天門の試練  14 | シンイ二次小説でんべのブログ

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総勢二千の兵士を引き連れ
出立してから七日後の深夜
国境へとたどり着いた高麗軍
休む間もなく奇襲を仕掛ける事と
なった。

常に鍛練されてるウダルチや禁軍は
夜目がきく。敵兵士はぐっすり眠る
最中、テマンが猿のように
木から木へと飛び移りあっという間に
見張りを殺める。
成し遂げた合図である木々を
大きく揺らすテマン。


「幸いここは広野でございます
大護軍、策は?」


「正面突破!先頭は俺が行く。
右をチュンソク、左はトクマン
テマンは俺の真後ろに付け」


「歩兵はまだ着いてはおりませぬが
如何致しましょう?」


「募兵がほぼを占めておるな?
よい。我々だけで行く、禁軍に
伝令せよ。ウダルチのあとに
続けと」


「はっ!」


チュンソクにそう伝えると
ヨンは厳しい顔をさせ前を向く。
高麗軍二千に対し、奇襲とはいえ
敵兵士三千とやや部が悪い。

募兵は、少々腕に覚えのある農民
あるいは、平民の次男坊もしくは
その身内ばかりであり、武功を上げ
褒美をたんまりせしめるだけに
集まった人ばかりだ。


幼き頃より友であり、いまでは
禁軍隊長であるアンジェでも居れば
と、ヨンは思うが王様の近衛で
あるウダルチ総出となった為
王様の警護を自ら頼み今に至る。

闇夜に愛馬に跨がるヨンを先頭に
右にチュンソク、左にトクマンと
三角形となりと言いたい所だが
ヨンの愛馬チュホンの脚には
追い付く事が出来ず遅れを
取る形となっていたが
その駆け出す勇ましさは端から見ると
手を出せぬ威勢を放っていた。


パカパカっと蹄の音に目覚めた
元の兵士らは慌てふためく。


「無駄な殺生はせぬ。
総大将は誰だ!!」

 

「鬼神だ!!!」


誰かが大声で叫ぶ。

 

低いドスの効いた声では
奇襲に驚き逃げ惑う兵士には
届かぬとふんだヨンは
此度は大声を張り上げた。


「某、高麗軍総大将チェ・ヨン!
お前らの総大将と話がしたい!
無駄な殺生は好まぬ故、
早々にお出まし願いたい!」


「寝込みを襲うとは非道極まりない
儂が元総大将キム・ウジョン。
此度の戦、我が元に大義名分がある
徳興君殿は如何した!
皇帝の命により、徳興君殿の敵を
撃つ!元配下を無下にし
皇帝に逆らう国は滅ぶがよい!
我が兵士三千、今より都へ向け
進軍致す」


そう叫ぶとウジョンは剣を抜き
馬上のヨンに向け鞘を放り投げる。

その鞘を剣で叩き落とすと
ヨンは愛馬から颯爽と
飛び降りると愛馬の尻をポンっと
叩き、蹴散らせと指令を出す。
主の命には忠実な愛馬は
理解した!と言わんばかりに
前肢を高く上げヒヒ~ンと
威嚇し始める。


ヨンは鬼剣を抜きウジョンと対峙する。

・・・・・


チェ尚宮の朝は早い。
ヨンが出立した翌日の事
ウンスをひとり屋敷に残すのも
忍びなく、叔母であるチェ尚宮の私室
にて、共同生活が始まっていた。
ウンスがまだ夢の中にいる頃
日も開けぬ時刻には床を上げ
身支度を素早く済ませると
チェ尚宮は本日やるべき事を
頭の中で整理をしながら
一度振り返り、ウンスがむにゃむにゃ
と寝言を言ってる姿に癒され
戸口を静かに開く。


『叔母様・・・ごめんなさい』


ウンスは胸の内でそう呟くと
がばっと起き上がる。
そしてこちらも素早く着替え
チェ尚宮からいいくるめられた
武閣氏が警護に来るだろうと
予測をし、ウンスはその前にと
王宮を抜け出したのであった。


前もって薬医員であるトギの手引きに
より、馬が一頭裏門に用意されていた。
トギには懸命に身振り手振りで
伝え分かってもらえた。


「トギ!ありがとう、行ってくる
必ず戻ってくるから、心配しないで」


追い付くか微妙な所ではあっが
二千の歩兵の最後尾くらいなら
間に合うだろうとの思いで
一心不乱に駆けて行った。


・・・・・


「行かねばならぬ」


・・・・・

皆様こんにちは。

ウンス行ってしまった😵💧
無茶ばかりするんだから!
さて、最後の一行は誰だ?