あなたを探して 87 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「良かった…内臓まで届いてないわ
鍛練を怠ることがないから
鋼の筋肉が自分の身体を守って
くれたのね」

突き刺さった小刀の横を数ミリ切り
小刀をそっと抜くと内臓までには
達していなかったようである。
むろんイルムとアルの補佐とトギの
麻酔薬がなければ、ここまでは
できなかったのは間違いない。

ウンスはほっと一息つくように
細い息を吐く。

「さぁ…あと一息よついてきてね」

「はい!素晴らしい手捌きで感銘して
おります…どこまでもお供致したく
よろしくお願いします」

「イルムちゃんったら…アルちゃんも
よろしくね」

「もちろんでございますよ」

それからまもなく少し切れてしまった
血の道(血管)を縫い脇腹を縫い終え
「カット!」ウンスの一言で
手術を無事に終えたのである。

あとはヨンの意識が無事に戻ることを
願うばかりであった。

診療棟の回廊にウンスが顔を出すと
皆がウンスを取り囲み誰もが
ウンスの言葉を待っている。

「大丈夫よ…あとは意識が戻れば
問題ないわ…叔母様?王様と王妃様にも
お伝え願いますね…きっと
ご心配なされているはずですから」

いくら甥の生命力やウンスの腕を
信じていたとしても
案じていたのであろうか
チェ尚宮は眸にうっすら涙をため
それを人知れず、すっと拭うと
ウンスの手を握り感謝を伝える。

「ほんにようやってくれた・・・
礼を申すぞ…ウンス
あやつがそなたを置いて逝くなど
ないと信じておるが・・・
はよう目が開けばよいのだが」

「「「大護軍~~~」」」

チェ尚宮がそう呟いた一言を
迂達赤の仲間は聴きのがさなかった。
一斉にヨンの名を口にする。

「大護軍!チュンソクでございます
お分かりになられますか?
はようお戻りを…この馬鹿どもの
世話は某ひとりでは荷が重すぎます
やはり大護軍にしめて頂けねば格好が
つきませぬ」

「トクマンです!!馬鹿は俺では
ないですから~~俺も待っています
ですから早く尻を蹴りあげて
ください!」

「「「大護軍~~」」」



「・・・う、うるさい・・・」

「えっ?!まさか」

皆の叫び声に応えるように
いや…その声が耳障りだけだったのか
・・・ヨンの声が微かに回廊に
漏れ聴こえる。
ウンスは瞳を見開き診療棟の戸口を
開くと、ウンスの世で言うところの
無菌室の真似事に過ぎないのだが
白い天幕に覆われた室内で
麻酔から覚めたばかりヨンがウンスを
見つけると口の端を微かにあげ
微笑んでいたのである。


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