木春菊  [偕老同穴] 証 4  | シンイ二次小説でんべのブログ

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ウンスは軽い湯あたりだった為
翌日には回復し、昨夜の果物をぺろりと
平らげ、ヨンやテマンを呆れさせていた


「え!なんで、縛られてるの?」

「夜半に、スリバンの二人がしたよう
です」

「そうなの?全然知らなかった
で…このまま縛っておくの?」

「あの二人がいるなら、事の子細は
マンボの耳に届く故、後始末は
任せ、俺らは参らねば船に乗り遅れ
る…」


三人は各々が馬に跨がり
早朝に宿を発ち、目の前の島が江華島だ

「船よね~はあ…気が重いわ・・・」

「あの折りも船酔いしておった記憶が
ある、眠ればよい、二刻もすれば
江華島に着く故」

がっくり肩を落とす
ウンスに優しい笑みを浮かべ話し掛ける

「二刻?って事は四時間くらいか~
でもお墓参りがしたいと言い出したのは
私だし、行かなきゃ!」

「ふっ…そのいきです」

チュホンを始め三頭の馬をその場に
残し、三人は乗船する

「チュホン、大丈夫なの
木に縛り付けなくても?」

「チュホンは賢い馬と・・・」

「分かりました、何度もごめん…
チュホン~待っててね~直ぐに
戻ってくるから~」


ウンスは叫びながら
陸に向かい大きく手を振る
チュホンの嘶きが
微かに聴こえた気がするが…

瞬時にヨンの眉間に皺が寄り
手首を掴まれ下ろされる

「あ、ごめん…叔母様に何度も言われた
のに…気を付けます」

ウンスは肩を竦め
愛らしい舌をぺろりと出した

「はあ…まったくこれだから
片時も目が離せぬのです」

そう呟くと、ヨンはウンスの手を引き
甲板の端にどかりと腰を下ろし
胡座の上に、ウンスを座らせる

「え?恥ずかしいんですけど
貴方の体面は大丈夫なの?」

「ふっ…そんなものこの海に投げ捨てた
故、気にせずともよい
甲板が揺れる故、船酔いをする
こうして俺の上なら幾分ましで
あろう?」

「うん…ありがと、ふふふ」

ヨンは、揺れが伝わらぬ様
ウンスをぎゅっと抱き締めながら
片頬をあげ額に唇を落とす

船は 江華島に向け順調に漕ぎだす



「そうなのかい、あたしら
スリバンも嘗められたもんだよ」

「だろう?だから巻き上げてきたんだ
俺たちの知らない薬が、出回って
いたなんて、大きな顔して都に
戻れないし、出どころを突き止めない
とな姐さん?」

「そうするかい、宿に案内しな
きっちりと、吐いてもらうよ」


マンボ姐と若いスリバンは、この地へは
人参を求めて、二人の後を追うように
訪れていた

シウルが自慢気に、マンボ姐に
子細を伝えると、師父を残し
隠れ家を後にする

「師父はどうするんだい?」

「ほっときな、人参を仕入れて
貰わなきゃならないからね」


宿の前に着くと…

「こいつらかい」

「ああ、そうだ、ヨンの旦那を
襲うつもりでいたんだろうけど
命知らずだよ、まったく」

宿の前の木に縛られ猿轡を噛まされた
女将と男衆

「おろしてやんな!」

猿轡を外し縄を解くと逃げ出す三人

「まったく、余計な手間掛けんなよ」

ぶつぶつと小言を呟くと
シウルは狙いを定め弓を放つ

「びゅ~ん」と風を切り正確に
女将の頭上を掠め飛んで行くと、怯え
しりもちを着く三人

「さあ、吐いて貰うよ
この薬はなんだい?どこで手に入れた」

「・・それは・・元の薬売りから
手に入れたんだ、まだ使った事はない
けど、痺れ薬らしい、一刻程しか
効き目はないとも言っていた・・・」

「元?誰かの手引きか!」

「そこまでは知らない…」

マンボ姐は、手に持つ小瓶に
目を向けながら、ぽつりぽつりと
話す女将に嘘がないか見極めていた



「番所に突き出してやんな、どうせ
疚しいところはたんまり出てくるに
決まってる、周りに宿屋がない
からね…好き放題やってる筈だ」

「えぇ~山下りねぇと番所ないぞ~」

「煩いね!文句言うなら他の奴を
使うまでだ!」

「分かったよ、行きゃあいいんだろう
その代わり手間賃弾んでくれよ」

シウルとジホはぶつぶつと文句を
吐きながら三人を連れて山を下りて行く

マンボ姐は誰が噛んでるでるか
独自の調べを進める事にした




ヨンの胡座の上にいたせいか
一度の船酔いで済んだウンス

江華島に無事たどり着き
ヨンとウンスは 慶昌君媽媽が眠る
墓所の前に立っていた

「こんなに雑草が生えて・・
これじゃどこに土饅頭があるのかも
分からないわ…ヨン小刀貸して」

「・・ウンスの手に傷が付く俺が…」

ヨンが雑草を刈りテマンが少しずつ
脇に寄せ、どうにか土饅頭の形が
分かる様になると、ウンスが摘んで
いた名も知らぬ花をそっと添え
瞳を瞑り頭を垂れる


媽媽…長らく訪れず申し訳ありませぬ
心安らかに眠っておられると
信じておりますれば、妨げになりたくは
なく、脚が遠退いておりましたこと
お詫び申し上げます
この方を覚えておられますか
此度某の元へ無事に戻り、婚儀を
済ませた事をご報告申し上げます
今暫しご辛抱下され
恭愍王が身分を回復された暁には
先代の王が眠る墓所へと御移り
頂きます故…


健やかにお過ごしですか
あの時は助けられず…
本当にごめんなさい・・・
この人と離れる事が出来ず戻って
来ました、そして夫婦となる事が
出来ました、お知らせしますね
それとこの人は、媽媽を安楽死させた
事を未だに引き摺っています
どうか力をお貸し下さい
この人の心も守りたいんです…


二人同時に頭が上がると
周りを暖かい風が通り過ぎた
まるで、二人と遊ぶように…
ウンスはきょろきょろと風を
追いかけ頭を振っていた…


「ねぇ、ヨン…今の風?」

「はい…媽媽の悪戯やも知れぬ」

二人の顔は、とても穏やかにテマンには
映っていた

「日が暮れぬうちに戻らねばならぬ」

「うん…また胡座の上でも構わない?」

「・・ふっ、お好きに・・」

「あらそう?じゃ座ってあげない」

と、ぽんとヨンの左胸を叩き
笑みを浮かべ駆け出す
懐かしい光景がヨンの頭の中を
駆け巡る…胸に手をあて
片頬をあげるとウンスを追いかけて行く

テマンは
『締め上げられたんだ・・』
と苦い記憶が甦っていた…


二人は手を絡め船着き場へと急ぎ
戻って行く



二刻程小ぶりな船に揺られ
陸地にたどり着いた、ヨンの言うように
チュホンは二頭の馬と共に
待っていた

「チュホン、ただいま」

ウンスはチュホンの鬣を優しく撫でると
気持ち良さそうに、くりくり眼を瞑る

だがもう日は西に傾いている

「日が落ちぬうちに峠を越えねば
ならぬ故、急ぎ参ろう」

「はい…」

「テマンも急ぐぞ」

そう言ってウンスを馬に乗せ
三人は駆け出す




「ん?嫌な風が舞ってるわ、ヨン!!
なんでこんなところに・・いや~~」

「ウンス!!」


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