天門の試練  6 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「な、何?ハリケーン?
いや違うわ。轟々と渦巻く激しい風
覚えがあるわ、天門が、そうよ天門が
開いたんだわ。でもこんなあれ寺の
脇道に?」


ウンスは馬の休息と自身の休息の為
人目に付かないあれ寺を選んでいた。
女一人、良からぬ輩もここなら
大丈夫とふんだようだ。


「天門さん?私を呼んでいるの?
・・・お願い連れて行かないで
ヨンに逢いたいの確かめなくちゃ
ならない事があるの。
この通り頭を下げるわ。だから
お願い。ヨンに奥さんが本当に
居るんだったら、天界へ、
私の世へ連れて行っても構わないから
お願い・・・」


「しからば参ろう」


「えっ?!天門が口聞いた?」

頭を下げていたウンスが
その声に驚き顔をあげると
愛しい人が笑みを浮かべ
轟々と渦巻く激しい風から
ウンスを護るように佇んでいた。


「ヨン!!!」


「話は後回しにするが俺の手を
離すでないぞ。イムジャ?」


「う、うん。分かったわ」

差し出され手に、ウンスは手を重ね
ぎゅっと握り返し、歩行を合わせ
天門を通る。『良かった。
やはり生きていてくれた、でも
・・・ヨンには王様も
認めた、正妻がいるの?
私はようなし?』などと考える
うちに涙がほろりと頬を伝う。
ウンスの気の乱れに
一番敏感なヨンは、さっと
横抱きに抱える。
「暴れぬよう」と一言掛けるヨン。
その時だったあの脇道の方角から
「ウンス~~!幸せになるのよ~~
私もやっと巡り逢えたから
安心して~~、この人と私の世へ
出発します。アボジ、オモニの事は
私に任せて」確かにそう聞こえた。
シルエットこそはっきりとは
見えないが、ユウンスの隣には
大柄な人影はぼんやり見え隠れ
している。


「えっ?また天門が口開いた?
ヨン?聞こえたでしょう?」


「あぁ、だがあの人影は後ろ手に
縛られていたように見えたが
・・・明かりが見える。
裏山に戻れたようだぞ」


声の主に気を取られ
危うく時をさ迷うかと
思われたが、無事に
王宮、裏山へとたどり着いた。


「皆が待っておる故、俺と共に
王宮へ」


「・・・良いの?」


ヨンは口の端を上げると
ウンスを横抱きにしたまま
内功のひとつである軽功を身に纏い
飛ぶように王宮までウンスを運ぶ。

一方こちらの二人は。

「まったく、やはりあの時
あの男を助けたからごめんなさい
ヨン?」


「生きてイムジャを待つ。
そう思うておったかこの歳まで
お戻りになられず
天界で、幸せになっておられる
ならば、俺は魂となり
イムジャを見守ると思い
李成桂の命を受け入れたのだ」


「でもヨンは悪い事してないわ。
いままで高麗を懸命に守ってきたのに
ひどい仕打ち、クスン」


「泣くでない。
今、こうしてお戻り下された故
なれど、まこと俺も天界へ
行っても良いものなのだろうか
・・・?」


「天門がヨンを通してくれたんだから
受け入れたって証よ。
大丈夫、きっとうまくいくわ
長いこと待たせたみたいで
本当にごめんなさい。
この脇道を見つける事ができたのは
若かりし頃のヨンとウンスの
おかげ。あの二人にも
幸せになって欲しい。
私達は私達で幸せになりましょう」


ヨンは時代が変わり
朝鮮王朝となった彼の地で
李成桂から斬首の命を受け入れ
捕縛され、今その時と言う時
ウンスが現れ、天門に無理やり
引き込んだであった。
聴取らが驚き唖然としていたのが
功を奏し、ウンス一人でも
難なくヨンを拐う事ができたので
あった。
天門の脇道を運良く見つけなければ
ウンスは生涯、時をさ迷う旅人と
なり、ヨンに巡り逢える事も
できなかった筈なのだ。
ウンスは後ろ手に縛られた
縄をほどきながら色々な
思いが交差し、涙が幾筋も
頬を伝う。
やっとの思いで縄が解かれると
ヨンはくるりと向きを返え
ウンスを抱きしめる。


「お待ちしておりました。
ずっと、ずっと。
おなご一人、辛い思いを
したのでしょう?
よくぞ、よくぞ俺を見つけて
下さいました。
礼を申し上げます・・・
もう離しませぬ」


「うん、離さないで。
ヨン?お願いあるの
あの二人みたいにお姫様抱っこ
して欲しいなぁ~?」


「クックッ。相分かった。
しっかり掴まっていて下され
天門の風に振り落とされぬよう」


未だに、衰えを知らない
その逞しい腕で軽々と
ウンスを持ち上げ、すいと
横抱きにし、天界へと進む
天門を闊歩するヨン。
暫くすると、眩しいばかりの
灯りが見え始める。


「あっ、着いたかも?
良かった。無事にたどり着いた
みたいよ・・・さぁ忙しく
なるわ。先ずは住む所はあるとして
着替えを用意しなきゃね」


美容外科を開業するべく
奔走していた時
ウンスが住んでいたマンションが
そのまま残してあった。
時をさ迷うユウンスとなり
何度か訪れていた自分自身の世
いずれヨンも共にと
マンションの整理はすでに
済んでいた。


「ヨン?このまま行くの?
恥ずかしくない?下ろして
くれても良いのに」


「否、離さね。離したくないのだ
所でウンスゃ、今は朝方か?
彼の地では夕闇に包まれていた筈
だが、あの折りと変わらぬ
天界は摩訶不思議な所なのじゃな」


ヨンの信条は生涯正面突破。
なれぬ地であろうと
その思いはいつまでも変わらぬ
ましてや待ち焦がれたウンスと
二人なら、どんな試練も
乗り越えて見せると強い思いを
胸に抱き、ヨンはキリリと
前を見据えウンスのナビ通りの
道を右に左に闊歩するので
あった。


・・・・・

皆様こんにちは。

時をさ迷うユウンスがヨンを
見つけたのは李成桂の時代
朝鮮王朝でした。
きっと天門の神様が危ういヨンを
救って下されたのだと思います。
天界で幸せに暮らして
貰いましょうね。
天界での暮らしもたまには
覗いて邪魔してやりますか!笑。


・・・・・

私事ですが
1月いっぱいで派遣を止め
やっと昨日離職票が届きました。
遅すぎ!!