律は平成23年3月31日までの時限措置となっている。


金融機関は同法の規定に基づき、
法施行日から今年3月末までの間に行った貸付状況の変更等を行政庁に報告したところだが、
金融庁は6月30日付で、その報告の概要をとりまとめ公表した。

それによると、それによると、農協・漁協を含む全国1,556金融機関において、
今年3月末までに中小企業者から48万1,367件の条件緩和等の申込があり、
実際に返済猶予などの条件緩和に応じたのは36万8,074件で、
申込件数に占める実行件数の割合である実行率は76.5%だった。

 また、申請に応じなかった「謝絶」は6,417件と全体の1.3%にとどまった。

この結果、謝絶と実行件数を分母にした実質ベース(「実行件数/(実行件数+謝絶件数)」)での
実行率は98.3%に達している。

と言うレポートを読んで、小生、知っていたつもりだった。
だから、ほぼ、金融機関はリスケに応じてくれるだろう…と思っていた。

今、連日のようにクライアントのリスケ交渉に明け暮れている。
そうせざるを得なかった理由も、金融機関からの、突然の融資条件の変更だった。

確かに1度だけ、短期返済ができず、期限の延長をお願いした経緯はあったが、
その返事が、今まで通りの返済条件には応じられないと言うことであった。

返済はこの銀行を含め10行、
言ってきたのはメインバンクの某メガバンクである。
他の銀行も「信じられない」と、ただ驚くばかり。

仕方なくリスケの申請をしたが、
未だに正式にリスケに応じてくれないまま、
ほぼ1ヶ月が経過しようとしている。

メインバンクの資金調達計画に基づいて、他行の調達を考えていたクライアント。
他行の返済も滞ってしまった。

毎月数億円の支払を抱えながら、社長は毎日、資金繰りに没頭する。
営業活動は、ほぼ、できない状態である。

本当に「中小企業金融円滑化法」は機能しているのだろうか?

金融庁のレポートが正しいとなれば、メガバンクは対象外なのか?

何ともいた堪れないこの現実は、誰に訴えたらいいのだろうか。

NHKドラマ「火の魚」を見た!

まともにテレビに見入るのは、久しぶりだ。

「広島発ドラマ 火の魚」

ストーリーはNHKの番組表から紹介しておこう。

…瀬戸内海に浮かぶ大崎下島を舞台に、世間から取り残された孤独な老作家と、時間を慈しむように生 きる若き女性編集者が紡ぐ“いのち”の物語。島で暮らす頑固な老作家のもとに、東京から若い女性 編集者が通ってくる。ある時、小説の装丁を燃えるような金魚の「魚拓」にしたいと思いついた小説 家は、彼女に魚拓を作ることを命じる。魚拓をとるには、金魚を殺さなければならない。やがて老作 家は女性の“秘密”を知ることになる。
 【脚本】渡辺あや【出演】原田芳雄, 尾野真千子【原作】室生犀星【音楽】和田貴史…

私は全く知らなかったが、この作品2009年に制作され、文化庁芸術祭大賞受賞作品だそうだ。それどころか第36回放送文化基金賞優秀賞、第50回モンテカルロ・テレビ祭・ゴールドニンフ賞(テレビ映画部門)等数々の賞を受賞した有名なドラマで、再放送だそうだ。

ドラマでは小説家「村田省三」となっているが、おそらく「室生犀星」自身だろう。
また、ドラマでの編集者「折見とち子」とは、実在の人物:装幀家の「栃折久美子」である。

余りある才能で一世を風靡した作家村田省三は、ふるさとである瀬戸内海の小島に籠もっていた。
そこへ編集者として、折見とち子が現れる。
三流のエロ作家になっていることを、折見とち子は正面から批判する。
村田が可愛がっている真っ赤な金魚をモチーフにした官能小説が、
読者の人気を浚っていることに我慢がならない折見であった。

村田「原稿を読んだ感想は・・・」
折見「今回も素晴らしい出来ばえです」
村田「バカにするな!」
  「俺の本なんて一冊も読んだことないだろう!」
折見「お言葉を返すようですが、先生の本はすべて拝読させて戴いております」
折見「いま連載中の火の魚は、あまりにもひどい、我慢がならないのです」

村田は、見透かされ、心に燻っていた本音を言い当てられてしまった。
最終稿の原稿を持ち帰りながら、
「先生!単行本の装丁はどうされますか?」と聞く。
官能小説のモデルでもある可愛がっていた金魚を見て、
「金魚の魚拓にしてもらいたい。」
しかし、折見は、「それでは、金魚が死んでしまいますが…」
「それでも良い。」と。

魚拓作りがはじまったが、折見は涙を流しながら
金魚の死と向かい合っていた。
見事な魚拓が出来上がったが、
折見は出来上がった装丁を持って島に来ることはなかった。

しばらく折見が姿を見せないでイラつく村田。
折見は、ガンが再発して入院していた。
それを知った村田は狼狽して、金魚を殺し魚拓にしたことを後悔する。
必死になって同じ金魚を探そうとする村田であった。

スーツに身を包み、
抱えきれないほどのバラを持って病院に見舞いに行く村田。
折見は、ポツンと一人ぽっちになって生と死の狭間を見つめていた。

室生犀星の小説『蜜のあはれ』(1959年)の表紙「金魚の魚拓」の製作をめぐる、室生犀星と装幀家の栃折久美子との物語である。

見ごたえある、テレビドラマだった。


ちなみに
栃折久美子をウィキペディア(Wikipedia)で調べると、以下のような記載がある。

…栃折 久美子(とちおりくみこ、1928年12月7日)は、製本工芸家、エッセイスト。東京生まれ。
 東京女子大学卒 業、筑摩書房に勤務ののち、1967年退社して製本家となり、森有正を知り、以後森の死 去まで恋愛関係にあった。
 1972年、ベルギー国立高等視覚芸術学校でルリユールと呼ばれる製本技術を学び、1975年国井喜太郎賞受賞、
 1981年、国際製本家協会よりマイスターの認定を受け正会員となる。
 1985年国際女流芸術文化協会連盟の現代芸術展審査員賞受賞。
 エッセイストとしても知られ、2003年に刊行した『森有正先生のこと』は話題を呼んだ。…

「税」の恐さをしっていますか?~講演:創業塾「経営法務」から

(前文略)

例えば…
「税」の恐さを知っていますか?

まず
1.「黙秘権」が結果的に通らない!
  「黙秘権」は、憲法第38条により保証された誰にでも認められる権利です。
  仮に、税務当局による調査において、
  何を聞かれても黙っていること事態、「黙秘権」を行使する行為です。
  しかし
  税法は「税務署長による推計による更正または決定」の規定があります。
  推定課税により修正申告を命令され
  結果的に「黙秘権」は通らないと言うことになってしまいます。

次に
2.時効が長い
  ということです。
  国税通則法第73条「税金事案の時効は7年間」です。
  殺人が絡む事件にも匹敵します。
  仮に7年間、税金をごまかし続けたとしても
  発覚すれば、追徴課税を含め
  殆んど持っていかれてしまう。
  7年間、何とバカなことをやったのかを
  思い知らされることになるでしょう。

3番目は
3.「不知」は配慮されない!~情状酌量の余地がない
  ということです。
  納税に関しては国民の義務…正当な理由がない限り、知っているのが当たり前
  と言うのが、課税&納税の前提です。
  納税額が違ったり
  納期が遅れたりした場合、
  「正当な理由」の中に「知らなかった」は存在しません。
  たとえ総理大臣と言えども、後期高齢者といえども、例外は認めず
  善意であろうと、うっかりであろうと
  平等に罰則が提要されます。
  結果的に、情状酌量は通らない…ということになります。
   延滞税(14.6%)無申告加算税(5or15%)、過少申告加算税(10or5%)、
   重加算税(35or40%)、過怠金(3or1.1倍)等の罰則が付きます。
  
そして
4.税務調査がある!
  と言うことでしょうか。
  税務調査には、納税者や顧問税理士の立場を尊重する任意調査(普通調査)と、
  令状執行による強制調査(マル査)があります。
  これは凄い!
  税理士がいようと、弁護士が来ようと
  裁判所の令状に基づき、粛々と執行されます。
  かなり慎重な内偵をしていますので、
  事案としては殆んどアウトとなります。

税金をごまかしたり、バカにしたりすると、痛い目に会いますよ!

(後文略)

2010.9.18 創業塾「経営法務」より 熊谷商工会議所にて


フラッシュマーケティング ~次代の旗手になりえるか??

先日、宿泊予約サイト・一休ドットコムの、高野祐二副社長さんとお会いした。
その際、高野さんから「ワンランク上の“プレミアムクーポン”共同購入サイトを今秋スタートさせます。いよいよ一休も、フラッシュマーケティングに参入です。…」とお聞きした。
「フラッシュマーケティング」が今、話題を呼んでいる。

フラッシュマーケティングとは、割引料金などの特典がついたクーポンを期間限定でオンライン販売する手法で、多くの場合一定数以上の成約件数が前提となり、ギャザリングにも似た手法といえる。Twitterなどのリアルタイムウェブの流行、iPhoneなどスマートフォンの普及によって、瞬間的にユーザーに情報を伝播(でんぱ)させ、販売にまで直結させるマーケティング手法として脚光を集めている。日本語で言えば、ネット上のクーポン共同購入システムである。

共同購入といえば古くはコープ(生協)で班長さんがお世話をして、まとめて商品を受け取ることで配達コストを下げて、少しでも安く購入する仕組みだった。それでも2~3割がせいぜいであった。
これに時間制限と最低人数制限をつけることで、常識外の割引を行うようになったのがフラッシュマーケティングということのようである。

なぜこんな大幅値引きができるのだろうか。
たぶん店側としては、事前に販売期間と客数が把握できるので仕入れに無駄が生じないことや、
利用客の少ない日の稼働率を上げる効果があるのだろう。

会員へのメルマガやホームページで告知を行うタイムセールは以前からあったが、フラッシュマーケティングのほとんどは、ソーシャルメディア(Twitterなど)を活用することで、ネット上のクチコミによる短時間・広範囲への情報伝達が容易にできるようになったことによって成り立っている。
そのような意味で、フラッシュマーケティングの新しさは、大幅割引などの特典にあるのではなく、ユーザーにとって魅力的な情報を、マスメディアよりも安価でスピーディーに、そして直接メディアに接触している人以外にも広く伝達させることが可能という、「時間」と「コスト」の短縮にあるといえる。

たとえば「24時間以内に30人の購入希望者が集まれば、夜景を楽しみながらのフルコースディナー7,400円相当が54%割引の3,500円になるクーポンを提供」といったサービスである。
並んでいる商品すべてに制限時間が設けられ、その時間を過ぎるとその商品は不成立、買えなくなる。つまり、全て時間限定の、タイムサービスといっていいだろう。

提供商品は正にバラエティ溢れている。食べ物関係ではケーキやドーナツからフルコースディナーの高級レストラン。物販以外も、エステや観光ツアーなどホテル・旅館もある。変わったところでは歯科医院のホワイトクリーニング、カーシェリングまである。どれも50~80%を超える大幅値引きだ。

フラッシュマーケティングは米国の「Groupon」社が老舗として有名だが、日本国内でもここ数ヶ月の間に100社ほど誕生し、今後もまだまだ乱立が予測される、超:成長分野といってもいい。
次代の新しい旗手となるか「フラッシュマーケティング」。 今後を見届けていきたい思いである。


参考
http://adv.asahi.com/modules/keyword/index.php/content0031.html
http://d.hatena.ne.jp/Noizy/20100504/1272942335
http://ee-news.seesaa.net/article/159506865.html          
http://www.bcm.co.jp/itxp/2010/08/cat17/13000000.php

飯島賢二の 『恐縮ですが…一言コラム』
第383回 フラッシュマーケティング ~次代の旗手になりえるか??

2010.9.19

「中学生の税についての作文」コンクール・最終審査会~納貯


本日「中学生の税についての作文」募集の最終審査会が行なわれました。
主催する熊谷税務署管内納税貯蓄組合連合会会長挨拶(要約)から…


熊谷税務署管内納税貯蓄組合連合会では、「納税貯蓄組合法(昭和26年施行)」のもと、振替納税制度の普及拡大・期限内納税の推進・納税意識の高揚・税知識の普及等を目的とし、様々な活動を行っています。
このような趣旨のもと、子供たちの租税教育の一環として、
「中学生の税についての作文」の募集、コンクールを毎年実施してまいりました。

お蔭様で今年は、、
熊谷税務署管内で、4,899編もの貴重な応募をいただきました。
これは前年比102.6%増、熊谷税務署管内30校中100%、全校から応募を頂き、改めて皆様のご努力に感謝申し上げます。
昨年度の実績で全国第7位ですので
恐らく今年の結果は、全国でも間違いなく上位にランキングできるものと確信いたします。


たかだか400字の原稿用紙を3枚というものの、
中学生が真面目に、真剣に書いてくる作文を読みながら、
その優劣を決めなければならない審査は、誠に辛いものです。

「税金」という、それだけのテーマで、3枚もの原稿を書き上げる作業は、
私達大人でも、正直大変な事であります。
作品の中には、本当に感心する提案があったり、感動する文章があったりして、
私達大人が大いに反省させられることもあり、貴重な体験をさせていただいております。

しかし、毎年の審査時に感じる事は、中学生の作文の書き出しが決まって・・・、
「今まで税金のことはほとんど知らなかったが、今回初めて調べてみました・・・」

 中学生の無知を叱責するつもりは毛頭なく、
「税金」に関してほとんど教えてもらっていない、そのような無教育さに愕然とさせられます。

中学生にもなって、国を支える・国民の義務である「税金」を
しっかりと教えてもらっていない国は、恐らく日本くらいではないでしょうか。

税金やその仕組みを、十分レクチャーされずに世の中に出る子供たちを「可哀想」だと思います。

世の中、税金と無縁な生活などありえません。
「知らなかった。悪意はありません。」など不知では済まされません。
国を支える国民として、「税金」についての意識を育むことを教えずして、
何のアイデンティティと誇りを所持する事ができるでしょうか?

 将来を担う子供達の為に、
今こそ真剣に「租税教育」のあり方を見直す時期にきていると思います。

「租税教育」とは、学校だけの問題ではありません。
家庭と社会、学校が連携して子供達を導いてあげなければならない筈です。
「税金」を知らない子供達、下手をすると、「税金」を知らない大人達・・・、
今の日本はそんな状況になっているのかもしれません。

今後とも、私達納税貯蓄組合連合会は、関係団体の皆様とともに、
「税」を中心とした明るい社会を築くための活動をより一層邁進したいと存じますので、
ご支援ご協力をお願い申し上げます。


2010.9.16 熊谷商工会議所にて
熊谷税務署管内納税貯蓄組合連合会会長:飯島賢二氏挨拶

旅館経営実践指導(群馬県)~株式会社飯島綜研に委託

群馬県がサービス産業生産性向上事業を開始


 群馬県は、サービス向上を目指す事業者にコンサルタントを派遣、改善点を助言、指導する新しい事業「サービス産業生産性向上事業」を開始する。第1弾は旅館・ホテル業で、9月からスタートした。県は「宿泊施設とコンサル会社の取り組みは来春に開くセミナーで公開し、経営の参考にしてもらう」(商政課)としている。

 同事業の対象はサービス業全般だが、来年7~9月のデスティネーションキャンペーン(DC)を見据え、観光客の受け入れ施設となる旅館・ホテル業をまず選んだ。事業費は200万円。県が選定したコンサルティング会社がサービスの質の向上や経営効率化につながる指導や助言を行うことで、集客力アップを図るのが狙い。

 県はコンサルティングを希望する施設(客室数50室以下)を、県のホームページなどで6月から約1カ月半募集した。4軒から応募があり、ヒアリングなどを経て、四万温泉の柏屋旅館(柏原益男社長、15室)と草津温泉の群龍館(高橋正邦社長、7室)の2軒を選んだ。

 コンサルティングについては6事業者が応募。プレゼンテーションやヒアリングなどを行った結果、埼玉県熊谷市の飯島綜研が選ばれた。

 同綜研は来年1月までコンサルティングを実施する。2~3月に実施内容をとりまとめ、県が開催するセミナーで取り組みを報告する。県は「今回の事業が宿泊業活性化のためのモデルケースになれば」と期待する。

 事業費は200万円と少額なため、客室や浴室などの改修は旅館側の負担となる。このため、2旅館ともソフト面での取り組みを重視。

 柏屋旅館はチェックアウトが午後12時、インが同2時で、滞在時間の長さをセールスポイントの1つにしている。柏原社長は、「アウトからインまで時間がわずかしかなく、お客さまの前で清掃業務をする場合もある。これを逆手にとって、清掃をエンターテイメント化し、楽しんでいただけるようにしたらどうかと考えている。コンサル会社と話し合い、うまい方法を見つけたい」と話している。

 群龍館の高橋社長は、「群馬の食材を使った新しい献立を考えたい。コンサルタントのアドバイスを生かしたい」と語った。



出典:観光経済新聞社 第2577号《2010年9月11日(土)発行》
http://www.kankokeizai.com/backnumber/10/09_11/chiiki_kanko.html#01

旅館マネジメントセミナー開港~観光経済新聞社

飯島綜研、旅館経営学ぶセミナー開講


 コンサルタントの飯島綜研は15日から、旅館経営の基礎と実践を体系的に学ぶ今年度「旅館マネジメント実践セミナーシリーズ」を始めた(写真)。今年度1回目のテーマは「旅館経営の特性と課題の克服」。講師は同社の飯島賢二代表取締役が務め、旅館業・旅行業の仕組みと現在の経営環境、課題克服のための経営戦略について言及した。

 セミナーは将来を担う旅館後継者、幹部社員の育成のため、経営管理能力の育成、時代変化への対応力、計数管理の把握、商品開発と集客アップのための販促など、旅館経営に欠かせない基礎と実践を月1回(午前10時から午後4時)、年12回開講。少人数のゼミ形式による密度の高い講義が特色で、全国から受講者が集まっている。

 次回は8月20日、テーマは「旅館業特有の財務・管理会計とキャッシュフロー」。会場は東京・高田馬場、講師は飯島賢二氏の予定。

 セミナーは年間を通しての受講のほか、科目ごとの参加も可能。問い合わせは飯島綜研(埼玉県熊谷市問屋町2—4—18)、電話048・528・2191。


出典:観光経済新聞社 WEB増刊号《2010年7月31日(土)発行》
http://www.kankokeizai.com/backnumber/10/07_31/business.html#01

観光経済新聞社:第1面トップ「旅行業に関するアンケート」調査

旅館・ホテル ■第2540号《2009年11月28日(土)発行》


旅行業の手数料、8割の旅館が「高い



 飯島綜研が全国の旅館を対象に実施した「旅行業に関するアンケート調査」によると、旅館の多くは旅行エージェントについて「営業戦略上欠くことのできない存在」と認めているが、8割以上が手数料に関しては「高い」と感じていることが分かった。また、9割近い旅館が改善を要望しており、「旅行業に対し、厳しい見方をしていることが浮き彫りになった」としている。

 350軒の旅館を対象に実施し、98軒から回答を得た。内訳は大規模旅館(100室以上)26軒、中規模(40~99室)48軒、小規模(39室以下)24軒となっている。

 旅館の総入込客数に対する直間比率を聞いたところ、「エージェント扱い」は全体で56.6%、「直扱い」43.2%だった。直扱いの割合は規模が小さいほど大きくなっている。

 3年前と比べ、大手・中小エージェント、ネット系エージェントからの送客はどう変わっているか(人員ベース)では、大手からの送客が「増加した」とする旅館は8.5%だったのに対し、「減少した」は70.2%に達した。ネット系については「減少」はわずか2%で「増加」は83.7%と逆の結果に。同綜研は「ネット系は時代を反映した旅館にとって強力な集客機関になっている」と分析する。

 エージェントの手数料に対する旅館の不満は根強いが、規模別に見ると「高い」と答えた割合は大規模旅館が100%、中規模79.2%、小規模75%となっている。全体では9割近い旅館が改善を求めており、具体的には「宿泊料金ランクにより料率を決める」が最も多く、次いで「月、オン・オフ(シーズン)などによって料率を決める」「契約手数料は低くして、送客実績に応じてオプション手数料をつける」が続く。

 不満は手数料だけではない。提供客室の消化率の低さや、カウンター要員の知識不足を挙げる旅館も少なくないのが実情で、エージェントが協定施設の信頼を得るには、こうした点の改善も欠かせない。

 調査は今後のエージェント対策も聞いた。大手エージェントに対しては「提携を強化する」が36.2%あったが、「提携先を絞り込む」は34%、「弱める」も10.6%あった。「特に大規模旅館については『弱める』が15.4%もあることが注目される」と同綜研。

 ネットエージェントについては「弱める」はゼロで、「強化する」が73.5%に上った。
 旅館のエージェントに対する評価は厳しくなり「どことでも協定する時代から、協定を見直す時代に変化してきた」と同綜研は指摘す
ゼロで、「強化する」が73.5%に上った。
 旅館のエージェントに対する評価は厳しくなり「どことでも協定する時代から、協定を見直す時代に変化してきた」と同綜研は指摘する。


長野県「藤井荘」社員教育セミナーにて 「なら」と「しか」の「気配り商品」づくり

【前文略】

現在の「藤井荘」は間違いなく、日本でも相当高品質な旅館のひとつです。

私は28歳から、旅館のコンサルティングをやってきました。
その道30年の、ベテランと言っていいでしょう。
その私が断言するのだから、皆さんは、そう、思っていいんです。

これから外部の私が見た「藤井荘」の、15の自慢話をしましょう。

まず…

☆「香りのお迎え」
  藤井荘のお迎えは「香」から始まります。
  お香は、京都「松栄堂」特注品、藤井荘オリジナル「藤がさね」です。


☆「お玄関で、女将がお迎えします」
  創業以来代々の女将が守り続ける宿の心、女将が、お玄関で全てのお客様をお迎えします。お食事  処「東兵衛茶屋」でも、ご挨拶させて戴きます。でもごめんなさい。おくつろぎの空間、お部屋に  は、お邪魔しません。


☆「心地良い響きとライブの風」
  藤井荘は30年以上前から、お琴の音で、お客様をお迎えします。
  箏曲の演奏は、生田流・牛越社中の師匠、毎日ズッート生演奏。
  ライヴの風が、お客様を優しく包みます。


☆「少しの間、お抹茶を一服」
  深山幽谷~四季折々の圧倒的景色に、思わず足を止める、藤井荘自慢のロビーラウンジ「山の茶   屋」40年前から従業員が心をこめた、影立ての抹茶サービス、少しの間お抹茶でお寛ぎくださ   い。


☆「お部屋のお茶も、信州長野産」
  客室にご用意したお茶2種類、
  緑茶は信州産の「木曾茶」、そして、当然信州自慢の「そば茶」、お楽しみください。


☆「浴衣にも命があります」
  客室の「浴衣」、お客様のサイズに合わせ2着、ご用意しました。
  清潔感へのこだわりと、柔らかな肌ざわりをご提供したいため、
  4人の藤井荘ランドリースタッフが、毎日お洗濯させていただいております。


☆「どうぞお持ち帰りください…湯上り足袋~たびのとも」
  裸足で歩く機会が多い館内、どうしても足元が寒くなります。
  湯上り後、裸足でスリッパは、履き慣れない…そんなお客様に是非ご利用いただきたい、
  藤井荘の湯上り足袋を、よろしければお持ち帰りくださいませ。


☆「私のスリッパが分からない」
  お風呂でお客様が集中した時、私の履いていたスリッパが分からない…
  そんなお客様のご要望にお答えし、スリッパ用のシールとマジックを備え、ご自分のお名前を記入  できるようにいたしました。これで間違いなく、一安心ですね。


☆「嫌なものです、静電気」
  乾燥と静電気を防ぐため、各お部屋にはもちろんですが、館内、至る所に加湿器をご用意いたしま  した。小さな館内ですが11月から4月上旬は、お部屋とは別に、13台の加湿器がフル稼働して  おります。


☆「自然との調和~鳳山亭」
  吉野杉を惜しげなく使った数寄屋造りの建物、眼下には松川渓谷の自然美が広がる…鳳山亭は自然  との調和の世界、月見の縁台で、ハーブティをご賞味ください。


☆「お昼寝も、お楽しみの一つです」
  ご用命ください。長布団にイグサの枕、夏であればタオルケットをご用意します。お昼寝も藤井荘  の楽しみの一つです。


☆「全て手づくり、これが藤井荘のお料理の基本です」
  藤井荘のお料理は全て、手づくり、何日も、何時間も前から、準備したお料理の数々、多くを語ら  ない藤井荘の調理人魂が、きっとご賞味されると、分かると思います。


☆「日本文化の原点、四季の移ろいが藤井荘の心です」
  わぁ、きれいなお雛様…「山の茶屋」の仮床(展示スペース)は、毎月飾り物が違います。
  料亭入り口の掛け軸は、季節の移ろいにあわせ月3回、年間38回変わります。
  お料理は、基本献立は季節にあわせ年4回、部分的変化はほぼ毎月、変わっています。
  夜具布団、座布団、浴衣はもちろん、変わっているのお分かりになると思います。


☆「体に優しい…名物ぽんぽん鍋」
  藤井荘の自慢料理「ぽんぽん鍋」、季節の気候、料理の素材等にあわせ油を変えております。
  米油、大豆油、オリーブ油、サンフラワー(sunflowerヒマワリ油)、キャノーラ油(Canola菜  種油)、変えております。あなたのお好みは?
  季節に応じて、お楽しみください。


☆「バラエティ溢れる、お酒メニュー」
  日本酒(ブランド、地酒)、ワイン(小布施ワイナリー、輸入ブランド)、焼酎(麦、芋、米、そ  ば)、ビール(ブランド各種、地ビール)、盛りだくさんご用意してあります。お好みをご指名く  ださい。

実はこれが、「藤井荘」の15の自慢話なんです.

そして一番かなわないことは、
「藤井荘」では、これらを毎日、当たり前にやっていると言うことです。

ここまで、毎日必ずやっている旅館は、そう、ありません。
これは皆さん、大いに自慢していいんです。
これを毎日やってきた伝統が、「藤井荘」の格式と高品質を保っているんです。

先ず皆さん「藤井荘ファミリー」(=従業員)が、
この伝統を我が家の宝だ!と思ってください。

そして、何回も申し上げました。
「藤井荘」の素晴らしさ=「藤井荘」の強みを
今日から、皆さん一人ひとりの「自慢」にしてください。

強みとは優位特性です。
会社の弱みよりも強みに目を向け、
強みを伸ばすことです
欠点を直すよりも、強みに力を入れることで
自然に弱みが消えていきます。

小さな強みが自信になり、更に大きな成長につながります。
総て足元に宝物があると思ってください。



次に藤井荘ファミリーがやることは、
この強みに磨きをかけることです

毎日やってきた業務、
今まで慣れきっているサービス、
そして自分自身の動き方を
ちょっと視点を変えて見直すことです。


そうすると、今までこんなことをやっていたのか?という 疑問
こんな形に変えたらどうか?という 工夫
こんなこと要らないかな?という 節減
もっと、こんなことが必要かな?という 付加価値
等々、今まで見えなかったことが見えてくるようになります。

なら」は信頼であり、
「しか」は無条件の支援・支持なのです

  「藤井荘」ならではは…?
  「藤井荘」しかないものは…?


こういうものを更に更に、作っていく!
そしてこれを「藤井荘」の最大の付加価値商品にしていく。
それを、「気配り商品」と呼んでいます。

「気配り商品」とは…
巨額な資金調達もいらず、永遠たる修行経験もなく、
特殊な能力も持たずして、
最も旅館らしい商品をつくる、それが「気配り商品」というものです。

もちろん根底に、
お客様に対する「おもてなし」、「気遣い」の心がなければ
開発できない。
ここでいう「気配り商品」とは、その心を具現化することである。

ちょっとした些細なグッズ、小物、
彩り(いろどり)や
労り(いたわり)を
有形にしていく努力の積み重ねを指している。

やりようによっては
無限大にある。
先にやったほうが、勝ち!の世界です。 

それでは「気配り商品」
具体的に考えてみましょう…………

【後文略】

2010.9.8 長野県山田温泉「藤井荘」社員教育 講演より

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