天門の試練  5 | シンイ二次小説でんべのブログ

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天門の試練 5

康安殿を飛び出したヨンを
呼び止めたチェ尚宮
先回りしすでに厩舎の前で
仁王立ちしていた。


「は、早い、俺は先を急ぐ。
叔母上?話は後回しにしてくれ」


「馬鹿者!むやみに走り回って
どうするつもりじゃ!
スリバンに任せよ。
あの子らはあちこちと隠密が
おるゆえ、直に探しだすであろうに
まったくお前と言う奴は・・・。
すでに手配は済ませたゆえ
お前は王宮におれ、あちらの
ウンスの話を聴いてやれ。
おなご一人、時をさ迷うなど
不憫であろうが!」


「・・・」


「焦るな。私はあのウンスのお前と
無事に巡り逢える事を切に
望んでおるのだが、今のお前に
できる事は話を聴いてやる事しか
ないのではないのか?」


「相分かった。。。
なれど、スリバンから伝令が
来たのだら知らせてくれ」


「当たりまえじゃ。
すぐに行えを探すであろう」


「えぇ、王妃様?
私が知るチェ・ヨンは
未だに探せないでいます
その生死も定かではないんです。
ですから、私が知るチェ・ヨンを
見つけだし、私の世に連れて
行きたいと考えています」


「そうであったか・・・辛く
苦しい思いをしておるのだな
妾にできる事はないか?
力になりたいと思うておる」


「ありがとうございます。
でも定かではないのですが
私の道を通った時、脇道を
見つけたんですよ、でもウンスが
気になり先にこちらへ来たんですが
万事事が上手く運びウンスと
チェヨンが再会出来たら、そちらの
脇道を通って見ようと思っています
あの脇道は突然現れましたから
私を再会へと天門が導いてくれるかも
知れないと微かに期待をして
いるんです」


はにかみながらも
時をさ迷うユ・ウンスは頬染め
笑みを浮かべていた。


「チェ・ヨンが居る世には
余もおるのかのぅ、ちいと気になるの
・・・。ちいと尋ねても構わぬか?
そうかすまぬな。
何故医員をしておらぬのだ?
それが解せぬ故、、、。
人の腹を裂き、見事に病の源を
取り除き、生還させてくれた神医で
あるのは間違いと思うが」


時をさ迷うユウンスが頷くと
王様がこう問われ、ユウンスが
口を開く。


「わたしは医員を辞めた訳じゃ
ないんですが、願掛けしたんです
ヨンが見つかるまで、人の治療は
しないと・・・。それを約束したら
天門を自由に操れるようになって
・・・まぁ、誰に約束したわけでも
なく、夜空に向かい叫んだ
だけなんですがね」


ユウンスが康安殿で王様、王妃様と
膝を交え話をしているとき
ヨンと叔母の二人は戸口で聴いて
いたのだが、おもむろに戸口を
開けると一礼し、こちらのウンスに
問う。


「ユ・ウンス殿?
貴女が患者を治療せぬ故
時は巡っておるとは思わぬか
貴女が医員を捨てずに
我が道を貫いていたなら
時が繰返す事はないのでは
なかろうか?
時は違うやも知れぬが
貴女は貴女のチェ・ヨンと
再び逢える事を切に
願う、俺は貴女のチェ・ヨンも
生きて、貴女を待ちわびて
おると信じておる」


「ヨン・・・。
ありがとう。そうかも知れないわね
私が探しているヨンと逢いたい
そして生涯添い遂げたい。
あの人はきっと生きてますよね?
私を待ってくれてますよね?」


「俺は時は違えど、柔な根性は
持ち合わせてはおらぬ。
必ずや生きて貴女を待っておる」


力強い言葉で時をさ迷うユウンス
勇気付けるヨン
王様、王妃様、叔母までも
そうじゃ、そうじゃと
言わんばかりに優しい笑みを
浮かべ頷いていた中
チュンソクが顔を出した。


「大護軍!見つかりまして
ございます。今、都に向かい
馬を走らせているご様子にて
スリバンが護衛していると
鳩が飛んで参りまして
ございます」


「どこら辺におりますか?
行きましょう。
王様?裏山をお借りしますね」


「構わぬぞ。
用心するのだぞ」


王様の許しを得、ヨンとユウンスは
裏山へと駆け出して行った。
ウンスの居場所は都の外れ
古びた寺で一息ついている様子で
スリバンから再び鳩が
飛んで来ていた。


「ヨン?邪念は振り払い
ウンスに逢えることだけを
考えてくれる?」


「無論・・・」


ユウンスは納得したように笑みを
浮かべ、そして裏山に向かい
手をかざすと、轟々と風が舞い
直に、ぽっかりと通り道ができて
いた。


「さ、逢いに行きましょう」

天門を通るのは二度目のヨン
流行る気持ちを抑え
一歩、一歩確実に歩を進めて
いたが。


「あれ?脇道が消えそう?
高麗に向かう時には人が二人並んで
通れそうな道だったのに
今は一人でもきつそうなくらいだわ
消えてしまったらどうしょう・・・
ウンスを見つけて戻ってきたら
消えているかも・・・・・。
よし決めた!ヨン?ウンスに逢いたい
と、強く願うのよ。
光の先にはウンスが居るはずだから
ヨンに言われた事、まさしく
その通りかも知れないわ。
私が医療に携わらないから
時は巡るのかも知れない
下手な願掛けしたばかりに
・・・ばかな私・・・
ヨン?握手しても構わないかしら
二人には幸せになって欲しいの
あの子も私には変わりないし
魂は違えど、ヨンも私が愛したヨン
な訳だし´・・・」


「あの方に聞いた覚えがある
こうでよかったはず故」

ヨンは手を差しのべ
ユウンスと握手をする。


「ユウンスの幸を心より
願っておる。終の棲家は
何処になるやも知れぬが
一人時をさ迷うのではなく
愛しい人とそばで生涯添い遂げる
事を切に…切に願っておる」


「うん、ありがと、さぁ先に
行ってよ。泣きそうだから
振り向いちゃ駄目よ。
未練を残せばウンスに逢なく
なるから。クスン」


「・・・」


人生の分かれ目のように
ヨンは決して振り向く事はなく
キリリと前を向き歩を進める。
時をさ迷うユウンスは
顔の前で手をふり、涙をふくと
脇道を駆け出して行った。



・・・・・


皆様こんにちは。

ようやくウンスに逢える運びと
なりましたよ。
どんな再会か?ヨンは時をさ迷う
ユウンスをどのように伝えるのか
次回をお楽しみに。