あなたを探して 3 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ウンスがもどり四日が過ぎ
おかしなことに次々と遭遇する。
おなご一人の旅路であったが
危うい目にあうどころか
すれ違う人々がみな微笑み
そして一礼するのである。
露天の主などは飯をたらふく
食わせ
少しの路賃まで持たせる有り様。

「???…あの~私の事をご存知
なんですか?それと・・・
ここは高麗ですか?それとも元?
今は何年なのかしら」

「いってことさ、気にしなさんな
都に向かうんだろう?
これだけあれば宿にも泊まれる
衣だって買えるってもんよ
何年っていわれてもな・・・
学のないものにはさっぱり
わからないが、大護軍様が
この辺りを元から取り戻して
くださったんだ、それから
八年ほど過ぎたかな~」

「は、八年?そんなに・・・
私は二年しか過ぎてないのに
大護軍様ってお名前ご存知ですか?」

「あ?しらいでか!チェ・ヨン様よ
おれたちゃ鬼神様って呼んばせて
もらってるってもんさ!
ひとりで百人は冥土に送ったんと
違うか!そりゃ凄かったもんよ」

「・・・」

『生きていてくれた!
そして大護軍っとなって
民に崇められる存在となっていた
嬉しい・・・でも・・・
もう私のことなんか忘れて
結婚してる?・・・どうしょう・・
今さら会いに行っても迷惑?
でも・・・一目会いたい
いや…奥さんがいて仲睦まじい姿
なんてみたくないかも・・』

ウンスはそんな事を思い
両手で顔を覆うと小刻みに
肩を揺らすのである。

「おい!シウル?医仙が泣いて
しまったじゃないか…どうするよ」

「「マンボ姐さんからは正体が
ばれることなく医仙を都まで無事に
お連れするんだ」って言われたじゃ
ないか!なんでも兄貴(ヨン)が
「必ずやおもどりくださる」って
師父に頭を下げて俺たちが
彼処に一年も張り付く羽目に
なったんだぞ。だからさ
きっちり役目を果たし
駄賃はたんまりせしめようや」

鳩を飛ばしたのはスリバンであった。
その鳩が向かった先は
都のマンボが営む薬屋である。
ウンスが通ると思われた道へ
先回りし、少しの金子を
握らせみんな見守ってあげるよ
っと、安堵させたかったようである。


一方こちらは・・・

チェ家長の命には逆らえず
数ある縁談話の中から
叔母が目にとめたおなごとの
対面の日をむかえていた。

「叔母上、どうしても
行かねばならぬか?俺はイムジャ以外
嫁に娶るつもりはないのだが」

「この期に及んで・・・
よいか?若い女人でなければ
子をなすことは難しかろう
縁談の相手は十七になる
すぐに婚儀を済ませば子もできよう
上護軍の孫じゃ同じ武官同士
必ずやすべてがうまくゆく
そう信じてやまぬのじゃ
チェ家の行く末が輝いて見える
ようじゃ」

「・・・イムジャと約束したのだ
もう忘れなくともよいと・・・
それに俺たちはすでに・・・契りを
交わしておる。おのこが責任を
問われる大事ゆえ、俺はイムジャを
待っておるのだ」

「おまえと言う奴は!
いつじゃ!いつそのような真似を
したのじゃ」

「・・・」

戯れではない、あの折
キ・チョルからウンスを奪い返し
離ればなれになる前の宿で
二人は契りを交わしていたのである。
そんな折ヨンの私兵であるテマンが
見合い場所と定めたチェ家屋敷へ
駆け込んできたのである。

「て、大護軍~~は、鳩が~」

「テマン!!」

ヨンは小さく折り畳まれた
布をテマンから奪うように手にすると
そこには
「医仙と思われる女人帰還」
そう記されていた。

「叔母上!イムジャがおもどり
下された!!迎えに行って
やらねばならぬ故俺は行くが
この話はなかったことにしてくれ」

「なれど…子が成せる年頃では
なかろう・・・どうじゃ医仙を
第二夫人としそばにおく
それでおまえの仕出かした責任は
取れよう?」

「叔母上!跡取りが欲しいならば
遠縁より養子をもらえばよかろう
俺はイムジャ以外娶るつもりは
一切ない…すぐに王様に願い出
幾日か暇を賜る故、叔母上もその
つもりでおってくれ・・・
叔母上?頼むあの方は俺のすべて
なのだ、受け入れてやってくれぬか
この通りだ」

ヨンはそう呟くと王様に片膝を
つくように、叔母の前で片膝をつき
深く頭を垂れるのであった。

『・・・おまえが私に頭を垂れる
などいままで一度もなかった・・・
ヨンァ…それほど大事な女人か?
養子のぅ・・・それもよかろう
どれ、相手に頭を下げに
行くかの・・・』

腹のうちを口にすることはないが
叔母はそう胸に秘め、ただ一言
「王様には私から伝え許しを
もらうとしよう…はよう行ってやれ」

「叔母上・・・忝ない、感謝致す」

ヨンがそう呟くとテマンとともに
屋敷を飛び出して行ったのであった。
童のように瞳を輝かせ
見送る背からは喜びが溢れで
こともあろうか白い歯を見せテマンと
頷き合っているではないか。

『・・・それほど嬉しく思うのか
ヨンァ・・・幸を掴むのだぞ』

そう胸に秘める叔母の口の端が
少しだけあがったのである。


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