鈴蘭  22 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「皆さんがみたこともない医術だと
おもうので気分を悪くされたなら
すぐに表に出てくださいね。
清潔を保ちたいので・・・
では始めます。メス。」

そう呟くと、
ウンスはきりりっと医者の
顔つきとなる。白い布で口元を覆い
髪をひとつに束ね
白衣に袖を通す姿は誰にも左右される
ことなく、自身の信念を貫く
強い意思がみてとれる。
王妃様が手配して下された女医らも
羨望の眼差しで見つめていたので
ある。

そんな中粛々と手術が始まる。
幸いにも頭蓋骨の骨折は見当たらない。
前頭葉からおでこに掛けて裂けた
ようである。

助手はむろんヨンであり
言われた器具を的確にウンスに
差し出していた。
理解できない時はウンスの目線を
おい、その器具を手渡す
まさにあうんの呼吸と言えよう。

『ウンスゃ、あなたの医術は
何度触れても見事であるな。
なれどヤン侍医も食い入るように
見つめそれが気に食わぬ・・・』

そんな事を腹のそこで思い
ウンスの額に滲む汗を静かに拭う。
『ありがと』そんな会話とも
言える目線のやり取りが
緊迫した中にも微笑ましいと
言えよう。

麻酔・・・この時代存在するはずも
なく、患者は痛みに顔を歪め
額には脂汗があふれ
舌を噛まぬよう手巾を棒状にし
口に含んでいる。
『お爺さん・・・もう少し
頑張って血管の処置が終われば
もうすぐだから』

何故か分からぬが
ウンスはこのお爺さんを
助けなきゃとの使命感に突き動かされ
ていたのである。その謎は
お爺さんが回復すれば解き明かされる
のではあるのだが。

「カット!」

一刻半ほど過ぎた頃、ウンスの声が
木霊する。
お爺さんの体調を気遣い
少し長引いてしまったのである。

「医仙様…素晴らしい医術で
ございました。このような貴重な
場面に立ち会えたこと
我々( )の面々は誇りに思いますれば
是非とも御指南下さいますよう
お願い申し上げます」

「えぇ…構わないですよ。
人の皮膚を縫うなんて想像も出来ない
と思いますけど、こうする事に
よって治りが早いんです。
あなた方も瞳を輝かせながら
よくついてきましたね。
見てください…侍医がこの有り様
慣れて頂かないと・・・」

ふと目をやればヤン侍医を始めとする
典医寺の医員らは血の気のない者や
倒れている者もいる。
ヤン侍医はと言うと既にその場には
おらず天幕の外で嘔吐していると
思われる音が漏れ聞こえている。

「肝が座っておりませぬな。
我々の方がよっぽどまして
ございます。医仙様明日より
典医寺へ参ります故
宜しくお願い申し上げます。
王妃様のお許しを頂いて参ります故」

一礼して天幕を出て行く
面々をウンスは笑みを浮かべ
送り出す。

「疲れたであろう。
少し横になっては如何か」

「えっ?大護軍こそ慣れない
事をさせてしまって…ごめんなさい
でも流石よ。的確に処置できたのは
大護軍のアシストのおかげ
ありがと、お疲れ様でした。
私は大丈夫よ・・・
お爺さんが目を覚ますまで
そばにいてあげたいのよ」

痛みに苦しみ気絶してしまった
患者を残しその場を離れることを
躊躇うウンス、そんな中・・・

「・・・わ、わしは・・・」

「お爺さん!分かりますか?
よくがんばったわね。
もう大丈夫よ、お爺さん?
お名前聞かせてちょうだい
名前も知らないとちょっとやり取りが
不便だから、うふふっ」

「・・・ユ、柳、・・・」

「そうなの?柳さんって
言うのね・・・えっ!えぇ~~~!」

お爺さんが目を覚まし
その名を問いかけると同姓の名を
口にすると、やっと理解できたのか
ウンスの素っ頓狂な声が
天幕の中に木霊するのであった。

・・・・・
一度投稿してからの追記です。
( )の中は以前トンイから拝借した
王妃様つきの女医をさしていますが
(主にお産を受け持つ部署)
以前どこかで書いていますが
見つかりません。ごめんなさい
ポチっとして下されば嬉しいです
















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