木春菊  [託す] 35 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「旦那様。奥方様…少々お話があります
よろしいでしょうか」

「構わぬぞ。如何した?」」

隠居を宣言し日々あとを託す
役目に邁進していた二人
屋敷で過ごす最後の正月を祝い
あと僅かで鉄原へ移り住むこととなる。

「おらたち一緒にいぐだ。奥方様や
新しい使用人にチェ家の厨房は
任せておけねえ。ソマン若様やヒヨン
様と離れるのは、寂しいけんど
旦那様と奥方様とついていぐだ」

「ふふふ…そう ありがと
新しい人を見つけなきゃって
思っていたんだけど、じゃこちらに
新しい人を探さなきゃね。」

「ならば、最後までよろしく頼むぞ」

「はい。お任せくださいませ」

イルムとサンミは幾日も悩み
導き出した答え。
ソマンやヒヨンと離れるのは
身を引き裂かれる思いと思われる
されど、主夫婦が本願である
鉄原に移り住むならお供をすると
決めたのだ もう迷いはない。

「イルム。サンミ…気心の知れたら
そなたらが、鉄原に同行してくれるなら
俺らも安心する。よろしく頼む」

「「若様・・・」」

ウンスの世で言う旧正月をこの地は
祝う。正月が明ければ
荷を先に出さなければと
イルムとサンミは、思いを巡らすので
あった。

「ねえ。貴方?新たに人を探さなきゃ
誰か居ないかしら、安心して
任せられる人」

「チョンスとエギョンの里に
声を掛けておるゆえ なんらかの
返答があるはず。」

「あっ!ソマンも小さい頃世話になった
のよね。二人の里の人なら
間違いないわ。おしめをたくさん縫って
持たしてくれたこともあったわね。」

「そんな事が…俺は覚えてないですが」

「そりゃそうよ。まだトルチャンチも
済んでないころだったはず
いろいろあってね…ふふふ」

ウンスは含み笑いで誤魔化していたが
ヨンには、戦場から駆けつけた
苦い思い出である。

「まったく…貴女と言う方は・・
俺の命が幾つあっても足らぬ思いを
数々してこられた…・・・されど
俺の立場がそうさせたのかも知れぬ
これからはゆるりと穏やかに
過ごすつもりでおる。」

「ふふふ…ごめんなさい・・・
もうそんな歳でもないし心配は
かけないから安心して」

ソマンは思う
子や孫の前でも変わらず父上の肩に
凭れ笑みを浮かべる母・・
それを恥じることなく愛しそうに
目元を緩め見つめる父
こんな夫婦のあり方も悪くはないと。



年が明け
チェ家ではにわかに世話しなくなる。
鉄原の屋敷は人を雇い管理を
頼んであるが確認もしなくてはならない
中、先に運び出す荷造りが始まっていた

ヨンは出仕したがウンスは
いまは月に数える程しか役目に
赴くことはなくなっている。

「さあ。力仕事は無理だけど
私たちで、できることはしてしまう
わよ。引っ越しは男がいたら
かえって、邪魔だから」

「はい。奥方様・・」

「若い頃のチョゴリも
みんな持って行きたいの…もちろん
鉄原で着る訳じゃないのよ
でもあの人が全部誂えてくれた
思い出の品々だから、捨てられないし
きれいにしまっておきたいの
荷物になるけどごめんね」

衣装部屋から柳行李を運びだし
一枚一枚取りだし陰干しをする。
一日がかりの仕事である



その頃兵舎では…

「上護軍。護軍…ほんとに隠居される
のですね・・・。寂しくなりますが
俺もじきにお二人の元に参ります
一度に古参が抜ければ混乱を
招くと思います。ですから
少しおくれますが、待っていてください
また鉄原で楽しくやりましょう」

「「・・・」」

「俺一人退け者は嫌ですよ。立派な
ソマン隊長がいるんです。迂達赤を
任せられます。」

「なにゆえ鉄原に身を寄せるのだ
倅も迂達赤に残っておるというに
都に残ればよかろう」

「そんな~・・・。だって護軍も
ともに行くつもりでいらっしゃるん
ですよね?顔にそう書いてあります」

上官であるヨンの片腕となり
その意図を先に読み取り
礼を尽くしてきたチュンソク
今さら離れるなどできるはずがない
そう密かに思っていた。
されどあとからこっそり鉄原へ
押し掛けるつもりでサムと話して
いたのであった。

『トクマン…痛めつける!』
チュンソクは腹のそこでそう思ったに
違いない。



一方こちらでも

「トギ先輩・・一つ提案が
典医寺も世代交代の波が押し寄せて
いると思いませんか?どこか
地方で二人で薬房でも開きませんか?」

『ポン…まさか?』

「はい。そのまさかです…トギ先輩も
寂しいでしょう・・」

『・・・その話乗った!』

トギは瞳を輝かせ
ポンの提案に指を世話しなく動かす
満面の笑みを浮かべ
ウンス譲りのハグをすると
すぐに侍医の元へと二人は駆け出す。

はたまたスリバンの隠れ家でも・・

「あたしはいけないわ。マンボも
いないし、スリバンを継がなきゃ・・
シホたちにはまだ任せて
おけないし・・・ソウ貴女行っても
良いわよ。でもなんかの時は
手を貸してちょうだい」

「もちろんです。サルム姐さん
その時は声を掛けてくださいな
とにかく奥方様のお側で
お守りしたくて…わがまま言って
すみません。」


ヨンとウンスを取り巻く
回りが、二人の知らぬ間にあれや
これやと策を練り、ともに行こうと
試みる。二人は穏やかな老後を
過ごせるのであろうか・・
ちいと不安が残るのであった。



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