あなたを探して 86 | シンイ二次小説でんべのブログ

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86
大護軍が刺されたとテマンから
知らせを受け息も絶え絶え
急ぎ駆けつけたイルムとアル。
見れば頭部には白い淡雪が積もり
つつある。

「奥様!遅れてしまいました
大護軍様の具合はどうでしょう?」

「急がせてごめんなさいね
イルムちゃん、アルちゃん
寒かったでしょう…大丈夫よ
脈が少し早いけどこの人
強靭な肉体の持ち主だから…
わかるだろうけど
刃物は抜いてないのよ」

アルの問いにそう応えるウンス。
気丈に振る舞っては見えるが
髪はボサボサで白く透き通るような
肌も色褪せて見える・・・。

「でもね…麻酔がこちらでは
まだないのよ…困ったわ
はぁ~~・・・」

『まてまて…勝手にないと
決めつけない』

トギがひっこりと顔を出し忙しなく
指を動かす。
近頃はウンスもその指を読める
ようになっていた。

「えっ?ほんとトギ?
出して早く!」

ばたばたと薬房へ消えると
すぐに吸引麻酔薬と思われる
筒を抱えて戻ってくる。

『説明は後。私と侍医が試行錯誤を
繰り返し仕上げたんだ間違いない』

「わ、わかったわ…みんな!
手を貸してちょうだい
この人を助けたいのよ
普通医者は身内の手術はしない
ものなのよ、感情が入り手元が
狂う可能性があるから
でも私が助けなきゃ誰が助ける?
そうでしょう…器具を煮沸消毒して
ちょうだい!さぁ~二人ともこれに
着替えてそして口元はこれで
覆ってちょうだい…」

「はい、畏まりました」

渡された白い衣を手に取ると
仮眠室と思われる部屋へと
案内されすぐに着替え戻ってくる。

「ヨン?苦しいわね…すぐに
終わらせるからもう少し我慢してね
いつも私を庇ってくれて
あ、ありがとう…今度は私が
貴方を呼び戻すから」

医療棟の外にはチュンソク、テマン
トクマンら迂達赤と甥が刺されたと
知らせを受け急ぎ駆けつけた
チェ尚宮と女官サンミの姿も見える。

『そうじゃ…ウンスゃ必ずやあやつを
・・・信じておる故』

ウンスの呟きが外まで漏れ
チェ尚宮は胸の内で手を合わせる
のであった。


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