生きる意味 (動きだす時) 64 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「お帰りなさい…あのね
アホジとオモニが、屋敷で一緒に
住むって言ってくれたのよ」

褐色の闇が屋敷街を包む頃
戻ってきた愛しい人に
ウンスはまとわりついて
あれやこれやっと、世話しなく
口を動かし今日の出来事を
話して聴かせていた。
ヨンはと言うと
笑みを浮かべながら
聞き役に徹しているのである。
王様には納得して頂いたっと
自負しているのだが・・・。

「あ!ごめんなさい…疲れたでしょう
私ばかりしゃべりまくって
しまったわ…ふふふっ」

「よい。ウンスの笑みが俺の癒し
なのだ、おとなしくしておったか?
父上殿や母上殿の手を煩わせては
ならぬぞ。くくくっ」

「もぅ~私が子どもみたいな
言いぐさね~」

ポンッとその逞しい胸をひとつ叩くと
ウンスはぷぅ~っと頬を膨らませて
見せる。
その幼子のような仕草にヨンも頬を
緩め熱い眼差して見つめている。

「くくくっ、やはり幼子のようですね
我が妻は・・・」

「ヨン君?お帰りなさい」

寝衣姿に外套を纏い寒そうに
姿を見せる母親であった。
ヨンが帰宅する前、前世では
お婿さんの事を名前で呼びそして
親好を深めていくのだと
聞き、羨ましく思っていた
ものである。
その切なる願いが、時代は違えど
漸く叶ったのである。

「オモニ!寒くないのに・・・
無理しないでよ」

「いいのよ、娘夫婦と
同居するんだから初日のお休み
くらい言わせてちょうだい。
あの時からの夢だったのよ
ウンス、貴女の旦那様を
君って呼ぶのが…でも将軍様に・・・
失礼かしら」

「母上様、失礼などと・・・
某は・・・」

「ほらほらその言い方は
他人行儀じゃないかしら?
私も旦那も天界の記憶がちゃんと
あるんだから・・・う~んそうね~
ヨンは…とか、チョとか
チャシンとか・・・ね。うふふ」

「オモニ!いくらヨンと
親しくなろうとしても
すぐには無理なんだから
せめて「俺」にしてあげてよ
ヨンも無理しないで・・・ふふふっ」

天界の常識にはまったく疎いっと
ヨンが苦笑いを浮かべる中
ウンスの助け船のお陰で
安堵の表情を浮かべるのである。

「わ、わかったわよ。
とにかくこれからお世話に
なりますね…ヨン君」

「いえお世話など・・・
王様の承諾は得ておりますれば
誰に気兼ねなく自身の屋敷と
思いお過ごしくだされ」

「ありがとうございます」

母親は嬉しそうに笑みを浮かべ
丁寧に頭を下げ旦那が待つ
寝室へと踵を返すのである。

その背中は、今にも
消えてしまいそうなほどに線が
細くウンスにすればなんとも心もとない
ところではある。
恩返しがしたい…前世ではウンスが
突然姿を消し、本当に寂しく
心配ばかりをし生涯を
終えていたのだろうと想像が
つき、はたまた今世では無情にも
親子ではないのであるから
その辛さははかりしれないのである。

「長生きしてね・・・」

ウンスは胸のうちでそう呟くので
あった・・・。


よく朝のこと・・・

まだ東の空が白々とし始めた頃
庭の隅で小さな畑を耕す両親の姿が
あった。

チェ尚宮よりここを使えばよいで
あろうと承諾は得てあったが
昨夜は主であるヨンの帰宅が遅く
話せずじまいと言うか
舞い上がり忘れてしまっていたのだ。

「ふぅ~・・・一から土を耕し
肥料を混ぜながらの畑作りは
この歳では大変ね…」

「頑張ろうや母さん
あの子らに新鮮な自家野菜を
食わしてやりたいじゃないか…
わしらにできる事はこれくらい
しかないんだからな」

「ええ、わかっていますよ
あくまでも前世の魂があの女(こ)の
親であっただけで今は違うじゃない
・・・でもこんな老夫婦の言葉を
受け入れてくれてこんな屋敷に
住まわしてくれたんだから
がんばりましょうね、お父さん?」

厩舎より馬糞を拝借し
土をおこし、一からの畑作りは
骨が折れる作業であるが
両親は笑みを浮かべながら
鍬を持つ手に力を込めたのである。
そんな時に騒動が起きたのであった。



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