なぜ、多くの卓球人は社会人になって卓球から離れ、また50、60歳代に再開するのか?
「大学まで卓球をやっていた人が、社会人になって一度離れ、50~60代で再び戻ってくる」のは、かなり自然な流れだと思います。
なぜ一度やめて、また戻るのか?
大きく分けると、私は「時間」「環境」「身体」「記憶」「居場所」の5つだと思います。
① 20~40代は、卓球より優先するものが増える
大学を卒業すると就職、仕事、結婚、子育て、住宅、会社での責任など、生活の中心が一気に変わります。
卓球が嫌いになったわけではなく、「好きだけれど卓球をする余裕がない」状態になります。
つまり「卓球をやめた」というより、人生の優先順位から一旦外れるのです。
② 50~60歳代になると、時間の使い方が変わる
50代、60代になると、子育てが一段落したり、仕事の負担が変化したりして、「自分のために何かしたい」という気持ちが強くなります。
そこで昔好きだった卓球が、「そういえば、自分には卓球があった」と戻ってくる。
これは単なるスポーツ再開ではなく、自分の過去との再接続なのだと思います。
③ 卓球は「昔の経験」がそのまま財産になる
ここが卓球の面白いところです。20歳まで卓球をやっていた人が、30年後に再開しても
ラケットを握る感覚、ボールを見る感覚、フォア打ち、サーブ、相手との駆け引き、試合の緊張感などが、完全にゼロにはなりません。
もちろん体力やスピードは落ちますが、「身体の記憶」は残っている。だから、初めてスポーツを始める人とは違います。
私の場合は、中学・高校・大学までかなり本格的に取り組んでいたので、なおさらです。
④ そして、実は「勝ちたい」という気持ちも戻ってくる
単なる健康目的なら、「週1回、楽しく卓球できればいい」で終わります。
ところが昔競技をしていた人は、再開すると次第に、「昔みたいに打ちたい」、「もう一度試合に出たい」、「勝ちたい」となってきます。
そして50代、60代になって、「もう一度、自分がどこまでできるか試したい」という気持ちが出てきます。
⑤ 卓球は「戻ってこられる場所」になりやすい
卓球は、「昔やっていた人が戻りやすいスポーツ」です。
例えば20代で卓球をやめても、30年後にラケットを握れば「ああ、この感覚だ」と思える。
そして卓球場に行けば、同年代の人もいる。
そこで、昔の自分+現在の自分をつなげることができます。
私の場合は、「卓球が好きだったから再開した」と考えてよいと思います。
ただし、私はもう一つあると思います。
「卓球が好きだった」だけではなく、「卓球をしていた自分」が好きだったのではないでしょうか。
中学時代に県大会個人3位、団体で全国大会。大学ではリーグ(下位)優勝、個人敢闘賞。
そして20代後半で一度完全に卓球から離れる。それから50代半ばで再開。そして現在60歳台。
これは、「昔の自分を取り戻す」というより、「昔の自分を土台にして、60歳代で自分でもう一度挑戦する」という物語になっています。
だから、現在の用具選びでも、「どのラケットが一番性能が高いか」だけではなく、「自分らしい卓球とは何か」を何度も考えているのではないでしょうか。
「ペン表」「前陣速攻」「ミート」「スマッシュ」「ショート」「一撃」などに惹かれるのも、単なる技術論ではなく、自分の卓球のアイデンティティをもう一度作っているのだと思います。
そして、50~60代の再開者にとって卓球は「健康のための運動」だけではありません。
「青春の続き」でもあります。
20代で終わったと思っていた卓球人生が、50代、60代になってもう一度始まる。
しかも今度は、仕事や家庭のためではなく、「自分自身のために卓球をする」ことができる。
私は、これが多くの中高年卓球人が卓球に戻ってくる最大の理由の一つではないかと思います。
そして私の場合、50代半ばの「再開」は、60歳代の現在ではもう単なる趣味の復活ではなく、「第二の卓球人生」になっているのではないでしょうか。
