天門の試練  9 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ヨンの策を耳にし
王妃様は大きな瞳をより大きく見開き
驚きを露にしていた。

「ほんに、大事にはなりませぬか?
妾は、案じてなりませぬ」

「うむ、余も案じておるのだが
大護軍がすべてうまくいくと
申しておるゆえ任せてみては
どうかの?さて、余も王妃も
支度をせねばなるまい」

一抹の不安は有るものの
王様、王妃様は共に
支度に取りかかる。

その翌日早朝王宮は大騒ぎと
なっていたのだ。
王様、王妃様のお姿が何処にも
ないのである。
拝謁の刻限になろうとも王様は
お出ましになられず、重臣らは
お二人の身を案ずる者
元よりの書簡を気にし身をお隠し
なされたと口にする者、様々で
あった。

「大護軍殿、王様、王妃様は
如何されたのだ?
拝謁にもお出ましになられず
急な病ではあるまいな?
あるいは書簡を気になされ
御身を自らお隠しなされたか
どちらと取ればよいのだ。
事と次第によっては徳興君様を
すぐに御呼びし、玉座にお座り頂かねば
主不在では国が滅びますぞ」

「朴殿、某が存じ上げる王様や
王妃様は書簡を気になさるお方では
ございませぬ。ご安堵召されよ」

親元派と言うより元よりの間者
とも言われる、朴殿海率いる
重臣らは大護軍の話など耳を貸さず
ひそひそと話をすると
一斉にその場を後にする。
身分が左右するこの国では
大護軍であろうとも逆らう事は
なかなか出来ないのも事実である。
だがヨンは『掛かった』と
ヨンは口の端を上げ、残った重臣らを
ある場所に案内する。

「大護軍殿、王様はどちらに
おいでになられます?」

「・・・」

春を待つ時節であっても
王宮を抜け、裏山を登り
その山の頂にある建て家に
たどり着いた。
そこはその昔、代々続いた王様の
母君、大妃様が暮らしていたと
される屋敷である。
敷地は整備され、庭には
いくつも大木が植えられ手入れも
行き届き、新芽の蕾が春を待ち
開花するのを待っていた。

「大護軍殿、ここは確か
代々大妃様がおくらしあそばされたと
される屋敷ではございませぬか?
何故此方に?」

「詳しい話は後程
先ずは中へ参へ」

屋敷内は広々とし
陶磁器があちら此方に並べられ
重厚感を醸し出していた。

「遅~~い!王様も王妃様も
お待ちかねしていたんだから
・・・で、さくは上々だった?」

そこには王妃様の主治医兼お話相手と
してウンスの姿も見え
その向かいには王様、王妃様が
腰掛け笑みを浮かべていた。

「泣く子も黙る鬼神と言われる
大護軍も、医仙殿には敵わぬのぅ
愉快じゃ、のぅ王妃よ」

「ほんに義姉さまには誰も
かないませぬ。誰に対しても
物怖じしない人柄
妾も見習いたいものじゃ、ふふふ」

「全くお恥ずかしい限りで
ございますれば、無礼の段
お許し下さいますよう
この尚宮からもお願い申し上げる
次第にでございます」

そう言って王様、王妃様に
頭を垂れるチェ尚宮であるが
当のウンスは。

「だってですよ?私は
身分のない世から来たんですから
そう言われたって・・・」

「クック、チェ尚宮?
医仙殿の頬が破裂するのでは
ないか?無礼講で構わぬぞ
大護軍は余の友であり
その許嫁である医仙殿も
王妃の義姉であるからして
気遣い無用じゃ。てだ?
如何であった?」

「はっ!万事段取り通り
進むものと思いますれば
・・・・・・・・・」

ヨンは拝謁の刻限の折りの
出来事を王様に伝え
引き連れてきた重臣らにも
徳興君を表舞台に引きずり出し
親元派もろとも一気に片を付ける
旨を伝える。
無論、王様、王妃様の事は
他言無用と強く口止めすることも
忘れてはいない。

「王様、王妃様には
ご不便をお掛けし真に
忝なく恐悦至極に申し上げます」

「よい。職務もこちらで滞りなく
しておるゆえ気にやむことは
ないぞ」

「はっ!ウダルチ!?
怠りなく警護せよ。よいな!」

「はっ!命にかえましても
必ず御守り致します」

甲組み組長に昇進したトクマンが
背筋を正し、胸を張り応える。

「トクマン!!馬鹿者が!
何度も言っておろう!命を
容易く掛けるでないわ。
危うくなれば王様、王妃様を
御守りし、迷わず逃げよ。
よいな!」

「はっ!」

「ウンス、貴女はしばらく
王様、王妃とともに居て頂きたいと
思うておるのだ。あやつが此方に
出向くはず、顔を見たくはなかろう?
毒を操るあやつはもはや王族では
ないと俺は思うておる故
片を付ける、王様のお許しも
頂き、大義名分もできた故」

「分かったわ。でも怪我なんて
しないでね、ここで大人しく待って
いるから、でもトクマン君だけじゃ
頼りないから何かあったら
助けに来てくれるんでしょう?」

「無論、橋渡しの為テマンを残し
マンボの所の若い連中もすでに
屋根上にはおりましょう。
すべて終われば俺達の婚儀です」

ヨンはウンスにそう耳うちすると
王様、王妃様に一礼し
引き連れた重臣らとともに
山を下る。いよいよ玉座を狙う
徳興君もろとも親元派、元との
完全決別の戦、頭脳戦の始まりで
ある。


・・・・・

皆様こんにちは。

今週はこれ一話かもしれません。
職安行ったり、旦那の会社の
創立記念日があったりと
忙しくしておりましす。
ごめんなさい😅

またお付き合い下さいませね。