天門の試練  8 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ウンスは大護軍の許嫁として
典医寺に再び医仙として
お役目に没頭している。
日に何度も典医寺を訪れる
ヨンの気配も分からぬ程に。


「ゴ、ゴホン・・」


「ハ度目にございます、医仙殿?」


「えっ?」


侍医に促されウンスは振り返ると
ばつが悪そううに鼻の頭を
そっと撫でていた。



「もぅ~~ヨン?大丈夫だから
何度も言ってるでしょう?
この時代の医術は知らない事
ばかりなんだし、針なんて
したことないし、薬草の知識も
ないんだし、日々勉強なんだから
邪魔しないでよ」


ウンスはブツブツ小言を連ね
手に持つ薬草の効能を
侍医に説明を求めていた。
ウンスがこれ程までに
学ぶのには訳があった。
もう一人のウンスがヨンを
連れ去った事を気にしていたのだ。

歴史では七十数年は生きた
証が書物に残されていたが
歴史はきっと変わった筈
ならばいろんな知識を詰め込み
必ずや助けるとの強い思いから
ウンスを動かしていた。
そんな中、チュンソクが
訪れる。


「大護軍、王様がお呼びで
ございます」


「おっ、いまか」


「はっ、直ぐにと仰せに
ございます」


「ウンス?しばし抜ける。
あまり根を詰めると倒れて
しまうぞ。ゆるりと致せ」


「は~い。行ってらっしゃい」


・・・・・


「王様、お呼びにございますか?」


「彼の国が余を廃位するとの旨を
記した書簡を送り付けてきたのじゃ
余は無論応じるつもりはないが
応じなければ都を攻めると
脅しているのだ、余の為に民を
苦しめる事はできぬゆえ
どうしたものかと、大護軍ならば
如何するかと思うて呼んだのじゃ」


「恐れながら王様、王様を廃位し
誰を据えると申しておるので
ございましょう。よもや徳興君と
記されておったのでは
ありませぬか?」


「流石大護軍じゃ、書簡の中まで
お見通しとは・・・叔父は
唯一王家の血を引く者。
あの折りより元に身を寄せて
おるとは噂で聴いていたが
また叔父の名を耳にするとは
思いもよらなんだ」


「王様が民を思うお気持ち
某はしかと受け止めまして
ございます。新元派が
一枚噛んでおるに違いありませぬ
戦を仕掛けるならば大護軍の名に
掛け、某が立ちはだかるまで
王様が退位されることなどと
お考えにならぬようお願い申し上げる
次第でございます」


「うむ、頼もしい限りじゃが
真、王妃や民が苦しまぬかのぅ
そればかり案ずるのじゃ」


新元派を炙りだすのが
先決とヨンは王様にある秘策を
伝える。


「なんと!うまくいくか?」


「はっ!これで徳興君様も新元派も
一網打尽にし、王妃様や
民が苦しまぬかと思われます」


「相分かった。その策をすぐに
王妃に伝えねばならぬ。
ドチ内官?王妃の所に参る」


「はっ」


・・・・・


ウンスの世で暮らす二人は。


「すっかり仕事も板に付いたわね
身体は辛くない?」


「なんのこれしき、収入を得
父上と母上にいち早くご挨拶せぬば
俺の気がすみませぬ」


「うふふっ、また向こうの言葉を
使うんだから、今風に合わせて
くれないとアボジもオモ二も
驚くんだからね。話は変わるけど
天門抜けたら二人とも若返るなんて
驚きよ。魔法でも掛けられた気分だわ
でも若返ったおかげで私の失踪は
なくなったし
無事に美容整形外科医として
雑誌にも載る事ができて気分爽快よ
ヨンがマネージャーでいたから
こそだわ。感謝してます」


そうヨンとウンスは天門を抜けると
一気に若返ったのだ。
摩訶不思議な事が現実に起こり
二人があの会場で知り合う前の時に
戻っていた。ゆえにヨンが高麗から
ウンスを拐った事実もなく
一からやり直すと言う
事を始めていたのだが
ただ一つ問題は身分証明が
作れない問題があり、ヨンは
ウンスの凄腕マネージャーとして
影ながらウンスを支えていた。


「ヨンの頭と腕と度胸から
ヨンは警察とか、私と同じ医者とか
VIPを警護する仕事も恙無く
こなしていたんだろけど
身分証明がね~・・・ごめんね」


「ウンスが謝ることなどないのだ
これは天門が与えた試練の一つやも
知れぬ。若さを得、あれもこれも
与えては人生は張り合いがなかろう?
己の道は己で切り開く。
俺は柳美容整形外科のマネージャーで
不満はないが、ひとつ問題は、
父上様、母上様に
お会いした折りどうしたものかと
常日頃考えておる。
ウンスを養うだけの収入を得たとし
ても、ウンスが乗る車とやらも
俺には操る資格もなく情けない限り」


「そんな事私が運転すれば済む事だし
部屋もこうして前の部屋を使えたし
・・・でも子供が出来た時
あ!そうだ!こんな時はアボジの
親友にピョンホサ(弁護士)が
いたはずよ、ヨン、せっかく美容が
休館日だし会いに行って
みない?仕事柄口は固いはずだし
・・・そうと決まればヨン!
早く着替えて行くわよ」


彼の地と違い、月日が立つのが早いのか
二人が共に暮らすようになって
一年が過ぎるようとしていた。
無理してローンを組みマンションを
購入していたおかげで誰にも
怪しまれる事なく今に至っては
いたが、ウンスの両親に
いまだ挨拶には出向けないでいたのだ。
過去はなくなったはずだが
ヨンは気がかりで仕方なかったが
どうしても戸籍がないのが
ヨンの行動を止めていたのも事実で
あった。

美容整形外科医院を開くにあたり
ビルのワンフロワーを借り
地道に活動してきたおかげで
クチコミが功をそうし今に至るが
田舎の両親にばれるのも時間の問題
と、ヨンもウンスも思っていたに
違いない。

・・・・・


身分証明がなければ
どこのどいつとなりますよね?
どうして作るのか?
天界の二人に誰か策を?笑


高麗のヨンの策はな~んだ?

ズバリ当たりました方には
本編にオリジナルキャラクターとして
ご登場頂くかも?