もうひとつの木春菊 14 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「父上様・・・」

ソマンはぐっと唇を一文字に結び
涙をこらえるのが精一杯であった。

ヨンは、ソマンやヒヨンが
秘める内功を身に付けたのである。
下界でのウンスの言葉が
ヨンの脳裏をよぎる。
「貴方を殺す人を助けたじゃない」

「李成桂・・・そうであろう?」

「父上様…おれは誰も恨んでは
おりませぬ、兄上様の身代わりなどと
思ってもおりませぬ・・・。
この頚でチェ家が安泰が確約されたの
です。奥であった公主様や
姉上様、子や孫らが無事なら
それでよいのでございます」

「・・・何の因果であろうか・・・
李成桂がこちらにきたならば
父はおまえの仇討ちをせねばなるまい
我が息子の頚を・・・許さぬ」

「李成桂の念願であった・・・
いえ…何でもありませぬ
お忘れください・・・」

「ヒヨン・・・」

そうつぶやくとヒヨンは口を閉ざし
高麗の行く末を語る事はなかった。

そんなヒヨンの小刻みに揺れる背を
ヨンはその広い懐に囲い
揺れが収まるまで擦り続けていた。

「かか・・・」

「ん?どうしたの?ソマン」

そんな二人の胸のうちを読んだのか
ソマンが祖父である元直の膝の上から
母であるウンスに切なげに声をかけ
中庭を指さす。

「え?・・・鍛練の邪魔に
ならないかしら?」

「じじ~・・・」

「行きたいのであろう…ウンスヤ
連れて行ってあげなさい」

「はい…ソマンおいで・・・」

するすると膝から降りると
ウンスと手を繋ぎ
てくてくと中庭へと向かう・・・。
下界の記憶がしっかり焼き付いている
ソマン・・。
己に下った李成桂からの命も
薄れ行く意識の中で記憶していた。
うまく言葉を繋ぐことは
叶わないが、ヒヨンの足元へ
向かうと想いを込めソマンは
ヒヨンを見上げる。

「兄上様・・・」

ソマンの目線に腰を屈めヒヨンは
そうつぶやくと大粒の涙を流す。

幼子を望み己は逃げたのだと
ソマンは悔いていた・・・されど
あとのまつりである。

「ウンス…」

「貴方?ヒヨンはどうして
こんなに泣いているの?」

「・・・」

「貴方ってば!」

「ウンス…李成桂・・・覚えておるか?
俺に言った言葉を」

「・・・まさか!!」

ウンスは眼を見開いたまま暫し
固まりおぼつかない足取りで
ヒヨンのそば近くに寄り添い手を貸し
立たせるとその胸に抱きしめていた。

「ヒヨン?泣いても良いのよ
恥じることも我慢することはないわ
家族なんだから・・・肩の荷を
降ろせばいい・・・クスン」

「母上様・・・お、おれは・・・」

ヒヨンは母であるウンスの言葉に
緊張の糸がぷつりっと切れたのか
いつまでも声を殺し
肩を揺すっていたのである・・・。

端でそっと見守っていた
下界からの使用人であるサンミと
イルム、エギョンも言葉にならず
ただただ瞳を潤わせていたのであった。

ひとり違う想いを胸に秘めたのは
チョンスであった。
それからと言うものチョンスは
時にはテマン、時にはイルムと
その時がいつ訪れても
主の手を煩わせるなど
私兵としての恥とばかりに
鍛練を怠ることはなかったのである。


それは意外に早く訪れてたのであった


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皆様いつもお寄り下さり
ありがとうございます。

ゴールデンウィークも終わりを告げ
明日より忙しい日々が始まります
盆前までだと思うのですが・・・。

次回更新は木曜日になります
よろしくお付き合い下さいませ。


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