逆らう波のように | むすび

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天巫泰之

私は子供の頃から、私自身の人生がこれでいいのだと受け入れたことはありませんし、あの世に旅立ったあとも、死後の成功を信じて逝くでしょう。

なるようにしかならないと、自分と人生を受け入れる生き方もまた、素晴らしいもので、釈尊など、悟りを開かれた聖人たちは、そう観念して生き、そして逝ったのかもしれません。欲と執着心を離れた人は、すっとあの世に旅立ち、高い世界に逝けるのでしょう。

残念なことに? 私は聖人でなく、ひとりの人間です。

世界が滅ぶ運命があったとしても、そうならないように願い、祈ることが無駄であり、空しいことだとは思いません。
自分自身の人生において、自分の定めた目標に到達しないという運命があったとしても、その目標に到達するために、日々、努力し、試行錯誤している姿を私は愛します。最も尊い生き方だと思っています。決して、無駄でも空しいものではなく、そもそも叶えることよりも、自分の目標に向けて歩き続けていくことに価値があるのだと、私は信じています。

私がONE PIECEの魅力だと思っているところが、さまざまな島や大陸を訪れて、冒険をし、敵いそうもない相手と戦い、最後まで戦い抜いてくれるところです。
ですので、最終地点とされるラフテルや、謎の歴史、ONE PIECEの秘宝には興味がありません。ただ、イムさまだけはなぜか惹かれます。イムさまは悪の存在とは思えません。

それはともかく、麦わらの一味たちが、旅を終えたとき、おそらく感動よりも寂しさのほうが勝つような気がします。ですので、新たな旅に出るといったところでエンディングでよいのではないかと密かに思うのです。

人は誰でも、到達できぬうちに、ある程度の心残りを残して人生の旅を終えるものなのではないでしょうか。私の人生はこれで満足だと思って逝くことが、幸せな終わり方には思えないのです。途中で力尽きて逝く、そんな生き方が理想です。

               (了)