詩『この海が』 | むすび

むすび

天巫泰之

目の前に広がるこの海が
愛で満たされていたのなら
海に身を沈めて愛を充電したい
だけど 哀しみの雨が降りやまぬ
ただ塩辛いだけの海

吹きすさび体を揺るがすこの風が
寂しさを吹きとばせられるのなら
寒くてもこの身をさらしていたい
だけど ため息が風と重なりあい
ただ心の穴をすり抜ける

大地を叩きつけてるこの雨が
乾いた心を湿らせてくれるのなら
どんなに濡れてもかまいはしない
だけど 汚れた空に染まったまま
ただ明日までが色あせてゆく

この海が
愛で満たされていたのなら
この風がこの雨が
愛で満たされていたのなら
笑顔であなたと思いを交わしあえたなら
どんなことよりも嬉しいだろう
きっと
幸せな気持ちになるだろう


(fin)

星谷光洋MUSIC Ω『マイラブ』