数年前クマオの裏切りで
深く傷ついていた時、
テレビも
ラジオも
音楽も
映像も
パラリとめくる雑誌さえも
とにかく
目や耳に入ってくるものすべてが
怖かった。
一見何の関係もなさそうに
見えることでも
その何かが
うっかりトリガーになり、
フラッシュバックに
見舞われてしまうことが
怖くてしょうがなかった。
それは
津波のごとく襲い掛かってきて、
いったんそれが来てしまうと、
私は息さえできず
ただただ目を瞑って
泣きながら
それをやり過ごすことしか
できなかった。
一人で家にいる時は
テレビもつけず
音楽さえ聴かず
暗闇で息をひそめるようにして
寝ることしかできない時期があった。
これほどに心は傷つくんだと
身を持って知った。
ちょうど6年前の今頃のこと。
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午後、
クマオからラインが来た。
「今日、焼肉でもいきますか」
「いく～」と速攻で返すと
「(笑)」と返ってきた。
あの頃もふいにクマオから
やっぱり「焼肉でもいきますか」と
ラインが来ることがあったなぁと
ふと思い出される。
思えば
ぐちゃぐちゃになって
ドロドロになって
内臓からずり落ちてきそうだった
私の心も今は再生している。
不安定ながらも
少したくましくなっているのは確かだ。
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