JUKI HZL-F600JP 下糸が上がらないミシンをお預かりしました。
佐賀の洋裁教室の生徒さんで、職業用ミシンを買って頂いていたのでボタン穴かがり専用になっているようです。
スタート・ストップ、模様選択ボタン、針穴糸通しなどは良好です。 カマギアだけが悪くなっているようです。
ご使用から10数年経過しているようです。
印をいっぱい付けました(笑)
はずみ車の位置が上死点、下死点、糸切り終了後の位置など
結局、下死点以外は必要ありませんでした。
調整や失敗した時のため、これくらいは入れた方がいいでしょう。 整備後に印は消しました。
早速、カバーの取り外しです。
コードリールは取り外すのに面倒だったため、そのままです。
前面カバーは取り外すので後ろにも印を・・・・
カバーの置き場所がないので・・・床に・・・・
カマを抜くため、回転止めや送り歯を取り外します。
ギアが割れています。
このギアでカマを回転させるのですが、この状態だとガガガーー
と音がして下糸をすくわなかったり、針折れなどの症状がでます。
カマ軸を取り付けているユニットです。
ユニットを取り外すのにカマ軸受けや送り部分のネジなど、不要なところを緩めると後で調整に時間が掛かります・・・・
ユニットを取り外しました。
この状態にすると軸は止まっているところはなく、傾けると外れます。
糸切りカムです。
製造時、この位置は決まっているのでノギスを使い寸法を測っておきました。(初期型はこのカムも割れている場合があり、その時はお手上げです) 何とかなると思いますが・・・・
このカムは改良されていて、初期型は受け部分も交換が必要らしいです。
ギアを交換しました。
同時にカムの位置も元に戻しています。
バネ掛けをもっていないので、バネにミシン糸を括り付けて
四角の穴から出して取り付けです。
ユニットを取り付ける時に糸切り装置が飛び出しています。
これをこの状態に引っ込めて取り付けます。
カマを取り付けました。
下死点で剣先がだいたいこの位置です。
カマと針のタイミングです。
左に針を振り針穴の上をカマが通過するようにカマギアで調整します。
糸切りメスのカバーです。この下にメスがあり交換しました。
組み立てが終わり試し縫いはOKなのですが、糸切り時の音が大きく糸が短くなってしまいます・・・・
ここで時間を取られました(笑)
糸調子器を緩めるフックが・・・・ここまでスムーズにいっていたのでつい・・・・気が付くまで1時間くらい・・・・
分解後は模様調整が必要です。文字もきれいにぬえました。
ボタンホールも良好です・・・ボタンホール専用機ですので・・
このギア交換5~6時間掛かりました(笑)
交換したのは6台目くらいでしょうか・・・・
だいたい解ってきました。 数をこなせば半分くらいの時間で出来そうです。 メーカーの技術者なら1時間くらいでしょうかね
マニュアルがないので(販売店に出していません)寸法と印付けが必要なのでどうしても時間が掛かってしまいます。
この機種は、メルカリやヤフオクでも人気なので高く販売されています。 整備品(ギア交換品)を買わないと買った価格と同じくらいの修理代が掛かります。ご注意を・・・・
今回の修理代は、洋裁教室の生徒さんでもあり(出張費、部品代、修理代)総額15,000円でお受けしました。
初期型や使い込んだミシンなら、もう少し部品が増えるので高くなると思います。
今日もマニアックなミシンの修理ブログを見て頂き、ありがとうございました。
このギア交換修理は難易度の高い修理です。
ご自分での修理はしない方がいいでしょう。
また、いろいろ弄って出来なかった場合は、メーカーや販売店でも依頼を受けない場合が多いと思います。 ご注意を・・・