生きる意味 39(模索) | シンイ二次小説でんべのブログ

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『ウンス…頼む、無事でいてくれ』

チュホンが夜通し駆け
都の外れに着いたのが翌日の夕刻で
あったがすでに都は荒れ放題
賊に襲われ壊れた家々が目につく。
その傍らで泣きじゃくる幼子…
その兄であろうか
懸命にあやしている健気な姿が
目に飛び込む。
己の幼き頃を思い出したのか
テマンは眼をゴシゴシっと擦り
ながら、その兄を眺めていたのである。

「護軍!!お、俺・・・」

「何か食うものを探してやるがよい
すぐに追い付くな?」

「は、はい!」

テマンの顔がパッと明るくなり
すぐさま近場の山へと姿を消す。
それを見届け、ヨンは眉間に皺を
寄せ前を見据える。
『王様の民を苦しめたのだ、きっちり
償いはしてもらう』
その厳しい顔つきにはそんな
強い思いが込められていたに違いない。

直にテマンが戻って来ると
外套いっぱいに包んだ
風呂敷がわりの包みを開く。

「ろくな食べものがなかったんだ
ごめんよ…」

直に雪におおわれるであろうこの時節
どこで仕入れたのであろうか…
その中身は乾燥させた味噌と
これまた乾燥させた小魚がたくさん
入っていたのだ。

「悪いやつらから奪ってきたんだ
腹が空いたんだろう?
腹一杯食べて元気になれ
・・・困ったことがあったら
都のチェ家を訪ねてくるんだ
悪いようにはしないさ、なっ」

テマンは白い歯を見せにこりっと
笑みを浮かべ兄の頭をガシガシっと
撫でてやる。ヨンがいつもそうして
いたように・・・。

「俺はテマンだ、そばにいて
やりたいけど、行かなきゃな
お前はお兄ちゃんなんだから
妹を守るんだぞ、いいな?」

「ありがてえだ。あんちゃん?
とうちゃん、かあちゃんとはぐれて
しまったんだ、どうすればええ?」

年の頃は十歳ほどであろうか
幼い妹を腕に囲い
懸命にテマンに訴えている。
そんな姿にテマンは胸を摘ままれる。

「そうだったのか…あ!
これで今夜はしのげるな
明日には行列がここを通るはずだ
その中にトクマンって奴がいる
背がでっかいお兄ちゃんだ
そいつに俺から聞いたと伝え
手を貸してもらうんだ
トクマンだぞ、忘れるなよ」

うんうんっと頷く
二人を残し、テマンは後ろ髪を
引かれながらもヨンのあとを追い
駆け出して行ったのである。


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一方王宮では…

大護軍キム・テサンが
王様にもの申すべく康安殿で
お出ましを待ち構えていたのである。

「王様は何処におられるのだ?
お前たちは近衛であろう
はよう返答致さぬか」

「・・・」

チュソクやトルベは無言のまま
じっと前を見据える。
スリバンである白い人から繋ぎがあり
事の顛末を耳にしていたのであった。


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