天門の試練  15 | シンイ二次小説でんべのブログ

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対峙する総大将チェ・ヨンと
キム・ウジョン。

その間でもその回りでは
愛馬が寝起きの兵士らを蹴散らし
チュンソク、トクマン、テマンらは
剣を抜き兵士らと対峙する
歯向かう者には容赦はしない。


「三千に勝てる筈がない。
諦めて奴隷となれ、命乞い
するならば助けてしんぜよう
高麗軍総大将チェ・ヨンを
奴隷として元に連れ帰ったなら
皇帝もお喜びの筈、儂の立身出世は
確約されたも同然楽しみである」


「俺の仲間は強い。
そなたの臣下はどうであろう
見てみろ、息も上がってはおらぬぞ
三千、否五千でも勝てるのでは
ないか」


ウジョンが目をやれば
チュンソクは剣を抜き歯向かう者は
バッサバッサと斬り捨てている
トクマンはなが槍で近付く者を
ひとつきしている。
テマンは小さい身体を生かし
相手の頭上から手に持つ小刀で
首をひとつきしていた。


「まったく、役にもたたぬ奴らだ。
チェ・ヨン!来い!」


ウジョンはヨンに剣先を向け
威勢のよい声を張り上げる。
キィ~ンと剣と剣がぶつかる音
にらみ合う眼と眼。
だがヨンは獣を狩る眼であり
眼光鋭く、ウジョンが一瞬するんだ
隙を見逃す事なく、鬼剣で
ウジョンの剣を払いのけ右肩から
鎖骨にかけて斬る。
せめてもの武士の情けで
苦しまぬように一気にいく。
ウジョンの頭部がコロコロと
転がり、勝負は付いたようだ。


だが、主なき軍は手の施しようも
なく予測不可能な動きを見せる。

奇声をあげ刃を向ける者が
続出する。武功を上げれば
出世は間違いなしであり
手土産にチェ・ヨンの首を
差し出せば皇帝はさぞかし大喜び
であろうと。


その輪が二重三重にもなりヨンを
取り囲む。
そんな時ヨンの鬼剣がカタカタ鳴った
昔のように手が震えている訳では
ない。


「ん?どうした?」

日が開け始めたその頃
取り囲まれた敵兵士の奥より
現れた男、バッタバッタと敵兵士
斬り捨てていた。
その姿着ている衣が違うだけで
まさしくチェ・ヨン。


「大護軍!説明は後回しだ
助太刀に参った。雷功で
一気に片を付ける、良いな!」


「・・・!!あの折の俺?」


「今は考えるな!行くぞ!」


ウンスの世で生きるヨンは
スーツ姿、片や高麗のヨンは
麒麟の紋様も凛々しい甲冑姿
その二人が背を合わせ敵と対峙する
互いに丹田に気を集め手をかざすと
雷功がドドーンっと炸裂する。

逃げる隙も与えず一斉にぶっ飛び
その姿は一瞬で消えた。


その音に怯んだ者らは逃げ出す。


「鬼神が二人になった!化け物だ!
勝てる筈がない、逃げるぞ~」

その声にチュンソク、トクマン、
テマンが目を向けると
朝焼けに照らされる大護軍が二人。


「へっ?えぇ~~!!隊長、これは
どうした事でしょう?
俺、もう死にました?」


「大護軍が二人居る?
俺も死んだのか?」


トクマンがすっ頓狂な声をあげると
テマンが釣られてそれに答える。
ウダルチの回りの敵兵士の姿は
とっくに消えていた。


恐る恐るチュンソクが甲冑姿の
ヨンに声を掛ける。


「大、大護軍?これはいったい」


「チュンソク?俺にも分からぬ
とにもかくにも戦は勝敗が付いた
勝どきをあげよ。そして骸は
いつも通り埋葬せよ」


「はっ!」


「して、、あの折りの俺か?」


「話そう、ひとまず腰掛けぬか?
鍛練不足で息切れが酷い」


後始末を禁軍に丸投げし
ウダルチは二人の大護軍に釘付けだ
石を運び、「お使いください」と
言って己らもその二人の前に
腰をおろす。


「クックッ、皆変わらぬな。
俺はチェ・ヨン、時代が違うがな
斬首されるその時長い間待った
俺のウンスが現れ、今は無事に
ウンスの世で暮らしておる。
なんだかんだと大変ではあったがな。
でだ、今日ウンスのご両親に
挨拶に向かう朝、刀掛けに飾って
あった鬼剣が鳴ったのだ。
カタカタとうるさい位にな
で、俺は悟ったのだ、魂の片割れと
して生きているのだと
ウンスもそうだ、互いのウンスも
魂の片割れ、どちらかが
危うい折りには知らせてくれるのだと。
この鬼剣は俺が斬首されようとした
折り、そばにおいてあった物。
これもまた俺の魂故、戦を知らせて
くれたのだろう。天門を通った折り
俺を見たであろう?」


「俺だと直感した認識はあっが
まさかこうして向かい合うことに
なろうとはおもわなんだ故
戸惑っておる」


「であろうな。
今の俺はそなたより若い故
戸惑いも無理はない」


端に座るウダルチは頭の中に???
が敷き詰められ互いに顔を
見合せ首を傾げている。
言っている事はちんぷんかんぷん。
だが、目の前に大護軍が二人いる
それだけは事実なのだ。


「お主のウンスも無茶をするな。
戦場に向け駆けていたのだが
俺のウンスが捕まえ王宮に連れ
帰っている筈。仕置きをせねば
なるまい」


「あんっ?ウンスがか?」


「そうだ。さて、天門が閉じる前に
俺も行かねばならぬが
ウダルチだけでもともに参らぬか?
王宮に繋がる筈だ」


「チュンソク!」


「はっ!、禁軍隊長に伝えます」


そしてもうひとつ丸々眼で
こちらに熱視線を向ける一頭の
存在も互いのヨンは忘れては
いない。「「チュホン!戻るぞ」」

その声に嬉しそうに前肢を高く上げ
駆け寄るチュホンであった。



・・・・・

皆様こんにちは。

ウンスの話はまた次回に描きますね
無事に戦も終わりウダルチは
恐る恐る天門をくぐりました。
高麗ヨンの歩幅に合わせ
遅れを取らぬように迷子にならぬ
ように、互いの衣も一部を
掴んで。幼子か!!笑笑