今日こそはクマオが父親と
いっしょにごはんを食べる日。
一品でも助けになるかと、
牛ごはんときゅうりの中華漬けを
ことづけた。
仕事終わりにスーパーに寄って
いろいろ食材を買い込んだ様子の
クマオ。
「何作るの?」と尋ねると
「ポークステーキ。
タレの分量を教えてほしい」と言う。
「ポークステーキなら
ちょうど厚切りの豚肉もあったし
言ってくれたら作ってあげたのに」
思わずそう言うと、
「ええねん、ええねん」と首を振る。
何だか水臭いなぁと思ったが、
いや違う、
クマオは自分で作って父親に
食べさせてあげたいんだと気づいた。
クマオは何だかんだ言って
とても両親思いなのだ。
しばらくすると
作ったポークステーキの写真が
送られてきた。
そしてついさっき、
今度はクマオと父親の写真が送られて
きた。
「飲ませ過ぎた~」とある。
二人並んで
クマオが父親の肩に手をかけて
自撮りしているその写真。
二人とも満面の笑みだ。
見ていると、
ほのぼのして
何だか泣けてきそうになった。
「ボクといっしょに飲むためのグラス」
クマオはそう言って
今年の父の日にペアグラスを買っていたが、
今晩ついにそれの出番だったんだろうな。
いい時間だったんだなぁと思うと
こっちまで幸せ気分になる。
結局案じていたことは
何も起きず、
また一つクリアできた気がした。
・・・・・・・・・・