ゴッホが歩いた道をたどって | 海外旅行記録 ✈️ ⋆꙳

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38/196カ国 ✦ ˎˊ˗
まだまだ行きたい国がいーーっぱい!



ポスト印象派の代表的画家、
フィンセント・ファン・ゴッホ
37歳の若さで、この世を去ってしまった。

壮絶過ぎると言われるゴッホの人生。
たくさんの作品を残しているのに、生きている間に売れた絵は、たった1枚しかなかった。


数多くの恋もしたようだけど、失恋を繰り返し生涯独身だった。
相思相愛になっても、彼女の両親に猛反対され、彼女は毒を飲み、死んでしまったり、更に好きになった女性に、求婚するも応えて貰えなかったり…。
更に性病をうつされ苦しんだ事も。

仕事も失恋が原因で辞めてしまったり、更に就職する度に、客や上司と衝突し辞めさせられたり…




そんなゴッホが働く事をやめ、画家を目指し絵の勉強を始めたのは、26歳の時だった。


そして、ゴッホが35歳の頃、有名な「耳切り事件」が起こる。

これは、ゴッホが自分の耳を切り、その耳を娼婦に送り付けると言う奇行な行動を起こした事件。


事の発端は、アルルでゴーギャンと共同生活を送る事から始まる。

ゴッホ同様、ポスト印象派の代表的画家。
ポール・ゴーギャン

当時ゴッホは、ゴーギャンを崇拝していて、アルルで共に暮らせるようになった事にとても喜び、ゴーギャンに絵を送った。

それが「ひまわり」。


ゴッホは、何枚もひまわりを描き、ゴーギャンの寝室に飾った。

ゴーギャンもこの絵を気に入り、二人の共同生活は順調にスタートするも、2カ月程で、破綻してしまう。


ゴッホは「目の前にある物を見たままに描く」事しか出来なかったが、ゴーギャンは「想像力を駆使して描く」事が出来た。

ゴッホが崇拝していた所でもあったが、ゴーギャンに「想像力で絵を描いてみろ」と言われ、チャレンジするもゴッホにとって想像力で絵を描く事は、ものすごく苦痛を強いたと言う。


両者の個性があまりにも強く、画風や芸術観の違いから、意見の衝突も絶えなかった。

次第にゴーギャンはパリに戻る事を考え始める。
ゴッホは、ゴーギャンがアルルを去るのではないかと、不安に脅えながら過ごし、強い酒に逃げるようになってしまう。

そんな時、弟であるテオの婚約を知り、更に精神的ダメージを受けた


ゴッホの4歳下の弟
テオドルス・ファン・ゴッホ


ゴッホにとって、テオは金銭面でも精神面でも、なくてはならない存在だった。

幼い頃から父親と確執を生じていたゴッホ。
テオだけは、ゴッホの良き理解者であり、ゴッホの支えでもあった。金銭面でもゴッホを支援し、離れても生活費を送り続け、ゴーギャンと生活を共にしている間も、月々の家賃の他、交通費や画材など、テオが負担していた。


そんなテオの婚約は、生活費の問題は勿論、ゴッホは自分が見捨てられるのではないかと言う不安を覚えてしまう。

本来喜ぶべきである、弟の婚約を心から祝えない自分。


そんな時、ゴーギャンから、ゴッホが描いた「自画像の耳がおかしい」と指摘を受けたと言う。

その言葉に逆上し、ゴーギャンを後ろからカミソリで襲おうとするが、ゴーギャンに気付かれ失敗に終わる。

その後家へと戻り、自分の左耳の下部を切り取ってしまった。

更に止血した後、大きなベレー帽をかぶり、「これを大事に取っておいて欲しい」と言う言葉と共に、馴染みの娼婦に届る。

その翌朝、癲癇(てんかん)の発作を起こし、意識不明になり倒れていた所を警察に発見されて病院へと運ばれた


これが、ゴッホの耳切り事件。


ゴッホはその後も、病院を出たり入ったりする事になる。


テオは自分が結婚間近で幸福なだけに、兄ゴッホの事で胸を痛めていた。
それを察したゴッホは、「もう、私の事はいいから、妻に愛情を向けるべきだ。」と言う手紙を送るも、やはり、強がりでしかなかった。
ゴッホは、その翌月また発作を起こしてしまう。

耳の怪我が治り、退院するも近所の人々から、「ゴッホは頭がおかしい、病院から出さないで欲しい」との要請があり、そのまま精神病院へ収容されてしまう。

この出来事も、ゴッホの精神状態を更に追い込む事になる。


退院後、結婚生活を送るテオに迷惑を掛ける訳にはいかないと、アルルから25㎞ほど、離れたサン・ミレの精神療養病院の門を自らくぐった。

サン・ミレの病室にはベッドが1つ、窓には鉄格子がはまっている。
ここで1年過ごす事にしたゴッホ。
そんな彼に、テオはアトリエ用として、庭の見える部屋を借りる。

しかし、テオの妻の妊娠を知り、テオを失う不安からか、再び発作を起こしてしまう。

病状が安定すると、アトリエでの絵の制作を許可されたが、発作が起こると、毒性の絵の具を食べたり、ランプの油を飲んでしまったりと、錯乱状態に陥り、アトリエに入る事を禁止されてしまった。


安定し始めるも、テオの妻の出産が近付くと、錯乱し絵の具を飲み込もうとするゴッホ。
この発作は1週間も続いた。

そうなると、流石に医者もゴッホから、絵の具を取り上げてしまう。

この頃ゴッホが発作の合間を縫い、残した作品として、「星月夜」等がある。

ゴッホにとって絵を描く事が、錯乱状態に陥らない為の、手段であり、苦しみから逃れられる救いでもあった。


遂に、テオの子どもが生まれると、心のよりどころである、テオを失う恐怖からか、発作を起こす回数も多くなってしまう。


しかし、テオはテオで兄を敬愛していた。

テオは生まれた我が子に、ゴッホの名前、「フィンセント」と名付けたと言う。
(フィンセント・ファン・ゴッホ)



ゴッホは、サン・ミレ病院から退院後、画家兼精神科医がいたこともあり、新たな療養として、パリの北西部へ向かった。


その途中、テオの家を訪ね、初めてテオの妻子に会う。

ゴッホはテオと共に涙を浮かべ赤ちゃんを見ていたと言う。


パリ北西部に移ってからは、発作も起こらず、2カ月の間に80以上もの絵を描き残した。

医者もゴッホの絵を気に入り、その暮らしは順調に見えた。

また、テオも家族を連れこの地を訪れた事もあり、その時ゴッホは、赤ちゃんを抱いて歩き、様々な物を見せて回った。


しかし、今度はテオが自宅にゴッホを招待した際、テオと妻が言い争っているのを見てしまう。

テオはゴッホだけではなく、母親にも仕送りをしていた。
子どもも生まれ、テオ一家は苦しい生活を余儀なくされていた。

改めて自分がテオに迷惑を掛けている事を痛感したゴッホ。

自分のせいで、妻と言い争っていた。

自分の存在がテオを苦しめ、テオの重荷になっている。

テオは自分を厄介者と感じているのではないか…




パリ北西部に戻ったゴッホは、遂にピストルで自殺を図る。

しかし、急所を外し死ぬことは叶わなかった。
痛みに苦しんでいた所を発見され、医師が呼ばれる。
助けようとする医師に、「助かってしまえば、また銃でたなければならない…」
と、尚も死ぬことを望む。



弟テオの住所を聞くも、ゴッホは決して言わなかった。



医師はテオの職場に連絡し、どうにかテオと連絡を取る。
急いで駆け付けたテオに、ゴッホは「みんなの為にこうするのが1番いい…」
そうと言うと、2日間苦しんだ後、「漸く逝けそうだ…」と、テオに看取られ亡くなった。



ゴッホ(1890年7月29日死去)




思ったより、ゴッホの生涯が長くなった……(笑)

ゴッホの耳切り事件の話を聞いた時、どうしてそうなったか、その事件の全容を知りたくなって…(;´_ゝ`)

少しでも、ゴッホを知ると、作品もまた違う観点から見えるから不思議。




この場所は、今は公園となっているが、ゴッホが描いた「夏の庭園」のモデルとなった場所。


ゴッホの銅像には耳がない。


これは、耳切り事件の後、ゴッホが描いた。自画像。

包帯が痛々しい…


この公園は時期が良かったのか緑も多くて、のんびり出来そうな公園だった。(≧∪≦*)

これから、ゴッホが描いた絵の跡地を見て回る。ヽ(*`・▽・´)ノ




ゴッホが亡くなり、その後。

パリ北西部で、亡くなったゴッホ。
亡くなったのは真夏の夜中だった。

ポケットの中には、テオに宛てた手紙が入っていたと言う。

精神的にも金銭的でも、ずっとテオを頼っていたゴッホ。
テオは敬愛する兄が亡くなってしまった事に、酷く悲しみ、自分が兄を不安にさせてしまった、という自責の念にかられる。

テオは、母親に手紙を出すが、その手紙にはゴッホが亡くなった悲しみが綴られていた。


その後、テオは自宅で兄ゴッホの個展を開くが、その翌日錯乱し精神病院に入院。

ゴッホの死から僅か半年後、病院で息を引き取った。

元々体が弱く、病弱で喘息を患っていたテオ。兄ゴッホの死をきっかけに急激に体調が悪化し、衰弱死してしまった。

ゴッホが亡くなった半年後、後を追うように34歳の若さでこの世を去った。


テオ(1891年1月25日死去)



上記した他にもゴッホの生涯で、様々な事が言われている。


耳切り事件の犯人は、実はゴーギャンだった。
ゴッホは自殺ではなく、テオ(もしくはテオの妻)に殺された。
テオの自殺を庇い撃たれた。


本当の事は誰も判らない。

怒濤の人生を生き、たくさんの絵を残したゴッホ。
その多くの絵は、たくさんの人々に愛されている。


ゴッホがゴーギャンの部屋に「ひまわり」を描き、飾ったのは、その部屋にテオが泊まるかもしれないからだった。



そして、今、ゴッホの墓の隣には、弟のテオが眠っている。



パリ北西部に眠っていた、ゴッホの墓の隣に、テオの墓を移葬させたらしい。


テオの妻の手によって……