木春菊  [偕老同穴] 証 5 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「いや~~」




天門のつむじ風に似ている
引き込まれそうになるウンス…
それを阻止しようと
チュホンを飛ばすヨンとテマン

だが神の成せる業か
巻き上がる風は
ウンスを飲み込もうと
馬ごと引き寄せていた



「ウンス!!」

行ってはならぬ
漸く夫婦(めおと)に
なったばかり、誰に憚る事なく
生きて行くのであろう
貴女の温もりなくば、俺は息も出来ぬ


「ウンス!!!」

一向に縮まらぬ間隔に、どの馬より早い
チュホンが追い付く事が出来ない

「ヨ~~~ン!」

ウンスの姿が徐々に小さくなる…

怒りとは違う感情が全身を覆うと
ヨンは顔をあげ、鬼剣を抜き
天に翳した

「ウンスを…奪うつもりならば
この命持って行くがよい!」

誰に叫んだ訳でもないが
そう声を張り上げる

ふっとウンスを包んでいた風の勢いが
衰え始める
好機と踏んだヨンは
チュホンの脇腹を蹴り一気に駆ける

「ウンス!」

「ヨン!」

チュホンの手綱を引き勢いを
抑えながら、ウンスの馬の横に並べる
ウンスも瞳を潤ませ、両手を大きく広げ
ヨンを待っていた…


「ヨン…」

チュホンの背にウンスを抱き留めると
ヨンは、たった今ウンスが乗っていた
馬の蹄がじりじりと後退するのを
目の端で捉えた

「テマン走れ!、チュホン、たのむ!」

その馬がどうなったのか…
一度も振り返る事なくヨンとテマンは
走り続ける
ウンスが振り落ちぬよう
己の胸にしっかり抱きながら…


「ヨン、チュホンが可哀想よ、止まって
あげて、もう大丈夫なんじゃない?」

「大護軍、あれはいったい?」

「分からぬ、天門とも違うような
気もするが…」

チュホンを止めウンスを下ろすと
峠の道、どかりと腰をその胸に
ウンスを抱き締める

これ以上、先に進むのを拒むかのように
辺りは既に、墨のような暗闇に侵されて
いた

百戦錬磨のヨンの肩が震えている

息も出来ぬ程、強く包み込むように
抱き締め、甘い香りを
胸いっぱいに吸い込みむと
漸く顔があがる


「貴女を奪われてなるものか」

「うん、どこへも行きたくない
離れてなんて、生きていけないもの」

「ウンス、今宵は野営となるが
構わぬか?」

「ヨン、一緒ならどこでもいいに
決まってる」

「テマンすまぬが、野営の支度と
何か食い物を・・・」

「はい、任せて下さい」

ヨンにすべてを語らせる事なく
テマンは、にかっと笑みを浮かべ
どこかへ走り去って行く

「ウンスが、あの渦に飲まれていたら
と思うと、震えが止まらぬ」

「うん、私も・・」

「あのような想いはもう出来ぬ
貴女の温もりを知ったいま
再び引き離されるなど…俺は生きて
いけぬ…」

ウンスを見つめる
その瞳の奥には、怯え
恐怖が垣間見える

互いの頬を手のひらで包み込むと
唇を重ねる

「ヨン…」

「・・・」

「行き道で、懐かしい感じがするって
言っていたの覚えてる?」

「ああ…」

「つむじ風が舞った場所に
お父さんの実家が有ったの、幼い頃
何度もおじいちゃんに合いに通ったわ
彼処に祠が有った筈」

「ならば、ウンスの祖父が貴女を案じ
呼び戻そうとされたのか?」



短い!ごめんなさい、土日はお察し
下さい(謎解きは明日に)

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