天門の試練  16 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「あわわ、あわわ。大護軍!酔いそうです」


初めての天門をくぐる

ウダルチトクマンなどは辛抱など

皆無のように、風がぐるぐる回る天門に

弱音を吐く。

チュホンは楽しげにパッカパッカと

まるでスキップをしているように見える。


「酔うと思うなら目をつぶればよい。邪念を払わなければ、知らぬ地へ飛ばされかねないのだ。天門とはそんな所、よいな?」


「はいっ」


トクマンはぎゅっと眼を瞑り

隊長の鎧の紐を掴む。


『大護軍ともうひとりのチェ・ヨン殿

どちらの背も大きく、頼りなる背なれど

我が主は大護軍であり

この背にどこまでもついて行く』


先を並んで歩く二人のチェ・ヨン身丈も

同じで肩幅などもあたり前ではあるが

すべて同じであり

もしも時をさ迷うウンスのチェ・ヨンが

この地へ留まる事があれば最強の大国となり

元などの侵略にも臆する事なく

立ち向かう事ができる

なれどそれは無理な事だろうと

チュンソクは思う。


「風が変わり、もうじき出口となる筈」


「忝ない。ヨン殿?天界の衣が

血に染まっておる。

先ずは、兵舎に寄って俺の衣に

着替えてもらえまいか?互いのウンスが

悲しむのは好まぬ」


見れば確かに白いスーツのあちこちに

血のりがついている。

時をさ迷うウンスが悲しむのは

避けねばならぬと

ウンスの世で暮らすヨンは黙って頷く。

大護軍らが無事に天門をくぐりぬけ

二人のヨンは兵舎へと向かい

大護軍の執務室で予備においてあった

濃紺の衣を差し出す。

「着替えて欲しい。懐かしいのではないか?」


「まことに懐かしい。ウンスの世では

着るのは皆無に等しい故、クリーニングと

やらに出し大切にしまってあるのだ。

ウンスもこの姿を見れば

喜び涙するのではないか?」


簡単な湯浴みを済ませ

身も心も汚れをおとし王様へと戦報告へと

向かう。

回路を闊歩する姿を目にする者は

 あたり前ではあるが

二度見をし驚き隠せないでいた。

それは王様も同じであった。


「な、なんと!こちらがウンス殿の

チェ・ヨン殿か話しは

ウンス殿から聞いてはいたが

まるで生き写しよのぅ~~。

あたり前といやあたり前ではあるがでだ?

戦は勝利したのは文が届いたゆえ

承知しておるが力を合わせての事で

構わないのだな?」


「はっ!、ウンス殿が天門を操り、

助太刀に参って下されたのでございます。

我が兵二千に対し元の兵士は三千

ヨン殿の助太刀なくば

今頃都は火の海となっていたやも

知れませぬ。・・・王様、

某を大護軍と呼び 

某のウンスを医仙とお呼びくださいますよう

お願い申し上げます。

天界より参られたお二人は

そのままの名でお呼び下さいますよう

お願い申し上げます」


「おぉ、そうじゃのぅややこしいからの

戦も勝利そしてこうして時が違う

ヨン殿やウンス殿とめぐり逢えたのも

吉兆の兆しと余はとらえておる

誠にめでたい。二人ともご苦労であった!。

でじゃ、医仙殿は王妃とともにおるが

王宮を脱げ出し戦場へと向かいし折り

ウンス殿に捕まったと耳にしておるが

その折り、王宮は騒動であったのだ。

部屋と言う部屋をすべて調べ

余も王妃も手を貸したのだぞ。

大護軍が仕置きをせねばなるまい?」


「はっ!・・・屋敷に閉じ込め

一歩も外には出しませぬ。

真に申し訳ありませぬ」


「クックッ、戯れじゃ。

医仙殿がおらぬばこの地の医療は

成り行かぬ故、仕置きはなしじゃ。

内官?王妃を呼びなさい」


「すでに、戸口の外に控えております。

お呼び致します」


アン・ドチ内官が静かに戸口を開けると

王妃様を先頭に医仙、ウンスチェ尚宮と

姿を見せる。


「なんとまぁ、双子でございますが?王様?」


「そうじゃのぅ、まるで双子の様に

見えるのぅ」


同じ濃紺の衣、髪型もほぼ同じ

もちろんではあるが跪く姿も同じ、

誰が見ても双子と思う筈だ。


「医仙!?王宮を抜け出したとの事真か?」


大護軍が王様に顔を向けたまま

許嫁であるウンスに声を掛ける。

不機嫌極まりない態度である。


『こわっ・・・怒ってるんだろうなぁ

あんな態度見たことないもの。

でも嘘はいけないから・・・』


「はい。でも天界のウンスが

助けに来てくれてたどり着けませんでした。

ごめんなさい」


ウンスはそう王様、王妃様に向かい

頭を下げる。


「大護軍?俺はそのような態度は

しなかったぞ。

俺はウンスが一番なんだが

大護軍は違うのか?天門が与えた試練

なのだから

すべてを受け入れるべきではないのか

そのような態度を

このまま取り続けるならば、許嫁殿は

俺が預りご両親にお返しするが?」


「・・・!!、力ずくでも阻止する故

、馬鹿な事はしないで頂きたい」


「大護軍、意地を張るでない。

そなたの一番は医仙殿であろう?

これから婚儀を迎えると言うに

仲良く致さぬば、婚儀の許しは取り消しに

致そうかのぅ王妃よ」


「はい、妾も同じ考えを

致しましてございます。義姉様が

泣くような思いはさせとうございませぬ。

なれども王宮を抜け出した事は

大護軍に仕置きをお頼みしますぞ

あのようにうろたえるチェ尚宮は

目にした事はないゆえ・・・・・・

・・・・・・・」


王妃様はウンスに解いて聴かせるように、

チェ尚宮の有り様を聴かせていた。

警護に向かった武閣氏から

出仕する刻限でも起きてこず

中をあらためた所、もぬけの殻と

報告を受けたチェ尚宮は己のミスと

自身を攻めあちこち探しても

見つからず職を辞するとまで

王妃様に願い出た程であったのだ。


「叔母様・・・心配掛けてすみませんでした。

この人の未来が変わっていたらと思うと

いてもたってもいられず飛び出していました

クスン、クスン」


「泣くなでない。すまなかった」


ヨンはそう呟くとウンスをしっかり

その胸に抱きしめその頭をポンポンと

撫でていた。


それから天界の二人はウンスに

ゴニョゴニョと耳うちし天界へと

帰って行った。


「もちろん留まるつもりはないか?」との

王様の御言葉に丁寧に断り、

「また危険が迫る時には

助太刀に参上致します」との

言葉を残して。


・・・・・

皆様こんにちは。


きりどころが分からず長くなりましたが

ご勘弁下さいませ。

ゴニョゴニョと耳うちした内容は

後々分かるはずです。